【5G対決】Appleにとって5G iPhoneの低価格化が唯一の道である理由(3/4)

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Photo by Ágoston Fung from Pexels

5Gが重要な理由:巨大な中国市場

(前回からのつづき)Appleの四半期決算は、同社にとっての中国の重要性を反映している。中国は四半期ベースで同社に100億ドル以上の貢献をしており、米国に次ぐAppleの第2位の顧客基盤となっているようだ。確かに四半期あたりの金額はヨーロッパの方が多いかもしれないが(130億ドルから140億ドル)、これは広範囲な国々全体を対象にしたものなので、単独で言えば中国はやはり主要な市場であると言えるだろう。中国で売れる製品を作れば、日本の場合に比べてAppleの収益に2倍の影響を与えることになる。

中国は現在5Gがかなり進んでいる。政府による支援のおかげで5Gネットワーク構築が加速して広大な国土に広がった結果、年内にはあらゆる場所で使えるようになるとされている。中国の通信事業者はすでに数百万人の5G顧客を抱えており、5Gスマートフォンのオプションも比類のない多様性を示している。HuaweiはハイエンドではAppleの最強のライバルであり、独自の5Gチップも製造している。Samsungは中国でもプレイヤーとして存在感を示す。

中国における大規模で急速な5Gの展開は、Appleに遅ればせながらQualcommの5Gモデムを採用させることにつながり、結果的に今年中の5G iPhone入手を現実的なものとした。実際、2021年まで5Gで待つことはAppleにとって現実的な選択肢ではない。また、価格や商品価値に敏感な中国人ユーザーに対して手の届かないような5Gモデルのみを提示する、ということもあり得ないことだった。中国でのシェアをさらに失うことが許容されない限り、中国の5Gスマートフォン市場に参加しているだけでなく、現実的に今年、多くのデバイスを販売するための多数モデルが必要だったのだ。

為替問題:ドルは割に合わなさそう

AppleはiPhone Xシリーズで、その天井知らずの価格設定にも限界があることを学んだ。しかしこの計算式にはもう一つの問題がある。それが為替レートと税金の問題だ。米国で999ドルで販売されているデバイスが、中国ではなんと1,270ドル近くの価格で売られることになるかもしれない。

これは価格なんてどうでもよいという顧客を除く、多くのユーザーを排除することになりかねない。さらに言えば、この価格は数カ月後に上下する可能性もある。Appleは明らかにこういった数字が中国ユーザーに与えるインパクトを快くは思わないだろうし、実際、全然売れなかったiPhone XSについては価格のカットに踏み切った過去がある。

Appleは決算について、アナリストとのカンファレンスコールでCFOのLuca Maestri氏は、ドル高が価格設定の課題を生み出すことを予想していると言及している。一方、iPhoneが高価であればあるほど消費者は為替の影響を受けやすくなる。しかしながら特定の国でデバイスを安価にすれば、税金や為替レートによっては利益が薄くなってしまう。

ちなみにエントリーレベルのiPhone 11は現在5,499元ーーこれは米国価格の699ドルより80ドル上乗せしている価格ーーそして同じく iPhone 11 Proは米国価格に233ドル上乗せした8,699元で、iPhone Pro Maxに至っては260ドル上乗せした9,599元で販売している。Appleが2,999元(424ドル)で販売しているHuawei Nova7 5Gと対抗したくないのは明らかだが、一方、その3倍近い価格で5GのProモデルを提供したいとも思っていないはずだ。

噂されているiPhone 12の649ドルという米国価格は、中国ユーザーにどのように映っているだろう。Appleが5,299元(751ドル)で販売している128GBのiPhone XRを考えると想像しやすいかもしれない。これは現在、米国で販売されているものに102ドル上乗せした価格になっている。これぐらいの状況であれば、もし、ドルが強くなっていたとして、問題を回避するために米国で649ドルで販売されたものを5,299元に落として販売することもできるかもしれない。(次につづく)

(編集部注:本翻訳記事の原文は5月に掲載されたものです)

【via VentureBeat】 @VentureBeat

【原文】