台湾発の赤ちゃん見守りAIカメラ「Cubo AI」、日本と欧州に進出へ

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Cubo AI のチーム

台湾の新しいベビーカメラ Cubo AI は、2021年にヨーロッパと日本の市場に間もなく参入すると発表した。Cubo AI の CEO Joanna Lin(林伯修)氏は、創業から4年で年商が0から2億ニュー台湾ドル(約7.4億円)に達したと述べた。同社は今後も世界展開を継続する。

台湾の衛生福利部(日本の厚生労働省に相当)が発表した最新の乳幼児死因報告書によると、台湾の乳幼児死因の第4位は事故傷害で「偶発的窒息」が約75%を占めている。

現在市場に出回っている従来の赤ちゃん監視カメラと比べ、Cubo Ai の製品と競合他社との最大の違いは、カメラ内部の AI 技術が、子供が口や鼻を覆っていたり、転がっても戻ってこなかったり、キッチンやベランダなどの危険な場所に入ってしまった場合などの「本当の危険」を判断し、泣き声の通知やスマートフォンでいつでも子どもの様子を見るといった基本的な機能だけではなく、すぐにモバイルアプリで保護者や保育者に通知することができる点だ。

Cubo AI は創業から4年で年商は毎年4倍の成長を記録し、2020年には約3万台が販売された。来年は今年の3倍の売上成長を維持したい。(Lin 氏)

Cubo AI は16日、ドイツ、フランス、イタリア、スペイン、日本など、十分な消費力があり、新生児向けの市場が大きい国に参入すると発表した。「国際市場参入に合わせ、より手頃な価格の製品も開発していく(Lin 氏)」という。また、Cubo AI が将来、赤ちゃん向けスマートホーム主要ブランドになることを望んでいるとも Lin 氏は語った。

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CEO、Cubo AI が4年で急成長した3つの理由を説明

Cubo AI は2018年、強力な AI 技術を搭載したスマートベビーカメラで台湾最大のクラウドファンディングプラットフォーム「Zeczec(嘖嘖)」に名を連ね、台湾の母子テック製品の歴史的記録を更新し、1,000万ニュー台湾ドル(約3,700万円)以上を調達。2019年6月、世界有数のクラウドファンディングプラットフォーム「Indiegogo」で50万米ドル以上を集め、母子テックカテゴリでクラウドファンディングの記録を更新した。

Cubo AI は台湾を拠点とするスタートアップで、設立から4年間で年商はすでに2億ニュー台湾ドル(約7.4億円)に達した。Cubo AI が4年間でどのようにして成長したかを振り返って、Lin 氏はCubo AI の3つの主要戦略を分析している。

Cubo AI

1. 台湾生まれ、強力な技術陣とハードウェアのコミュニティに支えられて

2020年には、台湾のパソコン部品メーカー Chicony(群光)と共同開発した二代目となる製品「Cubo AI Plus」を発売、アメリカ、カナダ、イギリス、オーストラリア、台湾で販売している。Lin 氏によると、台湾に強力なハードウェアのコミュニティがあり、一流のソフトウェアの才能と相まって、Cubo AI は一流の AIoT 製品を生み出すことができているという。

また、Cubo AI は TechOrange(科技報橘)とのインタビューで、チームの最大の強みは研究開発力の高さで、コア技術をすべて自社で持っていることだと指摘している。 赤ちゃんの鼻や口を検知したり、危険な場所に入ったことを知らせたり、自動で写真を撮ったり、かわいい画像を記録したりと、AI 解析エンジン、ソフトウェア、ハードウェアはすべて自社チームで設計・開発している。

Cubo AI と協業した Chicony 映像プロダクト部門長の Mandy Tsai(蔡媚伊)氏は、次のように語った。

Chicony の部門も Cubo AI のようにゼロから始まる革新的な部門であるため、外国の大口顧客や大企業と仕事をするだけでなく、より多くの台湾のチームをサポートしていきたいと考えている。

我々は台湾の産業にもっと還元すべきだと思う。新しい創造は本当に難しい。最も不足しているのは貢献できるパートナーだ。Chicony は Cubo AI への貢献を担当するパートナーだ。将来、Cubo AI の製品をより良くするために協力することを楽しみにしている。台湾に新たな光を育て、ものづくりの台湾というだけでなく、多くの才能があることを世界にアピールできるよう、Cubo AI の製品をより良いものにするため、共に頑張っていきたい。

2. D2C モデルを成功させた Amazon を念頭に、最初から世界市場を展望

次のステップは、世界最大のオンラインストア Amazon に商品を置くことだ。(Lin 氏)

2019年末、アメリカ、カナダ、イギリス、オーストラリアなどの英語圏の Amazon で Cubo AI の販売が開始されました。 2020年、台湾 Amazon で販売されているブランドの中でも最も成功しているブランドの一つは Cubo AI だ。Cubo AI は台湾を中心に、Amazon の強力なグローバル EC と物流プラットフォームでグローバルビジネスを行っており、「D2C モデルで今回参入を決めたヨーロッパや日本にも Amazon がある」と Lin 氏は語った。

物理的なチャネルを経由せず、Amazon と自社公式サイトのみでの販売を選択するという、グローバルなオンラインチャネルのデジタルエコノミー戦略により、Cubo AI は世界的なコロナ禍においても売上を伸ばし、2020年には2019年の4倍の売上高を達成し、2億ニュー台湾ドル(約7.4億円)近くに達することができた。

Cubo AI の共同創業者で広報ディレクターの Dan Kangning(単康寧)氏によると、2020年のコロナ禍には、オンラインチャンネルの人気の高まりやテレワーカーの割合が増えていることから、消費者の Cubo AI 製品に対する需要が欧米では旺盛だったという。

アメリカ、カナダ、イギリス、オーストラリアの消費者は、ほとんどが中層階や2階建ての家に住んでいるので、親が在宅で仕事をしている時には、2階で寝ている子供をパソコンの画面で見て、仕事をしながら子供の面倒を見ることができる。(Dan 氏)

3. 台湾発 Facebook 活用の越境ブランド代表格に

Cubo AI は、2020年の台湾におけるFacebookの越境ブランディングの取り組みの中で、最も優れたものとされている。Lin 氏によれば、Cubo AI は Facebook 上でのローヤルティの高い顧客 VIP コミュニティの構築、ブランドアンバサダーの発掘、アプリ内クチコミマーケティングによりコミュニティ内にクチコミ効果を生み出しており、Facebook と Instagram の両方でクチコミを見ることができる。

また、ヨーロッパ及び日本市場に参入した後の B2B 市場への参入計画について、Lin 氏は「現時点ではまだ PMF の段階にあり、2021年にはティッピングポイントに到達すると予想している」と述べた。 ヨーロッパ諸国や日本に進出後の Cubo AU の B2B 市場への参入計画については、Dang 氏は「当面は B2C に注力していく」と述べた。

【原文】

【via TechOrange】 @TechOrange

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