ライバルが一転「顧客」にーーNvidiaがArmを買収、ARMエコシステムの行方(後編)

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ArmのCEO、Simon Segers氏(左)とソフトバンクのCEO、孫正義氏。2016年撮影。
Image Credit: Dean Takahashi

(前編からのつづき)もしもArmがライバルの手に落ちればNvidiaは完敗の恐れがある一方、契約が成立すれば将来的なプロセッサテクノロジーへのアクセスが保証される(編集部注:記事初出は現地時間9月12日のもの。14日にNvidiaは正式に買収に契約したと公表している)。

また、Nvidiaは6,000人を超えるArmのエンジニアリングチームへのアクセスも獲得する。Nvidia自身には1万3,000人を超える従業員がいる。同社のAIおよびモバイルプロセッサに対する主要な知的財産を管理するエンティティを持たないのであれば、Armを所有することはNvidiaにとって一種の保険になるだろう。

Nvidiaは、同社のグラフィックチップとArmのプロセッサテクノロジーを組み合わせることのメリットも享受できる。IntelとAMDには、グラフィックスとプロセッサテクノロジーを組み合わせた統合ソリューションを築いてきた長い歴史がある。

Intelの統合グラフィックスとプロセッサはローエンドPC市場を支配し、AMDとNvidiaのスタンドアロングラフィックスチップは市場のミドルおよびハイエンドを占めている。AMDはx86プロセッサとグラフィックスを組み合わせて、家庭用ゲーム機向けの特別なソリューションを生み出した。ARMプロセッサはサーバとローエンドPCの両方で進歩を遂げているため、Nvidiaも同様の試みを行う可能性がある。

AppleはNvidiaと強固な関係があった。そのNvidiaとArmとの取引を懸念して入札に踏み込み、Armを買収する可能性はあるかもしれない。しかしそのような動きをすれば、Appleの独占禁止法の調査に対して政府からさらに厳しい監視の目を向けられることになるだろう。

最近Nvidiaは市場価値においてIntelを上回っている。つまり、独自のハイエンドグラフィックスを開発するIntelに勝る能力を持っているのだ。前回のインタビューでNvidiaのCEOのJensen Huang氏にArmの買収について尋ねたところ、彼はこう答えていた。

それは単なる噂です!

この記事を執筆している時点では、Nvidiaはコメントを控えている。Armにもコメントを求めているが、まだ回答は届いていない。

【via VentureBeat】 @VentureBeat

【原文】

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