農業のデジタル化でケニア女性の自立を模索する「Farmers Pride」の取り組み

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ピックアップ:Kenyan agri-tech startup Farmers Pride raises $220k funding from Gray Matters Capital’s coLABS

重要なポイント:11月初めに22万ドルの資金調達を行ったケニアのアグリテック・スタートアップFarmers Prideは国内の小規模農家や農業製品・農産物販売を行う女性に焦点をあて、ワンストップのECプラットフォームを展開して女性の収入向上を支援している。

詳細な情報:出資したcoLABSは世界中の女性と少女が直面する重大な問題に取り組んでいる革新的でスケーラブルな企業に投資するために、2017年初めにGray Matters Capitalによって立ち上げられたグローバル投資ポートフォリオ。

  • Farmers Prideはテクノロジーとフランチャイズを活用し、農家の生産性や農産物販売の売り上げ向上など、農家が成功するのに必要なすべてのものをつなぐラストワンマイルのオンラインとオフラインをつなぐECプラットフォームを提供している。中でも小規模な女性農家や女性の農産物販売者のエンパワーメントに積極的に取り組んでいる。
  • 同社は既に1万人を超える農家と約300の農業製品や農産物を販売する小売業者のユーザーを獲得している。
  • 今回調達した資金は、主には女性農家を対象とする農村部約50万人の農家を対象に、同社のワンストップECプラットフォームを介した保険サービスや金融サービスへのアクセス、市場との連携、農業の機械化などによる収入向上を支援することに使われる。資金の一部はその他、テクノロジーを活用した農業関連製品及び農産物販売所の立ち上げや、2022年までに3万人の農家を支援することを目的とした教育プログラムの作成にも使われる。
  • オンラインベースの小規模農家のサプライチェーンを構築し、それぞれ独立していた小規模でインフォーマルな各農村の農業製品や農産物の販売所をマイクロフランチャイズに変えることで価格の透明性や公平性が高くなる。また、製品のトレースが可能になることで種子や農薬などの製品の期限切れや質の悪い偽造製品が流通することを防げる。

背景:ケニアは、2006年には性的犯罪法、2015年に家庭内暴力防止法、2019年はFGM撲滅政策とジェンダー開発に関する政策と女性の平等を高めるための措置を講じているため、依然としてジェンダーギャップはあるものの徐々に改善傾向にある。(2020年のグローバルジェンダーインデックスは0.671で153カ国中109位)

また、ケニア国立統計局は国連やユニセフ等と協力し、ケニアにおける女性と女児のエンパワーメントのための初の包括的かつ体系的な指標となるWEI(Woman Enpowement Index)を作成し今年8月に最初の調査を行った。結果として都市部と農村部、教育水準、貧困の度合いなど国内の中でも置かれている環境により、女性に与えられた権利や権限の差が数倍にのぼるケースもあり国内での女性の立場による格差が明らかとなった。同調査によれば都市部に住む女性の40%には権限が与えられており、これは農村部の割合の約2倍となる。

執筆:椛澤かおり/編集:岩切絹代・増渕大志

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