コロナ禍で続々とピボットする旅・宿泊系スタートアップ、新常態に適応する新ビジネスとは

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今年1月、成都から上海へのフライトに搭乗する乗客ら
Image credit: TechNode/Eliza Gkritsi

新型コロナウイルスの感染拡大が最も提供を与えたセクターの一つは、旅行や宿泊観光業界だろう。3月には、Founders Fund などから支援を受け、創業5年目となるアメリカで旅行代金最適化の「Service」が資金調達や買収話の頓挫からサービスを停止。5月には、インドネシアの格安ホテルアグリゲーター「Airy」が恒久的なシャットダウンを余儀なくされた。一時期は、NASDAQ からの上場廃止検討が報道された中国の OTA 大手 Ctrip(携程)は、今のところ、国内需要の回帰でなんとか持ちこたえているようだ。

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一方で、日本にも海外にも、見事なまでのピボットを遂げたか、これから遂げようとするスタートアップがいる。コロナ禍の新常態が作り出した社会需要に対応して、新たなバーティカルが生まれる可能性もあるだろう。簡単なことではないが、小回りの効きにくい大企業に比べてみれば、ピボットはスタートアップのお家芸と言ってもいいはずだ。ダーウィンが進化論で言った「変化に対応できる者だけが唯一生き残れる」ことがスタートアップにも当てはまるなら、今の時期のピボットは大いに称賛されるべきだろう。

長期滞在やワーケーション対応の宿泊施設価格交渉サイト「Ellcano(エルカノ)」が正式ローンチへ(日本)

宿泊権利売買の「Cansell」を運営する Cansell は今週にも、長期滞在やワーケーション対応の宿泊施設価格交渉サイト「Ellcano(エルカノ)」を正式ローンチする予定。まもなくアプリが公開されるとみられる。今年8月に発表された Elcano は当初9月のローンチが予定されていたが、Go To トラベルへの対応などを行ったため、予定より遅れてのローンチとなった。

Ellcano は、長期旅行・出張(3日〜)、ワーケーション(1週間〜)、ホテル住まい(2週間〜)を対象としたサービス。ユーザが尋ねたい宿泊施設を選び期間を選択することで、各宿泊施設から予算に応じた価格回答を得ることができる。成約時に Ellcano が紹介手数料を得るモデルだ。同社では今後も Cansell のサービスを継続しながら、Ellcano で新たな顧客を開拓するとしている。

海外現地担当者にZoomでイベントへ参加仲介してもらえる「Travel Meet」がローンチ(日本)

knowte(ノウト)は昨年、旅行を計画する消費者が適切な現地ランドオペレータとチャットで繋がることができるプラットフォーム「Oooh(オー)」を正式ローンチした。旅行代理店などが依頼を受けた旅のオーダーについて、実際の細かい旅のアレンジは日本語が話せる海外現地のランドオペレータに任せていることが多い。しかし、コロナ禍では、ランドオペレータも仕事がない状態続いている。

ランドオペレータのネットワークに強みを持つ knowte では、「Travel Meet」というサービスを先々週ローンチした。このサービスでは、展示会や商談会、イベントやカンファレンスなどに、企業担当者が出張する代わりにランドオペレータに出向いてもらい、商談相手などと Zoom で繋いでもらって会話することができる。通訳の帯同も可能だ。knowte では、海外でビジネス活動が再開されている地域であっても、会社のレギュレーションで社員が出張させられない企業を中心に販売したい考えだ。

海外旅行者のリスク管理ができるモバイルプラットフォーム「Sitata」(カナダ)

Sitata は、海外旅行者のリスク管理ができるモバイルプラットフォームを開発している。このアプリでは、デモ、感染症、フライトのストライキやキャンセル、自然災害などイベント中止などのリスク情報を24時間モニタし、ユーザに関連がありそうな情報を通知してくれる。旅行者の状況を位置追跡できる機能も有する。

このアプリが提供する最も革新的で命を救う可能性のある機能の一つは、旅行者と旅行医療を専門とする医師を結びつける機能だ。医師からはビデオ通話で診察を受けることもできるし、場所や空き状況によっては、ホテルの部屋にいながらにして医師に診察してもらうこともできる。個人利用に加え、主に企業で出張中の従業員を支援するために利用されることを想定している。

ホテルを感染者の一時療養施設や医療従事者の宿泊施設としての活用を促す「HospitalityHelps」(アメリカ)

宿泊施設向け管理 SaaS「Cloudbed」は、ホテルを感染者の一時療養施設や医療従事者の宿泊施設としての活用を促すためのイニシアティブ「HospitalityHelps」を開設した。CloudBed は、主に中小規模のホテル、ホステル、バケーションレンタルのオペレーション最適化・自動化のためのソリューションだが、そのユーザであるホテルなどを中心に HospitalityHelps への参加を募っている。一元化された情報は、政府や医療機関らと連携する。

宿泊特典サイトから、ホテル向け感染症予防対策指導プラットフォームに変貌した「Freecovid」(アルゼンチン)

昨年ローンチした宿泊リワードサイト「Tripflix」は、ホテルの感染症予防対策指導プラットフォーム「Freecovid」へと完全ピボットした。Freecoovid では、WHO(世界保健機関)や WTO(世界観光機関)、各国政府が展開する安全プロトコルをホテル業界が実施できいるよう、包括的なトレーニングやコミュニケーションツールを提供する。国際チェーンに所属しない独立系や家族経営の中小規模ホテルを中心にアルゼンチン国内40以上のホテルが導入。ブラジル、ペルー、コロンビア、メキシコでも展開する。