中国政府、ネットサービス大手に独禁法の適用範囲を拡大へ

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注文品をピックアップする Meituan(美団)のドライバ
Image credit: TechNode/Coco Gao

中国の市場規制当局は10日、既存の独占禁止法の適用範囲外となっていたインターネット企業を対象に、反競争的行為を対象とした新規則を提案した。

変更された点:新規則では、これまで物理的経済のみに適用されていた特定の反トラスト用語の範囲が拡大された。その一例が「相対市場」の定義であり、プレイヤーが市場の50%以上を支配している場合に「支配的地位」を示し、中国の独占禁止法の管轄下になる可能性があるというものだ。同法は2008年に施行された。

  • 法律専門家は、伝統的産業の企業を規制するために設計された法律であり、ほとんどの場合、中国経済のますます重要なセグメントであるインターネット上で営業する企業には適用されなかったため、長い間この法律を批判してきた
  • 新規則は、市場シェアを決定するパラメータを拡大し、取引量、ユーザベース、ページビューなどのファクターを含むようにした。
  • この規則は、EC 大手 の Alibaba(阿里巴巴)、ソーシャルメディア大手の Tencent(騰訊)、フードデリバリプラットフォームの Meituan(美団)、配車サービスの Didi Chuxing(滴滴出行)など、中国最大のインターネット企業のいくつかに厳しい規制を課すことになる。中国は今月初め、規制の懸念を理由に、フィンテック大手 Ant Group(螞蟻集団)の新規株式公開を停止させた
  • 11月末まで公開審査中の草案では、ネットワーク効果や市場プレーヤーの規模、データを扱う能力などの要素も考慮することを求めている。中国国家市場監督管理総局(SAMR)が1月に発表した独占禁止法の改正草案にも同様の規定が盛り込まれていた。また、SAMR は10日に発表された規則の草案も作成した。
  • ガイドライン案では、事業者に商品を販売するプラットフォームを「2つのうちの1つ」を選択するよう強制する企業は、「反競争的行為に加担している」と見なしている。
  • 顧客の購買力、消費履歴、またはユーザの嗜好に応じて製品やサービスに異なる価格を付けるプラットフォームは、規則案によると、「独占的な行動」である。

テック株が急落:中国テック企業の株価は、10日と11日にガイドラインのニュースを受けて急落した。Alibaba、Tencent、Meituan などの株価は2日間で8%以上急落した。多くの中国テック株が上場している香港の Hang Seng Tech Index(恒生科技指數)は10日、5%超下落した。

  • ブルームバーグは、株価低迷で中国のテック企業の時価総額が2,000億米ドル以上目減りしたと試算した

背景:中国の最高位にある規制当局が1月に独禁法の改正案と10日の規則案を提案する前から、SAMR はすでにインターネット企業の潜在的な独禁法違反を抑制するために取り組んでいた。

  • SAMR は2019年1月、いわゆる中国初の「インターネット独禁法捜査」を、世界三大レコードレーベルと取引した Tencent Music Entertainment(騰訊音楽娯楽)に適用した。Tencent が初期権利取得のため過剰な料金を支払い、競合各社がそのコストの負担を強いられたとの苦情を受けてのものだった。
  • しかし、ブルームバーグによれば、SAMR は1月に調査を中断することにした。規制当局は捜査がどこまで進んだのか、なぜ捜査が打ち切られたのかを明らかにしなかったが、その前の2019年後半には、Tencent Music Entertainment が Tiktok を運営する北京のスタートアップ Bytedance(字節跳動)と音楽ライセンス契約を結んでいる。

【via TechNode】 @technodechina

【原文】

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