5Gは宝の持ちぐされ
(前からのつづき)ある同僚が昨日私に、実際のところ5Gデバイスを購入するとすぐに手に入るものは何なのか、そして、米国の通信事業者や地域の中に5Gを備えていると主張しているところはあるのかと尋ねてきた。5Gはその可能性を広く提供していると声を大にして言いたい。たとえば5G対応のスマートフォンを購入すれば動画のダウンロードは非常に高速になり、次世代の複合現実体験のスループットが最大限に大きくなる。ただし、地理的に小さな国や中国の主要都市にいれば、だ。大ざっぱに言えばーー2020年10月にこんなことを言うのは残念だがーー期待は低めに持っておいたほうが良いだろう。
手短に言うとこうだ。
たとえ5G対応のスマートフォンを購入したとしても、近くの5G通信タワーに接続しないかぎり、次世代のダウンロードスピードの恩恵にあずかることはない。現時点ではそういったタワーの数は少なく、互いの距離が離れているため、期待よりも遅くなる。VerizonとAT&Tはミリ波のスモールセルをふんだんに使用して5Gサービスを開始したが、必要となるセルサイトが多すぎるために全国展開を一時中止した。その後方針を変え、既存の4Gタワーを4Gと5Gに分割することを決定した。その結果、特定の位置にあるごく小さな「5G+」ゾーン以外では、5Gのパフォーマンスが4Gよりもはるかに速くなることはないと経営幹部も率直に認めている。
T-Mobileが採用したアプローチはよりスマートだと思われる。同社はすでに、「ローバンド」の5Gの包括的なレイヤーで米国をカバーしており、その速度は位置によって大きく異なりはするが、4Gと同等または数倍速い。米国の都市や町の多くでSprintのネットワークからリソースを転用して、高速な「ミドルバンド」層の恩恵を受けている。一方でミリ波テクノロジーに基づいた最も高速な「ハイバンド」層を備えている地域もいくつかある。Appleの「Hi, Speed」のロゴは、T-Mobileが5Gへの「レイヤーケーキ」アプローチと呼んでいるこの戦略を示しているのかもしれない。
ただこのレイヤーケーキで問題なのは、米国のほとんどの人がミドルレイヤーや高速なレイヤーにアクセスできないどころか、ケーキを手に入れられないか、あるいは最下層のレイヤーを利用することになる、ということだ。
筆者が個人的に行ったテストでは、5Gはある街角では2Gbps近くのピークに達し、他の街角では4Gよりも低速になり、複数の場所でアップロードが完全に停止した。現在、米国の5G事情を説明する言葉はただ一つ、「一貫性がない」だ。「一貫性はないが良い」とか「一貫性はないが素晴らしい」とも言えない。最近いくつかの地域のユーザーから寄せられている感想に表れているように、5Gがオフになっている場所では確実に動作するのかもしれない。(次へつづく)
【via VentureBeat】 @VentureBeat
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