
AI倫理研究から企業投資を排除
(前回からのつづき)Gebru氏の解雇から数日間で、2,000人以上のGoogle社員が「前例のない研究検閲」を主張する公開状に署名した。その余波で一部のAI研究員は同社が事件によって提起された不満に対処するまでGoogle AIの論文をレビューすることを拒否すると述べた。広く言えば、Googleで起こったことは、実際に認められている学術研究全体がもつ影響力について疑問を投げかけている。
来年カリフォルニア大学バークレー校の准教授となるRediet Abebe氏は、「NeurIPS Resistance AI」のワークショップで、Googleからの研究資金を受け入れない理由を説明した。また、学界の上級教員は大手テックの研究資金について話すべきだと意見している。
「資金源と自分の研究内容とを分離することは、1人ならおそらく可能かもしれませんが、全体となると影響力をもつことを認めなければなりません。研究者の多くが同じ資金源から資金を受け取っている場合、共にその資金源に報いる方向へと研究が傾いていく可能性があります」。(Abebe氏)
一方、弁護士のJasmine McNealy氏はフロリダ大学のジャーナリズムの准教授とハーバード大学のバークマンセンターに所属する教員を兼務している。McNealy氏は最近、AI倫理研究のためにGoogleからの資金提供を受けた。彼女は、現在の経済環境であれば、公立大学がテック企業だけでなく事実上あらゆる資金源からの資金提供を断ることができるという考えに懐疑的だ。
「州の立法局や知事が「この種の組織や人々からの資金は好ましくない」と言わないかぎり、大学、特に公立の大学が組織からの資金の受け取りをやめることはないと思います」。(Abebe氏)
公的な研究投資はますます増える可能性がある。バイデン政権の政策は、人工知能も含め多くの分野での研究開発資金として3,000億ドルを掲げている。Googleの研究検閲が告発される一方、AI研究者は企業の影響力に疑問を投げかけ、Big Tobacco(大手タバコ会社)が過去数十年にわたり医療研究へ投資してきたこととの比較を行っている。深層学習の時代におけるテック大手、一流大学、その他すべての人々の計算処理能力の格差と不平等の拡大を指摘するAI研究者もいる。
Googleは他のどの企業よりも多く、アカデミックなAI人材を終身雇用しており、最も多くのAI研究を生みだしている。(次につづく)
【via VentureBeat】 @VentureBeat
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