今更聞けないノーコードの基本:ビジネスモデルと具体的な事例(3/4)

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本稿はスタートアップ自身がストーリーを投稿する「POST」記事です

ビジネス上のカテゴライズ

(前回からのつづき)こちらも大別すると、BtoC(Customer)、BtoE(Employee)、両方に対応するノーコードプロダクトに分かれます(ここでBtoEとは業務系アプリを指します)。

BtoCはさらに、マーケティング利用に特化したものやEC、メディアに特化したものに分類することができます。マーケティング特化のプロダクトではスタンプカードや情報発信用に記事を書く機能が備わっており、テンプレート化されたそれらの機能を用いることで簡易にアプリを制作することができます。

EC特化のプロダクトでは、商品の登録や売り上げの管理が簡易にできるようになっており、決済機能も備わっています。ただし、テンプレートからの変更が難しい場合も多く、リッチなUI/UXの実現を阻害する要因にもなってしまいます。前述したBubbleなどのプロダクトでは、柔軟なUI/UX開発が可能ではあるものの、作り込みに苦労することもあるため、導入時には十分な検討が必要です。

BtoEはさらに、情報伝達・勤務管理・エンゲージメント強化、業務・物品・進捗管理/連携などに分類することができます。情報伝達・勤務管理・エンゲージメント強化に特化したプロダクトでは、各拠点で働く従業員へのお知らせや勤怠管理の機能が備わっており、さらに双方向のコミュニケーション機能(いいね、メッセージなど)が拠点の離れた従業員同士を繋げる役割を担っています。

業務・物品・進捗管理/連携に特化したプロダクトとしては、Googleが買収したAppSheetが代表格として挙げられます。

Googleが買収したノーコードプラットフォーム「AppSheet」

AppSheetでは、外部のスプレッドシートやAirtableなどをデータベースとして用いてスマートフォンアプリにデータを表示することができ、アプリ上でのデータ編集結果を同期させることも可能です。そのため、離れた場所で物品の管理をする場合などに有効です。

中にはワークフローの設定が可能なものや、ウェブアプリとスマートフォンアプリ両方で設定したデータの閲覧が可能なものなど、バリエーションが様々で、用途や業務スタイルによって適切なプロダクトを選択する必要があります。一方で、個別にデザインを設定することが難しく、企業イメージをデザインに反映することができないため、物足りなさを感じることがあるかもしれません。

使い方にもよりますが、両方に対応するプロダクトとしては、前述したBubbleやAdaloなどは十分対応可能かと思います。ただ、業務に特化した機能開発が行われていないがために、作り込みが難しくなることが予想されるため、どの程度の開発・運用規模になるか学習していく必要があります。

一口にノーコードと言っても、開発方法、ユーザーのビジネス形態により様々な特徴があります。そのため、ユーザーの用途によってマッチするプロダクトが何かをある程度調査する必要があります。結果的にプログラミングを伴う開発が適しているケースもあり得るため、ノーコードが常に正でないことは留意しておく必要があります。

プランと価格帯

ほとんどのプロダクトにおいて、3から5つのプランがあり、BtoCの場合、利用顧客のターゲットに応じて、月数万円から数十万円までのサービスなど様々です。BtoEプロダクトは1従業員につき数百円程度の金額が設定されるものもあり、使用する規模や必要性に応じた導入の検討が求められます。ただ、Proプランや代理店プランなど、より高価なプランがあるのも特徴の一つであり、サポート体制の充実や外部への制作委託により手間を省いて開発を進めるという選択肢も用意されています。

ノーコードプロダクトを用いたアプリ開発

モバイルオーダーの「SmartDish」はノーコード事例/提供:CARCH

ノーコード自体はここまで紹介した通り、プログラミングを伴わない開発手法として大きく注目を集めるトレンドとなっていますが、このトレンドをうまく自社サービスの開発や業務に取り入れている企業も、もちろん多く存在しています。

飲食店の事前注文ができるSmartDishでは、Adaloによる開発を中心として、アプリで事前に注文・会計を済ませることを可能としています。コーディングは一切せず、利用者用や飲食店用、運営用のアプリを1〜2カ月という圧倒的なスピードで完成させており、開発後には検証によるフィーバックをすぐに改善へと繋げる理想的な運用を実現しています。この開発スキームにより、最短でMVP検証を行うことができ、飲食店との関係性も深めることができたそうです。

開発はあくまでAdaloがメインであり、実務でのコーディング経験は全くないメンバーが作り上げたとのことで、コーディングにとらわれずノーコードプロダクトをMVP検証に綺麗に組み込んだ、パイオニア的スタートアップということができるかと思います。今後はさらなる作り込みや、データベースの速度改善のためコーディングによる開発に移行するとのことです。

この例はプロダクトを検証するフェーズにおいて、ノーコードプロダクトが高速な検証に効果的であることを示しており、今後のアプリ・サービス開発における一つのトレンドとなる可能性を秘めています。

世界では、ノーコードプロダクトで作り上げたサービスが買収される事例も出てきており、特殊な機能を導入しない限り、ノーコードプロダクトだけでも十分なサービス開発が可能であることが証明されています。

ただし、機能の制限や仕様によって、サービスとの相性に良し悪しがあるため、十分な事前調査を行う、もしくは制限された仕様でいかに機能を実現していくかを考える必要があるのもまた事実です。

今後は、ユーザーの声がさらに取り入れられることでノーコードプロダクトが改善され、それらを利用する各社のノウハウが共有されていくことで、さらなるノーコードの盛り上りが予想されます。(開発と運用の実務につづく)