テクノロジーと戦争:巨大テック企業が戦争に加担することの意味(2/2)

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Image Credit:Anduril

(前回からのつづき)テクノロジーは今、戦争を止める切り札になろうとしています。聞こえのよい表現をしましたが、要するに小競り合いをも躊躇させる強い抑止力になる可能性がある、ということです。これまで軍事技術開発・維持にかかる費用は莫大でした。監視やけん制のための衛星や戦闘機はもちろんのこと、動員人数の多さも国家運営に重くのしかかります。

「ホリエモンロケット」で知られるインターステラテクノロジズが国家主導の高価で大型のロケットに対して、小型で安価なロケットで超小型衛星打ち上げるシステムの構築を目指すように、アメリカでも軍事力を維持するために必要な要素を低コストで獲得するテクノロジーの登場が期待されます。

そしてそれはネットワークを介して繋がり、人工知能によって自律的になることで軍隊を大幅に小さくしつつ、今以上の実働を可能にすることができるようになるかもしれません。

一般的に安価になる、というのは「量が十分に確保ができる」状態になることを意味します。仮にアメリカのテクノロジーを基に小型化したシステムを破壊するために必要な費用とお金が、システムを再構築するのに必要なコストより多い場合、戦闘に勝てる見込みはありません。一見すると安価で自律的な消耗品の集合ともいえるシステムは戦闘の長期化を助長しますが、ジリ貧であることが明確となれば、小競り合いさえも躊躇させることができます。

巨大テクノロジー企業が最新の戦争準備に入念に加担することの意味は、戦う必要をなくすためにあるのです。

Image Credit:Anduril

今回取り上げたAndurilは、まさに軍隊小型化のピースとなるスタートアップです。

Latticeと呼ばれるAIを搭載したソフトウェアプラットフォームを施設、軍事基地、国境を1人で数百マイルを監視できる手段を販売しています。Latticeの機能は侵入者を検出するだけに意図的に留めているものの、クライアントがエリアへの立ち入り許可、または武器の所持などを自動識別する機能を組み合わせて使うことも可能です。使用される地域や監視目的に柔軟に対応できる点も魅力と言えます。

また、近年ドローンがより安くなったことで爆弾を投下、空港運営を妨げる大きな脅威となっています。

同社はこれらを排除するLattice搭載のインターセプタードローンを提供しています。こちらも海外の紛争地帯に配備するための軍事契約を行ったことを発表しています。人類共通のトラウマとも言える軍事とテクノロジーの関係は、アメリカではソフトウェア化が主導する時代の変化とともに民間企業の政治的思想が大きく影響するようになりました。

中国が軍事用途を目的としたAIを中心とする先端技術のメガプロジェクトを始動して「軍事と市民の融合」の教義の下に人民解放軍に利益をもたらそうとする中、アメリカは小型で抑止力を持ち、倫理的な選択と判断に重き置く自由国家を維持できるのか。アメリカと親しい関係性にある日本においても他人事ではない話題になりそうです。