Boston Dynamicsとロボット近未来:なんでもできる家庭用ロボの可能性(4/4)

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Image Credit : Boston Dynamics

※編集部注:本稿はVentureBeat編集部によるBoston Dynamicsトップ・インタビューのつづき(前回はこちらから

次のロボット

Boston Dynamicsの当面の焦点は、Spot、Pick、Handleの販売拡大だ。しかし、長期的にはさらに多くのロボットを投入する余地がある。

「私たちの野望は、軽量で移動性の高い操縦機体をいかにして開発するか、という点において何十年にもわたって研究開発に取り組んできた経験を異なる産業に応用することです。Spotを成功した製品として完全に定着させた後は、チームの一部を次の製品の開発に進めることができると考えています。他にも特注のロボットを作ることができる可能性のあるアプリケーションはたくさんあります。このようなロボットを何台も作ってみたいと思っています」(Playter氏)。

Spotも組み立て品と言えるかもしれないが、これにも限界がある。だからこそHandleは存在している。Playter氏は、Boston Dynamics は最終的には様々な規格でより多くのロボットを作る必要があると考えている。

「例えば建設業界では、大きくて重いものを固定しなければならないことがたくさんあります。二人での持ち上げ作業が多く、ロボットが荷重の一部を運ぶのを手伝ったり、そのような作業をすれば、一人での持ち上げ作業で済んでしまうかもしれません。

これらは限られたスペースです。大きくて重いものもあります。乾式壁かもしれませんし、HVAC機器かもしれませんし、ダクトかもしれません。一般的に固定された位置にあるロボットは大きくて重いので、今の環境ではロボット工学を使うことはできません。しかし、建設現場で移動できるほど軽量でありながら、乾式壁の一部を拾い上げて、誰かがネジを締めたり、全体の工程を管理したりしている間に、それを支えることができるようなロボットを作ることができたらどうでしょうか?それは私が思い描いているシーンですが、Spotはそれをしないでしょうし、Handleもそうではありません。もっと大きなロボットが必要なのです」(Playter氏)。

家の中のロボット

6月にはRaibert氏が 「いつか 」自宅用のSpotを売りたいと明かしている。そこで新CEOにその考え方を聞いた。

「私たちがビジネス向けのアプリケーションから始めたのは、個人の消費者にとってロボットはまだ高価なモノだと思っていたからです。Spotが持っている機能を持つロボットを自律型掃除機のような価格で作ることはできません。消費者が考える価格を超える必要があることは明らかで、だから法人向けから開始した、というわけです。一方、ビジネスにおけるロボットの価値というのは明確で、投資収益率の観点からも理にかなうものなのです」(Playter氏)。

大きな課題は製造、サービス、サポートを含めた規模のロボットをいかにして確実に構築するかということだったそうだ。そのためには、いかにコストを下げ続けるかを考えなければならない。

「最終的に家庭用のロボットを持つというビジョンはまだ強く持っています。なぜなら、コストについて言えば数千ドル単位の個人消費者向けのものと同じでなければならないと思うからです。そして今は明らかに数万ドルの規模になっています。機械の能力や生産、サポートの面で私たちが学ぶことはすべて、最終的には消費者レベルで何かをするための基盤を提供しなければならないのです」(Playter氏)。

価格と価値の提案

どのような消費者向け製品でもそうだが、価格が鍵を握っている。Playter氏に家庭用ロボットの目標価格を聞いてみた。

「まあ、確かに1万ドル以下です。1,000ドルのロボット掃除機を見てみましょう。しかし、その価格帯に到達するのは簡単なことではありません。Spotを1,000ドルにするのは難しいかもしれませんが、数千ドルなら十分な規模で実現可能かもしれません」(Playter氏)。

人間を楽しませることから、人間を助けることまで「何でもアリ」の価値提案をしてくれるロボットというのは、依然として未解決の問題である。

「正直、その可能性についてはまだわかりませんし、そこにあまり集中していません。まだ先のことだと思います。私は今持っているロボットの産業用アプリケーションと、物流用に作っている他のロボットに集中しています。ただ、私たちの一部ではこのような変革的なロボットを作りたいとも考えています。人々が自宅に置きたいと思うような安価なバージョンを作ることを想像するのは素晴らしいビジョンだと思いますが、正直なところ、それは私たちにとっては地平線を少し超えたところにあるのです」(Playter氏)。

【via VentureBeat】 @VentureBeat

【原文】

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