はじまる「シン・副業」:副業収入以上に重要なもの(4/5・後半)

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報酬よりも大事なものとは

(前回からのつづき)キャリア形成における副業の役割はどう考えますか

岩崎:育成観点では、流行りの言葉で言うなら、「会社が育成してくれる」というメンバーシップ型の時代から、個人の専門性が問われるジョブ型の時代に変わる過渡期において、副業をはじめとした「仕事の実践」が成長・育成の手段になることは必然だと考えています。

今までは、研修やジョブローテーションがその役割を担っていました。しかし、企業は即戦力を、求職者は実践経験が欲しいとなると、どうにも足りない。YOUTRUSTも、副業を探している人には、「1ランクアップの役割 or 斜めの職種/スキル」にチャレンジしてみること、企業側にもそのように少し足りない部分がありそうな人も積極的に声をかけてみるように勧めています。

実戦投入による成長というのはOJTの比ではないですからね

岩崎:ちょっと背伸びすることで、その分本気度も高まりますし、きちんと成果が出ればプロフィールに書ける実績になるし、自信にもつながる。また、企業としても自社でかけられない人材育成のコストを削減できるので、メリットは大いにあります。また新しい経験・スキルをもつ副業者がチームに加わることで、既存チーム(≒社員)への育成効果も期待できます。弊社でも新しいサービスの開発に当たって、エンジニアが新言語を学ぶ動機付けになったり、営業トレーニングの実践を行って磨き込みがなされていたりします。

すごい副業、面白い企画ですよね。これはなぜ始まったのですか?

岩崎:背景は、至ってシンプルで「より多くの人に『副業』を知ってほしい」ということがきっかけです。8月に ユーザー向けに調査 をしたところ、副業未経験者が副業をしない理由の第1位が「副業の探し方が分からない」というものでした。本業での禁止や税金面での不安を上回る結果だったので驚きました。

だったら、皆がやってみたくなる副業を募集すれば、話題性も相まってまだ副業をしたことがない人や、探し方が分からないという人にも届くのではないかという思いでこの企画を始めたんです。

また、せっかくやるのであれば募集する方にもメリットがあるように、という観点で、各企画毎に詳細をご本人とすり合わせて決めています。正社員を見据えての副業の時もあれば、今回の南場さん企画のように、本人の「今必要としていること」に合わせた副業の時もあります。ちなみに「すごい副業」の企画も、YOUTRUSTの副業社員がメインで進めています。

副業を通じて経験するとキャリアに繋がるケース:画像提供:YOUTRUST

これまで副業はどちらかというと内職的なおこづかい稼ぎのイメージが強かったですが、向こう10年でこの領域はどのようなポジション変化を起こすとお考えですか

岩崎:収入獲得以上に、自分のキャリアを形作る上で欠かせない経験になります。

10年後には、「本業/副業」という概念はなくなり、雇用ステータスに縛られないキャリア形成が進んでいくと思います。正社員も業務委託もアルバイトも契約社員も雇用ステータスは自分の好きなように選べるし、正直あまり重要なことではなくなります。緩やかにつながったコミュニティのなかで、プロジェクトベースで人が集まったり、解散したりする、そんな未来になると確信しています。

履歴書や面接を必要とする「転職活動」はなくなり、代わりに必要になるのが「信頼」と「スキル」です。信頼とスキルを積んでおかないと、噂はすぐ広まり、声がかからなくなります。

今現在でも、ベースラインが満たされている優秀な人は、副業やフリーランスで数社手伝った後、その中で1番エキサイティングな職場を次の職場に選ぶという転職活動をしている方が増えてきているのを実感します。この動きが(キャリアを考える人にとっては)当たり前になっている未来が早く来るのを、期待していますし、その波を先導するサービスでありたいです。

ありがとうございました。

ーー筆者も長らくフリーランスという働き方を続け、媒体の立ち上げをきっかけに、PR TIMESという組織と、個人を中心としたユニットの両方を行ったり来たりするようになった。ここで重要なのはやはりスキルだ。技術があるからこそ依頼があるし、プロジェクトの中にポジションを見つけることができる。

一方、組織として動く場合にはカルチャーへの参加も重要なポイントになる。

副業には必ず「本業」がある。特に企業で働く人は、その企業のルール、カルチャーに促した行動を求められるはずだ。一方、同じ「ムラの中」で過ごす時間が長くなると、どうしてもスキルの幅が広がらなくなる危険性が伴う。副業を育成のチャンスと捉えるならば、この「スキル」にフォーカスした活動を考えるのがよいと思う。岩崎氏の話を聞きながらそう改めて思った。

次回は副業をきっかけに事業を始めた人のストーリーをお届けする。(次につづく)