ポケモンカードなどのオタクグッズをライブ販売ーーWhatnotにみる特化型ライブ・コマースの可能性

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ピックアップ:Whatnot raises 4m as it gets into livestreamed auctions and pokemon cards

ニュースサマリー:ポケモンカードなどのオタクグッズをライブ配信経由で販売できるプラットフォーム「Whatnot」は17日、シードラウンドにて400万ドルの資金調達を実施したと発表した。Y CombinatorやLiquid Venturesが同ラウンドに参加している。

話題のポイント:ライブ動画配信は徐々にコマース要素を含めたものへと移行し始めています。InstagramもUIが徐々にコマースフォーカスに代わりつつある印象です。

さて、この分野では他にも「Popshop Live」のような個人事業主や商店が販売チャンネルを持てるプラットフォームに注目が集まっています。特にジェネラルなプラットフォームを用意するのでなく、Whatnotのように領域特化型のライブコマースは注目も集めやすく、ひとつのトレンドになりそうです。WhatnotはYCの2020年冬バッチ参加者。そのため、市場としてもまだまだ成長しきっておらずチャンスのある領域です。

また、領域に特化していることに加え同社の特徴には「ミドルマン」が存在していることが挙げられます。仕組みとしてはStockXやGOATのように、商品購入成立後、一度Whatnotが間に入って商品を鑑定、その後バイヤーに配送されるという流れとなっています。これによりプレミアム付加価値をある程度担保することができるので、単なる趣味グッズの売買だけでなく、トレードという別の側面を持たせることが可能になります。

つまり、ライブコマースの流れを汲みながらもStockXやGOATの「目利き付き二次流通市場」に挑戦しているのがWhatnotであると言えるでしょう。上述した通り、この分野はまだまだ余っている領域も多く、StockX・GOATがファンを集めて成長したように大きく躍進する可能性は高そうです。

共同執筆:「.HUMANS」代表取締役、福家隆

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2020年のスタートアップたち:カジュアルになった投資、不動産の新しい買い方(後編)

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(前回からのつづき)2020年のスタートアップを振り返るシリーズの最終回。最後のテーマは投資と不動産です。 余暇と投資 COVID-19以降、全体的に消費行動は冷え込みましたが、一方でリモートワークや自宅での余暇が増えたことによる投資への需要に注目が集まりました。特にトラクションを伸ばした代表例としては投資アプリ「Robinhood」が挙げられます。その上で、例えば「Public.com」などZ世…

(前回からのつづき)2020年のスタートアップを振り返るシリーズの最終回。最後のテーマは投資と不動産です。

余暇と投資

Image Credit : Robinhood

COVID-19以降、全体的に消費行動は冷え込みましたが、一方でリモートワークや自宅での余暇が増えたことによる投資への需要に注目が集まりました。特にトラクションを伸ばした代表例としては投資アプリ「Robinhood」が挙げられます。その上で、例えば「Public.com」などZ世代にターゲットを絞り、投資とSNS性を組み合わせた投資プラットフォームも登場しています。Publicはウィル・スミス氏のファンドDreamers VCも出資していることで注目されているスタートアップです。ミッションには「Open the Stock Market to Everyone by making it inclusive, educational, and fun」を掲げており、株の取り引きの民主化を目指しています。

Image Credit : Public

例えば「Educational」の観点で投資家の公開ポートフォリオを閲覧出来るなどSNS性を持たせたり、投資方法も1株未満で購入することが可能な「Fractional Investing」を採用するなど、小額から投資を始め金融リテラシーを高められるプラットフォーマーの座を狙っているように感じます。今後は、サブスクリプションサービスの導入も検討していると同社ブログで述べられており、金融リテラシー教育、SNS、投資を包括的に含めたサービス展開が想像されます。

こうしたサービス以外にも、チャレンジャーバンク系も口座と投資サービスを結び付けようとしています。特にGoogleがGoogle Payを通したデジタルバンクサービス「Plex」を発表したことで拡大に白砂がかかりそうです。しかし、投資サービスを0から立ち上げるには開発コストがかかるのも事実です。

Image Credit : K Health

そこで登場したのが、APIを通じて金融事業者に投資機能を提供するFintech as a Serviceの業態です。2020年にこの分野に登場したのが「DriveWealth」で、金融関連の事業者が少額投資サービスを立ち上げられるためのAPIを提供しています。提携企業にはRevolutやMoneylionを筆頭とするチャレンジャーバンクの名前が並んでいて、現在153カ国にサービスを提供しており、米国株の取引を世界中に広めています。競合にはY Combinator出身のAlpacaなどが挙げられます。このように、コロナの在宅生活で掘り起こされた新たな需要に応えるための、インフラ需要に焦点が当たった1年でした。

