Amazonが狙うヘルスケアAI領域ーーライフサイエンスデータをAWSに保存・分析「Amazon HealthLake」発表

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Amazonは本日(訳註:原文掲載日は12月8日)のre:Invent 2020バーチャルキーノートにおいて、医療機関が最大でペタバイトクラスのライフサイエンスデータをAmazon Web Servicesに保存、変換、分析できるサービス「Amazon HealthLake」を発表した。Amazonによると本日からプレビュー版として利用可能になるHealthLakeは、HIPAAに準拠したもので、ルールや手順、診断などの医療情報をリアルタイムで自動的に理解し、抽出することができる。

ヘルスケアデータは電子医用検査システムなどの様々なシステムに分散していることが多く、構造化されていないことが多いため、整理が難しい。クリニカルノート、レポート、保険請求書などのフォーム、画像スキャンなどの医療記録のデータは、分析を開始する前に準備して正規化する必要があるのだ。

HealthLakeは顧客が数十のフォーマットの異なるサイロ化されたデータをまたいで、何十万ものデータポイントにインテリジェンスを適用し、この課題解決目指す。例えばHealthLakeは、自然言語理解とオントロジーマッピングを活用して、患者が適切に薬を処方されているかどうかを識別し、血糖値監視システム、医師のメモ、保険のフォーム、検査報告書などから情報を引き出して、その結論を通知してくれる。データは継続的に読み込まれ、標準的な方法でクエリや検索を行ったり、Amazon SageMakerにインポートしてモデルを訓練し、糖尿病患者数の前年比などのメトリクスを予測したりすることが可能だ。

ライブストリーミングで実施されたデモでは、AWSのAI担当バイスプレジデントであるMatt Wood氏が、制御不能な糖尿病患者の部分的な集合に注目し、重度の合併症を回避するための治療法を検討するためにHealthLakeが使用されていることを示した。HealthLakeは、医療提供者から直接データを取得し、Amazon QuickSight上で他の患者の状況を可視化していた。

Amazonによると、HealthLakeは医療システムのデータ共有を可能にする標準フォーマット「FHIR(Fast Healthcare Interoperability Resources)」を含む相互運用性の規格を意識しているという。追加の規格のサポートも予定されている。

昨年書いたように、AmazonはヘルスケアにおけるAIを開拓するフロンティアで、おそらく次の主要な収益ドライバーにしようとしている。ヘルスケア分野のAI市場は、遠隔医療や遠隔監視サービスの需要もあり、2026年までに192億5000万ドルに達すると予測されている。HealthLakeの立ち上げは、Amazonがプライマリケアの現場で臨床スタッフのために医療音声を書き写すサービス「Transcribe Medical」をデビューさせてから1年後に登場した。そして2018年、AmazonはライバルのGoogle Cloudに続き、TranscribeTranslateComprehendの3つのAWS提供サービスをHIPAAの対象としている。

【via VentureBeat】 @VentureBeat

【原文】

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