「チェックアウト」体験をSaaSで提供、EC決済のBoltがシリーズCで7,500万ドル獲得

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ピックアップ:Bolt Raises $75M Series C1 To Advance One-Click Online Buying

ニュースサマリー:EC決済SaaSの「Bolt」は21日、シリーズCにて7500万ドルの資金調達を実施したと発表した。リード投資家にはWestcapとGeneral Atlanticが参加し、既存投資家のActivant Capital、Tribe Capital、その他複数エンジェル投資家も同ラウンドに参加している。同社は2016年の創業からこれまでに総額1億3,500万ドルの資金を調達している。

話題のポイント:BoltはECサイトを運営するオンラインリテーラーに向けの決済システムで、トランザクションの自動不正検知などをオールインワンにしたSaaS型にて提供しています。Boltを利用すれば、PayPalやWooCommerce、さらにはShopify等のECサイトで見かけるような決済フローをさらに強化して自社ECサイトに導入することができます。

今回のリリースと同時に、Forever 21やBrooks Brothers、Nauticaなどのブランドを持つAuthentic Brands Group(ABG)との提携も発表しており、リリースによれば、ABGは年間で140億ドル以上の売り上げがあるそうです。これらが全てがBolt上で決済されるインパクトは大きく、特にリテール関連企業がECへのほぼ全シフトを余儀なくされている現状を考えると、さらに勢いは加速することが予想されます。

同社によれば、米国におけるユーザーのEC行動で70%がチェックアウトから決済を完了できずそのまま放置してしまう状態があるそうです。さらにこれがモバイル上のユーザー行動となった場合だとその割合は85%に達するそうで、これにより米国では毎年1兆ドル以上、グローバルでは10兆ドルの損失が生まれているという話です。

具体的なBoltの仕組みは1年前のシリーズB調達の際に解説していますが、最も特筆すべきなのはやはり完全自動でA/Bテストの実行、それによりプロダクトやその特徴に最適化した決済フローに変化するという点でしょう。チェックアウトの流れは、ユーザーごとにリアルタイムで最適化されます。そのため、一人ひとりにパーソナライズさせた形のチェックアウト体験を提供することができます。Shopifyなどに出店しないで自社サイトを維持したいブランドは、Boltの決済フローのみを導入すればよいのでここも彼らが好まれている理由になります。

同社によれば、Boltを導入したECサイトでは業界水準より60%以上高いコンバージョン率を維持するといいますから、自社だけでECを構築する手間やコストを軽減したいブランドにとってはますます重要な選択肢になりそうです。

共同執筆:「.HUMANS」代表取締役、福家隆

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