OSSの「タダ乗り」を防げーーSquareが暗号資産オープン特許アライアンス「COPA」設立

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ピックアップSquare Forms Group to Stop Patent Hoarding From Stifling Crypto Innovation

ニュースサマリー:ジャックドーシー氏が代表を務める決済企業Squareは、暗号資産オープン特許アライアンス(COPA : Cryptocurrency Open Patent Alliance)と呼ばれる独立した非営利アライアンスの設立を発表した。Squareは、暗号資産関連特許の問題点について「重要な土台となるテクノロジーを特許で独占することは、イノベーションとその普及を阻害し、悪意のある参加者による特許の悪用は、暗号資産技術の成長を脅かす」と指摘している。

同社によれば、業界の中には将来的に実装や採用を予定していないにも関わらず、ある技術の特許をとりあえず確保し、競合企業の成長を妨げようとする行為も存在するという。COPAのメンバー企業は、その他メンバー企業が取得した特許技術を自由に利用可能になる。一方で非加盟企業はCOPAが保存する特許技術は使うことができない。

したがって、企業はCOPAに加盟する方がより多くの技術・知見にアクセスできるためメリットが大きい。結果的に、COPA内では上述したような特許の独占は無意味になるため、技術発展の妨害競争は減少する可能性がある。

話題のポイント:暗号資産業界においては、透明性の向上やコラボレーションの可能性を増やすため、プログラムコードを全て公開しているオープンソースプロジェクトが少なくありません。例えば、ビットコインやイーサリアムなどはオープンソースプロジェクトの好例です。しかしそのデメリットとして、外部の人間はソースコードをコピーして、すぐに同じソフトウェアを作成して、オリジナルプロジェクトの市場シェアを脅かすこともできてしまうという問題があります。実際にビットコインにはフォークといって、沢山のコピープロジェクトが存在します。

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つい最近でも、分散型の暗号資産取引所Uniswapのコードがコピーされ、SushiSwapという新しいプロジェクトがローンチされました。Uniswapでは、流動性提供者と呼ばれる外部の主体が流動性(暗号資産)をスマートコントラクトにロックし、ユーザーはそのスマートコントラクトとやり取りすることで通貨交換を行います。これは自動マーケットメイカーモデルと呼ばれます。

あろうとことか、SushiswapはUniswapのコードをコピーするだけでなく、Uniswapの流動性提供者達に独自の暗号資産SUSHIによる特別なインセンティブを与えることで、Uniswapのスマートコントラクトにロックされている流動性をSushiswapのスマートコントラクトに移動させるという戦略を取りました。

結果的に、SushiSwapはUniswapから約880億円以上の流動性を奪うことに成功したのです。例えるならば、ある新しい証券取引所が競合の大手証券取引所のシステムを丸々コピーし、同時に蓄えられていた流動性(証券)もごっそり強奪してしまうようなものです。規制の厳しい既存金融においては許される行為ではないでしょう。

しかしOSSエコシステムにおいては、以上のようなことも簡単にできてしまいます。あるプロジェクトが数年かけて作り上げてきたソースコードを、1日で複製し、やり方によっては大量のユーザーを奪うこともできてしまうということです。以上のUniswapとSushiswapの例は、Square社のアライアンスとは直接的な関係はありませんが、オープンソースエコシステムのデメリットを示す良いケーススタディです。

将来的には、オープンソースである暗号資産エコシステムにも、イノベーションの持続的発展を促すような特許の枠組みが増えていくかもしれません。Square社の取り組みは、その先駆け的存在だと考えることができます。