
バッテリー:妥協が次のアップグレードを強要するしくみ
(前回からのつづき)毎日使えばiPhoneが2年ほどでうまく機能しなくなることを数百万人のユーザーは経験的に知っている。バッテリーの自然劣化とそれに伴うプロセッサの速度低下により、初日には調子の良かったiPhoneが700日目には限界に達する可能性がある。観念的には、購入当初のバッテリー寿命が「良好」以上なら、日が経つにつれて寿命が短くなっても受け入れることはできるだろう。
5Gによるバッテリーの消耗が大きくなることを予想して、多くのAndroidスマートフォンメーカーは前代の4Gモデルよりも大きなバッテリーを採用した。だがAppleはまたしても逆行し、iPhone 11モデルよりも小さなバッテリーを採用してiPhone 12をより小さくした。独自のテストの結果、当然ながら、iPhone 12シリーズは5Gネットワークを使用した時に駆動時間が短くなっている。だが4G使用時には、A14チップの向上により、小型のバッテリーでも少なくとも同じくらい長持ちさせることができた。
ちなみに、iPhone 12 Proは筆者がこれまでに持っていた2、3台のフラッグシップモデルに比べると、日中に充電することが多い。iPhoneの寿命に多少なりとも慣れた今となっては、iPhone 12 Proのバッテリーの小ささにはいささか不安になる。そのために、このモデルを以前のiPhone XSや11 Proのユーザーに広く薦めてよいものかどうか戸惑っている。これまでAppleが行ってきたバッテリーとデバイスサイズにおける妥協策を見れば、ーー加えて、デバイスをもっと厚く、長持ちするようにしてほしいという長年のユーザーの願いを無視し続けていることからーー同社は気にしていないだろうことを筆者はほぼ100%確信している。
疑わしく思っているのは、AppleがすでにiPhone 12ファミリー用MagSafeの外部バッテリーパックに取り組んでいて、今年のバッテリーを縮小したことによって生じた問題を「修正」することだ。そして、ユーザーがiPhoneのパフォーマンスを気にし始めるであろう2〜3年後に、嬉々として99ドルの交換用内蔵バッテリーを売るか、999ドルの代替スマートフォンを提供する。それがAppleのやり方だ。
その他の細かいあれこれ
- watch OS 7とiOS 14をもって、AppleはApple WatchをアップグレードしたiPhoneに変えるプロセスをひそかに整備した。ユーザーは、Watchのペアリングをあるデバイスから別のデバイスへと変更することを自動的に求められる。スイッチを認証する以外に多くのことを行う必要はない。これはバックグラウンドで最小限度の手間だけで行える。
- iPhone 12 Proのステンレスフレームや飛散防止加工の前面ガラス「Ceramic Shield」は「指紋がつきやすい」などと言われている。筆者がグラファイトモデルで行った個人的なテストでは、指紋のつき方はiPhone 11 Proのスペースグレイほどひどくはない。スクリーンの自然な弾力性が前より良くなっていることは自信をもって言える。常にケースを使うつもりでいるが、iPhone 12 Proの耐久性は初期モデルと比べると格段に上がっている。
- Appleは環境上の理由で、iPhone 12ファミリーからACアダプタとイヤホンを排除したと主張しているが、せいぜい部分的にしか真実ではなく、疑わしいものだ。電磁波の害を軽減させるためにイヤホンを付属させることが法的に義務付けられているフランスを除いた全ての国で、同社はアクセサリの提供に60ドルの追加費用を要求し、それらを必要とする消費者に無料の代替品を与えない。5G電波に対する懸念が膨らみつつあることを考えると、今後の動向は興味深い。(次につづく)
【via VentureBeat】 @VentureBeat
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