住宅所有をフレキシブルに

Image Credit : Noah

コロナ禍において、経済停滞により不動産市場全体も活動が鈍ってしまいました。「来月の家賃が払えない」「新居への引っ越しも振り出しに戻って考え直そう」といった心理状態になると、不動産オーナー側も、ローンを貸し出す側の金融機関もお金が回らなくなり、最終的にはマクロ経済的な不振へと繋がってきます。

そこで、注目を集めたのがフレキシブルな支払プランを提案する不動産フィンテック「Noah」です。同社は、住宅所有者の住所・クレジットスコア・債務残高情報を基にローンの事前審査を行います。審査が通り次第、最大35万ドルの資金を、将来的に住宅価値が上がるか下がるかに関わらず提供します。一方、Noahがもらうのは物件のエクイティー(Home Equity)で、このエクイティーを10年後に所有者が買い戻す必要があります。出資額の計算は物件のエクイティー放出額によって算出されますが、一般的に5〜20%をNoah側に渡すそうです。つまり、不動産向けオルタナティブファイナンスの分野であると言えるでしょう。

ということで3回に渡って2020年のスタートアップ・シーンを振り返ってみました。

2020年は世界同時並行的にライフスタイルが移り変わる一年となり、その環境に合わせたスタートアップが数多く台頭しました。しかし、各分野はまだまだ成長フェーズに入ったかどうかの段階で、来年からより一層参入と撤退が激しくなるはずです。大きな動きというのはチャンスの裏返しです。新しい10年に向けてスタートアップ・トレンドを掴もうとされている方の参考になれば幸いです。では良いお年を。

共同執筆:「.HUMANS」代表取締役、福家隆

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なぜGoogleはGebru氏を解雇したのか:課税による公益テクノロジーへの投資という考え方(8/9)

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大手テック企業への課税 (前回からのつづき)Abdurahman氏、Colclough氏、McNealy氏はテック企業への増税を強く支持している。その税金から連邦取引委員会(FTC)の規制監督下にあるような学術研究機関や執行機関に資金を提供できるだけでなく、企業が依存する公共インフラストラクチャや学校をサポートすることもできる。 「大企業が研究に資金を提供することが認められてきた理由の一つは、そう…

Photo by Deepanker Verma from Pexels

大手テック企業への課税

(前回からのつづき)Abdurahman氏、Colclough氏、McNealy氏はテック企業への増税を強く支持している。その税金から連邦取引委員会(FTC)の規制監督下にあるような学術研究機関や執行機関に資金を提供できるだけでなく、企業が依存する公共インフラストラクチャや学校をサポートすることもできる。

「大企業が研究に資金を提供することが認められてきた理由の一つは、そうしなければ研究できなかった、資金がないために研究ができなかったからです。ここで基本に立ち返り、「一般財源に支払われたお金を大学が確実に受け取れるようにするが、結論に影響を与えることはない」ことを確認すべきです」。

Colcough氏はこのように述べ、法人税が既存の差別禁止法の執行を強化できると付け加えた。公民権法のような既存の法律の執行、特に公的資金に関わる問題については、6月にAIとコンピューティングの黒人専門家たちのグループが署名した公開状で取り上げられている。課税することで執行に資金が回るようになれば、新進気鋭のスタートアップに規制上の注意が引き付けられる可能性もある。McNealy氏は法人に相当するものと同様に「悪い影響」を伴うことがあると述べた。

大手テック企業の納税義務を再検討するという考えは公的にも支持されている。バイデン次期大統領はキャンペーンでAmazonにより多くの所得税を払わせることを約束し、EUは「ゲートキーパー」であるテック企業に10%の消費税を課す法案を検討している

課税により、価値の尺度を収益性に依存しないテクノロジーにも資金を提供できる。Abdurahman氏は世界には公的なツールが必要であり、人々は身の回りのあらゆるテクノロジーを提供する一握りの企業を超えて、想像力を広げる必要があると述べた。

公共部門のAIはしばしば金融引き締め政策として語られるが、Abdurahman氏は公益技術を非営利で、社会的利益のために設計され、社会を代表する連合によって作られると定義している。彼女はそこに研究者のみならずその技術の影響を最も受ける人々も含めるべきだと考えている。

「公益技術はまったく新しい世界の可能性を開きます。「この実に不完全な算法をどうやって修正するのか?」を理解するのではなく、追求する必要があります。秩序を保つために民間の技術に頼るのなら、望みはありません。議員と政策立案者は公益技術に資金を提供する責任があると思います」。(Abdurahman氏)

こうした取り組みの一部は利益を生まないかもしれないが、AIを考える価値は収益性だけではないはずだとChowdhury氏は述べた。(次につづく)

【via VentureBeat】 @VentureBeat

【原文】

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中国の小中高生向け教育スタートアップZuoyebang(作業帮)、シリーズE+ラウンドで16億米ドルを調達

