5ドル未満のナノクレジット「Venio」がフィリピンとメキシコで躍進するワケ

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重要なポイント:アメリカのNYに拠点を置き「ナノクレジット」サービスを提供するVenioは、7月にフィリピンのマニラ、セブ、ダバオでサービスをローンチしている。約3カ月で3万を超えるダウンロードを達成したことを背景に、10月からはフィリピン全土でのサービス提供を開始した。

詳細な情報:5ドル未満のナノクレジットサービスが特徴のVenioの目的は、銀行口座を持たず、金融サービスへのアクセスが不可能な人々を金融システムに引き入れ、公正かつ平等なアクセスの道を開くこと。

  • サービス利用に際しての担保等は一切不要で、銀行口座を保有していなくても1ドルから5ドルの小規模「ナノ」ローンにすぐアクセス可能。ローンの返済は3・5・7日後の3段階の期限の中からユーザーが自分で返済期限を選択する。
  • 同社HPでは、アプリをダウンロードして必要項目を入力するだけで、90秒以内には最初の1ドルから5ドル、もしくはVenio Marketplace内での各種商品やサービスの支払いに利用できる現金と同等のVenioクレジットが利用できるようになる。
  • Venioの利用を重ねて評価(クレジット)を積み上げていくことで、5ドルよりも高額なローンやVISAと提携したVenio Visa Card の発行なども可能となり、ナノローンを通じてさらに広範な金融サービスへのアクセスも期待できる。
  • フィリピンでは、1ドルで2キロの米や一般的な薬の購入、通勤のための交通費一週間分などが賄える。また、メキシコでは1.2ドルから7ドルがナノクレジットローンとして利用できる範囲で、フィリピン同様この金額で一般的な薬の購入や通勤のための交通費一週間分などを賄うことができる金額となる。
  • Venioクレジットの利用や返済は、首都圏に限らずVenioと提携する小売パートナーが運営する全国の店舗や商店でも対応しており、フィリピン全土の至るところにある当地のコンビニのような小売店サリサリストアにも対応。
  • 同社はメキシコ支社Venio Aplicaciones de Mexicoを設立し、メキシコシティ、グアダラハラ、モンテレーを足がかりに、メキシコ全土の消費者が利用できるよう事業を拡大していく。同社HP上から確認出来る限りだけでも、ASEANとその周辺諸国を含めたアジアや中南米でそれぞれ約10ヵ国、アメリカ、カナダ、EUなど、今後数十カ国でのサービス展開を視野に入れている模様。

背景:フィリピンを始めとする新興国では貯蓄がなく銀行口座を保有していない人が多くいる。こういった人々は、当月の生活費が足りなくなってしまうようなことが起こる可能性も高いが、一方で正式な金融サービスから融資を受けられる可能性は低く、結果として法外な利息を取る非合法な貸金業者からお金を借りざるを得ないことがある。 実際にフィリピンではこのような問題を解決すべく、給料の前払いサービスを提供する会社なども登場している。なお、現在フィリピンの銀行口座保有率は12.2%、メキシコは38.7%となっている。

執筆:椛澤かおり/編集:岩切絹代・増渕大志

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