Apple v.s. Epic:独占禁止というユーモア(4/6)

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独占禁止というユーモア

(前回からのつづき)Appleは独占禁止法に対して、ユーモアを交えた見解を示している。同社は一時的な差し止め命令(TRO)は意図しない不可抗力な間違いを救済するために存在するのであって、「自業自得」な間違いを簡単に修復するものではないと主張した。これは、Epicが無能で貪欲な行動を取る存在であると位置づけ、Appleを本質的な被害者と仕立て上げているような見せ方となっている。同社はEpicとの訴訟問題を次のように捉えていると語る。

「Epicの訴訟は基本的な資金を巡る意見相違以外の何物でもありません。Epicは自らを現代のロビン・フッドのように描いていますが、実際は既に数十億ドル規模の企業にも関わらず、App Storeの利益だけを享受し、無償で利用することを望んでいます。同社が主張する特別措置待遇は、そうした明白な契約違反を鑑みれば折り合いがつきません。なお、Epicはゲーム開発者の売り上げからコミッションを得たり、消費者に「V-Bucks」をバンドルさせ99.99ドルも課金させるなどの対応をしています」。

AppleはEpicが何年にもわたり、App Storeのツール、技術、ソフトウェア、マーケティング、ユーザーリーチの面で利益を享受してきたことを挙げる。確かにApp Storeは世界175カ国の10億人に対し、iOSを通したサービスをリーチさせることのできるプラットフォームであり、同社もその有用性を認めた2700万人のアプリ開発者の内の一人である。

また、AppleはEpicが事前にストーリー仕立てにしたパロディービデオと、「TRO」を用いて抗議キャンペーンを展開したことについて強く非難している。同社は「Epic側がゲームプレイヤーや開発者が被っていると主張する損害は、同社が契約違反することなく訴訟に動いていればれば回避できたことかもしれない」と述べている。

EpicにとってiPhoneは起爆剤だったと主張するApple/Image Credit: Apple

Appleはさらに、Epicが求める緊急救済(TRO)に応じることは、App Store全体のエコシステムを脅かすことに繋がりかねないとの見解を示した。同社は、仮にEpicが主張するTROを認めれば、開発者が規約違反を犯し、App Store全体のセキュリティーを危険にさらし、Appleへの支払いを回避するなどの行動を起こしやすくなると述べる。そしてまさに、Epicはそのような状態が起きることを望んでいるように思える、と同社は語っている。

必要不可欠な存在か

独占禁止法は、必要不可欠な実態の利用を拒んだ際に適応されることが多い。しかしAppleは「必要不可欠な実態に関するセオリーは、独占禁止法に抵触するからと言って、他の財産や特権に対してアクセス権限を主張するものではないことを裁判所は充分に理解している」と主張する。

また、同社はEpicがiOSへのアクセス拒否を実行したと主張しているが、これは「全くの虚偽」であると述べている。これは、同社がFortnite(フォートナイト)をApp Storeから削除した後も、既存のFortniteのiOSユーザーに対し直接課金を継続したからだと指摘している。AppleはApp Storeが公共事業でないことを強調し、「Epicには、App Storeが提供することが可能な全ての権利を無償で享受する権利はない」としている。

「Epicと同社のCEOは、2008年以来全ての開発者に提供してきた21世紀のもっとも革新的なプラットフォームであるApp Storeの規約に対し異議を唱えていますが、これは同社の収益を最大化させないという理由のみに紐づいた主張なのです。App Storeは書状そのものに革命を起こし、Epicを含むあらゆる開発者・ユーザーに大きな利益をもたらしてきました。AppleはEpicの根拠なき主張に対ししかるべき対応を講じていきます」。

つまりAppleは、数々のアプリケーションはApp Storeあってこそ誕生したものであり、そこに収益構造が敷かれ、その役割報酬を受けるべきだと主張している。続けて、もし革新的な技術でApp Storeが存在していなかったのなら、ユーザーそのものがいなかったことになると述べている。また、同社決済システムは、支払いが確実に行われることを保証する手段であることも付け加えた。

開発者による支払いがあってこそAppleの仕組みは維持される

「開発者が決済をアプリ外で回避できるのであれば、Apple Storeの商品をそのまま万引きしている状態と大差はありません。つまり、Appleの商品に対してAppleが対価を頂けないのです」。

また、Appleは手数料を介した収益モデルは同社に限ったものではないとしている。

「GoogleのPlay Store、AmazonのAppstore、Microsoft StoreやXbox、PlayStation、Nintendo、Steamなどの多くのビデオゲームにおけるデジタルマーケットプレイスでは、公式決済機能を設け、ほぼ同様な手数料要件を要求しています」。

Appleは長年にわたり、App Store並びにiOSのセキュリティー対策を大きな資金をかけて講じてきた。しかし、Fortniteなどがアプリ内で独自の直接決済システムを導入した場合、セキュリティー脆弱性を大いに強まらせる要因に繋がりかねないとしている。同社はEpicが主張する要求に理論的なものはないとの見解を示す。

Appleは2018年にEpicがFortniteをGoogleのPlay Store外部からダウンロード可能にし、結果的にマルウェアを配信するサイトが登場した過去を指摘した。Appleは2019年までに、EpicがiOS以外のFortnite側が脆弱性により、何億人もの単位でハッキングの危険にさらされていることを認めたと述べる。

「Appleでは、こうしたiOSプラットフォームのセキュリティーに関わることをどの開発者にも委託していませんが、特にEpicはセキュリティーに関わる責任を任せることができない存在です」

なお、EpicはAppleの指摘に対しセキュリティー問題を大きく誇張したものだと反論している。

参考記事:Fortnite戦争

【via VentureBeat】 @VentureBeat

【原文】