旅行予約大手ExpediaがQ3決算公開、Vrboが救世主になるも本体事業は大幅回復見えず

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Expedia子会社の民泊事業を営むVrboは決算に貢献

ピックアップ:Expedia Group Reports Third Quarter 2020 Results

ニュースサマリー:Expediaは11月、2020年度第3四半期における決算報告書を公開している。報告書によれば、売り上げ高は昨年比で58%減少の約15億ドルを計上した。また、同プラットフォームにおける予約数は昨年比で68%の減少を報告している。

話題のポイント:Expediaは、COVID-19の深刻さがちょうど重なった第1四半期レポートにおいて、他OTAプラットフォーマーと同様に宿泊予約のキャンセル手続きに追われていることを明らかにしていました。特に、月間のキャンセル手続きが総予約数を上回ったことは衝撃的な事実でした

その後の第2四半期においても売り上げ高の前年度比82%減、さらには予約数90%減を報告しており苦しい状況が続いていました。世界の国境が閉鎖していたことを考えれば、OTAであるExpediaの減益は当然だったといえます。

Expediaは4月ごろに、総額39.5億ドルに渡る大型の優先株を利用した資金調達を実施しています。しかし、終わりの見えないトラベル市場の縮小に対して特別何かソリューションを示すことができずに第3四半期を迎えたという状況ではないでしょうか。第2四半期のレポートでは、ショートターム需要の減少はもはや歯止めがきかないものであり、長期的な経営戦略を考えなおす時期になっているのは明らかだ、という見解を示しています

同じくトラベル市場の象徴的存在であるAirbnbは、ロングタームステイへのコンセプトシフトを図り、夏場にはパンデミック後初となる宿泊予約100万を記録することに成功しています。Expediaは、Airbnbと同様の民泊事業を営むVrboを子会社に保有しており、第3四半期では売り上げ高・予約数共に大きく全体に貢献したと言及しています。

しかし、Expediaが完全にロングタームへ軌道変更することはプラットフォームのモデル的にも難しい(フライトや宿泊をセットととした典型的な型なため)ことに加え、ビジネストラベラーの絶対数が減少していることも今後同社が指針を示していく上で重要となるファクターでしょう。いずれにしろ、Expediaを含む多くのOTAがAirbnbのようにダイナミックなプラットフォームのコンセプト変更が求められている時期なのは間違いなさそうです。

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