小型SAR衛星開発のSynspective、衛星データソリューションサービスをローンチ——シンガポール土地管理局とPoCも

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「Land Displacement Monitoring」
Image credit: Synspective

※この記事は英語で書かれた記事を日本語訳したものです。英語版の記事はコチラから

衛星データ解析によるソリューション提供や小型 SAR(合成開口レーダー)衛星の開発や運用を行う Synspective は9日、SAR 衛星の画像解析によりミリメートル単位の地盤変動モニタリングが可能なサービス「Land Displacement Monitoring」をローンチした。衛星データを用いて広域の地盤変動の解析が可能になる。

従来から、広域に土地の沈降や地滑りリスクを把握するには、多くの時間と手間を必要としてきた。Synspective では、このサービスを活用することで地盤変動リスクの観察や管理に関わるコストと時間を削減できるため、建設や工事プロジェクト、空港メンテナンス、地下工事に関わるリスク管理に利用できるとしている。

同社では民間企業複数社に加えシンガポール土地管理局と PoC を実施しており、そのフィードバックをもとに改良を重ねてきた。ソフトウェアをインストールする必要のないサブスク型の web サービスやユーザ視点に立った UI/UX により、衛星データの知識が無い人でも直感的に解析結果を理解できるサービスに仕上がったという。

Synspective は2018年2月、新井元行氏(現 CEO)、白坂成功氏(現取締役、慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科教授)らにより設立。昨年 シリーズ A ラウンドで86.7億円の調達を発表し、世界最速となる創業から1年5ヶ月での109.1億円調達を達成した(宇宙開発コンサルティング会社シー・エス・ピー・ジャパン調べ)。

Synspective は2019年4月にフランスのロケット打ち上げ大手 Arianespace と、また今年4月にアメリカの RocketLab と SAR 衛星「StriX-α」の打ち上げ契約を締結しており、年内に打ち上げ予定。StriX によるコンステーレーション(衛星群)を構築し、そこから得られた SAR データを使って、高頻度で安定したモニタリングを実現する計画だ。

Synspective は小型 SAR 衛星を2020年までに1基、2022年までに6基、それ以降、25基の打ち上げを計画している。これまでに調達済の資金で衛星6基の打ち上げが可能で、これらの稼働によりアジアに99ある人口100万人都市の1日1回以上の観測が可能になることを明らかにしていた。

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