
Image credit: Apple
15年前、AppleはIBMのPowerPCプロセッサが解決不能な開発の障害となっているとして、デスクトップ・ラップトップ用のチップをIntel CPUへ切り替えることを発表した。今月のスペシャルメディアイベントにおいて、IntelチップをAppleが独自に開発したARMプロセッサへと置き換えた新型Macが正式に発表される。この変化は、Appleコンピュータにとって重要なマイルストーンとなるか、もしくはパソコン史上で忘れられない出来事となるだろう。
従来のPC事業を「停滞」と呼ぶのはふさわしくないだろうが、MacがPower PCからIntelプロセッサへと移行して以来、多くの変化があった。2005年当時、MacはApple最大の製品だったが、Mac全体の売り上げは500万台未満とそれほど大きくなく、Appleの10年来のチップパートナーであるIBMは、次世代デスクトップ・ラップトップコンピュータ用の電力効率の高い部品を製造するのに苦しんでいた。
当時のAppleのCEO、スティーブ・ジョブズ氏はIntelを温かく受け入れ、かつてのライバルに未来を賭けたのだ。Appleの大きくはないマーケットシェアにもかかわらず、PowerPCからIntelへの移行はテック業界で10年に一度の大きな話題となり、Intelの地位をパソコン用チップにおける揺るぎないリーダー的存在にした。そしてAppleは企業が実際に購入を検討しうる確固たるマシンメーカーとなった。
この賭け金は今日のAppleにとって高くなかったことは間違いない。
Intelチップへの移行により、Macは世界のPC市場で2%のシェアという地の底から10%へと上昇した。だがこの10年間で、Macは2兆ドル規模の同社のビジネスにとってさほど重要なものではなくなった。発表されたばかりの2020年の決算では、Appleの売上のうちMacが占める割合は10%強であり、iPhone、iPad、Apple Watch、Apple TVの約7分の1だ。他のデバイスの強さにもかかわらず、Appleは世界的なPC販売でLenovo、HP、Dellを超えることができておらず、Macの米国での市場シェアは毎年15%にも達していない。理屈の上では、AppleはMacを過去の事業として放棄し、財務上の影響を回避してもよいはずだ。
しかし、AppleはMacを同社の将来にとって重要なものとして扱いつづけ、超ニッチなモデルであるMac Proを製品ラインナップ全体のランボルギーニと位置付けている。Appleは、メインストリームの顧客を獲得しつづけるために引き続きラップトップを合理化し、デスクトップのパフォーマンスを向上させ、自社開発のTシリーズチップでセキュリティを高めてきた。
MacをWindowsパソコンのスーパーセットとして効果的にマーケティングし、Boot Campやエミュレーションを使用してPCが実行できるものすべてを実行し(高性能ゲーム以外)、macOSおよびMac専用アプリへの独占的なアクセスを顧客に提供している。(次につづく)
【via VentureBeat】 @VentureBeat
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