コロナ後、会議はどうかわる:在宅とオフィス勤務をハイブリッドにする「ホテリング」(1/2)

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在宅とオフィス混在で、会議室はどうなる(画像提供:ACALL)

(前回からのつづき)Microsoftのイベント「Ignite2020」に関連して、会議や働き方の近未来についてACALL、⻑沼⻫寿氏のショート・インタビューをお送りしている。後半では実際のケーススタディについてだ。在宅とオフィス勤務を混在させる場合、何から手をつけたらよいのだろうか。働き方とセットともなると右往左往してしまうかもしれない。(太字の質問は全て筆者、回答は長沼氏)

在宅とオフィス勤務をハイブリッドにする場合、各社どういう課題を抱えているケースが多いですか

長沼:(自分たちのケーススタディの範囲で)生産性向上の観点で在宅勤務とオフィス勤務のバランスをどう設計すればいいのか、まだ各社手探りの状況です。オフィス出社率の計画とその可視化、改善に課題を抱えています。ワーカーとワークスペースを最適に割当てるための計画と実績をうまくマネジメントする仕組みがないため、恣意的な判断になりやすいのが現状の課題かもしれません。また、在宅勤務時の社員のケアを効果的に行う方法が確立されておらず苦心するケースがあります。

Microsoftの提唱した「リモート通勤」の必要性、という調査結果は面白いものだった。人は通勤時間に今日やるべきこと、やったことの振り返りをすることでリフレッシュし、次の仕事に備えることができる、というものだ。メンタルヘルスの問題は以前から伝えられていたが、通勤時間がなくなって働きすぎになる、という課題もある。

Teamsでは働きすぎ問題が提示されていました。この件についてどのように思われますか

長沼:商談を中心にオンライン主体のスケジュールが可能になったことで、生産性は上がっているように思えます。一方で、スケジュールを詰め込みやすくなったことで、働き過ぎの問題は顕在化しています。また、リモートワーク主体の働き方は「孤独感」を誘発しやすいため、メンタル面でのケアも考えていく必要があります。

たとえば、個人単位、チーム単位であらかじめ時間割のような予定を作成共有して、合間には必ず休憩を挟むようにプログラムし、一定の「余白」を促す仕組みや、チームメンバーがオフィスに集まる予定を自動的にシステムが理解して、次の日はオフィスへの出社をレコメンドするような仕組みがあると良いかもしれません。リモートワークとはセルフマネジメントを高めていく取り組みではありますが、組織としてエンパワーメントする仕組みの構築が早期に望まれていると思います。

いずれにせよ今は各社、新たな課題と向き合う時間になっているようだ。話を物理的なオフィスに戻そう。

話を戻します。在宅とオフィスを混在させることで、話し声問題やプライバシー、機密情報の扱いなど場所に起因する課題が増えていますよね

長沼:在宅勤務の増加によって未稼働のオフィススペースを最適化する動きがあります。具体的には、社員一人一人に割当てていた固定席をなくして予約制のフリーアドレス席や個室ブースを設けるというものです。一方、フリーアドレス型のワークスタイルはオンライン会議におけるハウリングの問題やソーシャルディスタンスを考慮した場合の最適なスペース確保が難しい課題としてあります。

新しいワークスタイルを支えるうえで、個室ブースや少人数のプライベートブースをうまく組み合わせることで、フリーアドレスのデメリットを解決していく必要があります。

またリモートワークで社員一人一人のつながりが見えづらくなっている中で、物理的なオフィスに帰属意識や仲間意識といった情緒的な価値を求める動きもあります。オンライン空間だけでは困難なカルチャー、ビジョン共有といった組織内の暗黙知を内面化していく「場づくり」の取り組みは、物理的なオフィスの方が適しているため、各社のカルチャーやビジョンをオフィスレイアウトや内装などに反映するケースが増えていくのではと思います。

長沼氏はこういった場所にまつわる課題について、新たなアイデアとなるホテリングの考え方を教えてくれた。

ホテリングについてもう少し詳しくおしえてください

長沼:ワーカーに対してワークスペースを最適に割当てる仕組みのことです。飛行機や新幹線の座席予約のようにオフィスのワークスペースをモバイル等から事前予約し、チェックインして利用するというものです。このコンセプトをワークスペース内のソーシャルディスタンス、ビデオ会議時のハウリングを防ぐための座席の割り振りなどの共通ルールを反映させる方法として、執務室、会議室などのワークスペース全体に取り入れる動きが広がっています。

固定席でもフリーアドレスでもない第3のワークスペースマネジメントのあり方として注目されています。特にリモートワークの広がりによって、ワークスペースの選択肢が広がったことで、ワークスペース利用の流動的な変化をとらえることができるホテリングのコンセプトは、新しいワークスタイルによって直面する各種の課題解決に貢献すると考えられています。

ワークスペースを改善するにあたり、どういった費用を考えなければならいのでしょうか

長沼:個室ブースを導入する費用に加えて、ワークスペースとワーカーを最適に割当てるためのルールをシステム化するための費用、またオンライン会議をストレスフリーに行うためのネットワーク環境の見直しも必要となります。執務室や会議室にはオンラインワーカーとオフラインワーカーをつなぐ接点として、大型モニターやロボットアバターを活用する費用も見ておくといいかもしれません。

これらのデバイスを組み合わせることによって、オンラインとオフラインの継ぎ目をなくすワークスペース体験が得られそうです。すでに顧客の中には複数の拠点とリモートワークを組み合わせて、オフィス分散型のワークスタイルを実現されているところがありますが、オンラインとオフライン空間の接点として会議室をうまく活用しており、各拠点の状況を集約表示する大型モニターなどの設備投資にも積極的です。

Teamsの発表でもあったが大型のSurface Hub 2Sのように、デバイスとソフトウェア、そしてオフィススペース・在宅スペースというのは地続きになる必要があるのだろう。上で働く人々の変動要素が多くなる分、下を支えるインフラが一緒になって動くと混乱が激しくなる。

今回は会議というテーマでその場所となるオフィス、働き方の変化について長沼氏の話を元に辿ってみた。感染症拡大を一過性のものと考えるのは、かつてガラケー時代にスマートフォンなんてこないと決めてかかった考え方に近いかもしれない。ここでどのような想像力を働かせ、情報収集をし、具体的にアクションするかを各社求められているように思う。