貧困層にキャッシュレスを広げるケニア「Digiduka」は送金手数料無料モデル

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ピックアップ:Kenya’s Digiduka launches to help bring informal retailers into digital economy

重要なポイント:モバイルマネーサービスM-PESAが高い普及率を誇るケニア。しかし、貧困層やインフォーマルセクターの小売業者などの間では、現在でも現金による支払いが好まれる傾向にある。Digidukaはこれらの人々をターゲットに、オンライン上での商品の販売やキャッシュレス決済の行えるプラットフォームをローンチした。

詳細な情報:同社はこのプラットフォームを「インフォーマルセクターの小売業者がFacebookショップ、Instagramショップ、WhatsAppチャットボットなど複数のソーシャルプラットフォームでデジタルストアを立ち上げ、商品を販売できるようにするソーシャルコマースプラットフォーム。在庫管理・支払い・配送を処理するエンドツーエンドのShopifyのようなソリューション」と説明している。

  • Digidukaは小売業者にモバイルアプリまたはUSSDショートコードを介し、モバイルマネーと銀行支払いされた料金の回収ができるウォレットを提供。送金手数料を無料にすることで小売業者とエンドユーザー両者のキャッシュレス化を推進する。
  • これによりインフォーマルセクターの小売業者もオンラインで商品の販売が行えるようになり、デジタル経済への参入の手助けとなる。同社によればサービス開始からの数か月で、3,500を超える小売業者や中小企業による取引がプラットフォーム上で行われている。
  • 今後3年間で、ガーナやタンザニア、ウガンダ、ルワンダ、エチオピアなど、同様の機会が見込まれる他のアフリカ諸国への拡大も計画している。

背景:ケニアではM-PESAの普及率が高く(M-PESAによる総取引額はケニアのGDPの5割弱にのぼるといわれている)社会のキャッシュレス化に成功していると言われているが、決済には最大で9.5%となる手数料がかかることが難点。

そのため、低所得者層やインフォーマルセクターの小規模な小売業者の間では、日々の生活の中での支払いの92%は依然として現金で行われている。M-PESAの支払いが積極的に行われないこの分野に着目して事業を行なうスタートアップは他にも TandaPesaKitPesaPointOpenFloat などがある。Digidukaは世界的VCのAntlerが昨年ケニアでの事業を開始した際に行った、約半年のナイロビプログラムの中で10万ドルの出資のもと設立されたスタートアップだ。

執筆:椛澤かおり/編集:岩切絹代・増渕大志

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