スポーツエンタメアプリ「Player!」運営、新型コロナ追い風にスポーツ界のDX推進——3社から資金調達も

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Ookami のチームメンバー。左から3人目が、代表の尾形太陽氏。
Image credit: Ookami

スポーツエンターテイメントアプリ「Player!」を開発する ookami は12日、直近のラウンドで山口キャピタル、三菱 UFJ キャピタル、アカツキ(Heart Driven Fund、東証:3932)から資金調達したことを明らかにした。調達金額は明らかにされていないが、関係者らの情報を総合すると数億円程度と見られる。このラウンドは同社にとって、2018年6月に実施したシリーズ B ラウンドに続くものだ。

ookami は2014年4月の設立。2015年4月にモバイルアプリ「Player!」を iOS 向けにリリースし、スポーツニュースの配信プラットフォームから、スポーツゲームをライブで伝え、ゲームの途中経過や結果とともに、同じゲームを実況観戦する他ユーザと思いをリアルタイム共有できるスポーツ SNS へとピボットした。

「Player!」
Image credit: Ookami

コロナ禍で多くのスポーツイベントが規模縮小や無観客への転換を余儀なくされる中、この流れは Player! にとっては追い風となっている。Player! の月間利用者数はのべ400万人超で、年間約2万試合のスポーツイベントの情報を収集・共有。Player! 上での広告掲載を通じた収益化に取り組んできた同社だが、今回調達した資金を使い、収入減に悩むスポーツチームの収益化支援に乗り出す。

新常態では現地に出向くのが難しくなるので、オンライン上に楽しめる場所を作らないといけない。直接ユーザとコミュニケーションが取れる Player! の特徴を生かして、スポーツのスポンサリングをデジタル化する動きも支援できると思う。(ookami 代表 尾形太陽氏)

新型コロナはお金の流れを変えつつある。リアルのスポーツイベントの露出が減った分、そこに流れていたスポンサーフィーが新たな行き場を探している。一方で、スポーツチームは観客からの入場料収入や協賛金収入の道が閉ざされ、存亡の危機に追い込まれた団体も少なからずあると聞く。Player! はデジタル体験を介して、新たなお金のフローを作ることを目指す。

スポーツチーム向けリアルタイムデータ管理ツール「PLAYER! Admin」
Image credit: Ookami

スポーツチームにファンをエンゲージメントする企画を Player! で展開してもらい、投げ銭やギフティングのような形でファンからチームにお金を入れてもらう活動が、浦和レッズ鹿島アントラーズとの間で始まっている。ookami はパーセンテージで手数料収入を得るのではなく、チームに対し月額定額料で SaaS 利用してもらうことで、チームが収益を得やすくしているという。この SaaS には、チームのウェブサイトやソーシャルメディアへのアクセスを一元的に管理・最適化できる機能も追加される予定だ。

今回のラウンドに参加した投資家のうち山口キャピタルとは業務提携を伴っており、親会社の山口フィナンシャルグループ(東証:8418)との関係をもとに ookami は Player! を通じたスポーツによる地方活性化施策の開発に取り組む考え。また、投資家の一つであるアカツキは2018年末から東京ヴェルディの経営に参画しており、Player! を通じて何らかの取り組みが繰り広げられることが期待される。

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