クレカを持たない市場を狙え、メキシコのデジタルバンク「Klar」

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Image Credit : Klar

ピックアップ: Leading a $15 million round, Prosus Ventures makes the challenger bank Klar its first bet in Mexico

ニュースサマリー:オンラインバンクの「Klar」はシリーズAにて1500万ドルの資金調達を発表している。リード投資家にはProsus Venturesが務め、International Finance Corporation、Quona Capital、Mouro Capital、またaCrewも同ラウンドに参加している。

話題のポイント:今回調達を発表したKlarは、メキシコ市場に特化したオンラインバンクを提供しています。南米市場では、フィンテックスタートアップの成長が目まぐるしい状況です。Finovista(フィノビスタ)が公開した資料「Fintech Radar Mexico 2018」によれば、2017年におけるメキシコのフィンテックスタートアップは238社存在し、年次で約50%の成長を記録しています。また、さらに2018年最新のデータでは334社まで増加し、南米ではブラジルに次いでフィンテック大国に進化しています。

その反面、メキシコを含む南米では銀行口座そのものやクレジットカードを持っていない人口割合も非常に多い傾向にあります。Klar創業者のStefan Moller氏によれば、メキシコにおける成人のクレジットカード保有率は10%程で、2018年における日本でのクレジットカード保有率84%と比較すると歴然の差があることが分かります。

メキシコにおけるクレジットカード普及率の低さの一つの要因には、Eコマースがそこまで浸透していないという背景にあると考えます。Import Export Solutionsの公開したデータによれば、2017年におけるメキシコのEコマースが占めた小売店の売り上げはわずか2%と極度に低いことを表しています。ただ、Statistaのデータによれば、Eコマース売り上げ・ユーザー数は右肩上がりにあり、需要とインフラが整備されていることが読み取れます。

このように、Eコマースやその他オンラインでの決済需要が増えれば相対的にKlarのようなデジタルバンクへの需要も高まることは間違いないでしょう。また、最近ではスマホの利用状況から融資する金融手法が発展途上国で普及して始めていることから、北米や欧州とは違うアプローチで金融サービスが普及する可能性を秘めています。

共同執筆:「.HUMANS」代表取締役、福家隆

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