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Tech in Asia では、有料購読サービスを提供。有料記事の閲読、全記事への回数無制限閲読、5万社を超える企業データベースへの無制限アクセス、カンファレンスへの限定割引などの特典があります。詳しくはこちらから


中国のオンライン教育のスタートアップ Zuoyebang(作業帮)は、シリーズ E+ ラウンドで Alibaba(阿里巴巴)、Tiger Global、ソフトバンク・ビジョン・ファンド、Sequoia Capital China(紅杉資本)、FountainVest Partners(方源資本)から16億米ドルを調達したと発表した。

Image credit: Zuoyebang(作業帮)

今回のラウンドは Tiger Global と FountainVest Partners がリードした6月のシリーズ E ラウンド(7億5,000万米ドルを調達)に続くものだ。

Baidu(百度)の元幹部 である CEO Hou Jianbin(侯建彬)氏によって2015年に設立された Zuoyebang は、中国の検索エンジン「Baidu」のスピンオフ企業である。ライブストリーミング授業、オンライン宿題添削、その他の遠隔学習サービスを提供している。

同社は、プラットフォームにデイリーアクティブユーザ5,000人以上、月間アクティブユーザ1億7,000万人以上、登録ユーザ800万人がいるとしている。また、中国で月間アクティブユーザ数が1億人を突破した唯一の EdTech アプリであるとしている。

今回の新たな調達資金で、同社は大型の K-12(高校生以下)授業の開発だけでなく、製品や技術の改善にも注力していくと、CEO は声明で述べている。

中国は、4億人以上のオンライン教育ユーザを擁する世界最大の市場であり、EdTech 分野では世界最大の市場となっている。中国の市場調査会社 Daxue Consulting(博聖軒)によれば、この市場は前年から12.3%成長し、2020年には4,538億人民元(約7.2兆円)に達すると予測されている。

Zuoyebang の競合 Yuanfudao(猿輔導)は今月、Jack Ma(馬雲)氏の Yunfeng Capital(雲鋒基金)から3億米ドルを調達したと報じられた。Yuanfudao は10月、シリーズG1・G2 ラウンドで22億米ドルを調達し、時価総額は155億米ドルに達した

【via Tech in Asia】 @Techinasia

【原文】

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中国政府主導〝ブロックチェーンのインターネット〟がデジタル人民元に対応へ——12月後半の中国ブロックチェーン界を振り返る

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中国政府が主導する BSN(Blockchain Service Network、区塊鏈服務網絡)を開発する Red Date(紅棗)は、デジタル人民元(CBDC)をサポートするインフラを構築している。ZhongAn Insurance(衆安保険)が初のデジタル人民元保険を開始した。Bitmain(比特大陸)の共同創業者2人の長年の争いが6億米ドルの和解金支払で幕を閉じた。中国の複数の地方政府がブ…

Image credit: TechNode/Xuewen Song

中国政府が主導する BSN(Blockchain Service Network、区塊鏈服務網絡)を開発する Red Date(紅棗)は、デジタル人民元(CBDC)をサポートするインフラを構築している。ZhongAn Insurance(衆安保険)が初のデジタル人民元保険を開始した。Bitmain(比特大陸)の共同創業者2人の長年の争いが6億米ドルの和解金支払で幕を閉じた。中国の複数の地方政府がブロックチェーン・アプリケーションの導入とテストを続けている。

 BSN(Blockchain Service Network)がデジタル人民元に対応へ

  • 中国政府が支援する「ブロックチェーンのインターネット」である BSN を構築する Red Date(紅棗)は、デジタル人民元(CBDC)を取り込むために2つのプロジェクトに取り組んでいる。
  • Red Date は大手銀行8行やテック企業と協力し、2021年前半に立ち上げる BSN 上に CBDC とステーブルコインの決済レイヤーを構築している。
  • また、仮想通貨を CBDC やステーブルコインで代替するスタンドアローンのパブリックチェーンを展開している。

デジタル人民元対応の保険が登場

オンライン保険会社の ZhongAn Insurance(衆安保険)と中国建設銀行は、国内初のデジタル人民元で支払う保険を開始した。デジタル人民元テストに参加した個人は、保険契約「eLife」を購入することができる。界面

Bitmain(比特大陸)の共同創業者同士の争いが終息へ

世界最大の仮想通貨マイニング機器メーカーの共同創業者2人の争いが終焉を迎えようとしているようだ。

12月28日の株主総会で、争っている共同創業者の間で会社を分割する取引が承認され、1月に実施されることになった。

この取引では、Zhan “Micree” Ketuan(詹克団)氏が、仮想通貨のマイニングリグの製造と国内のマイニング事業を含む Bitmain の中国事業を引き継ぐ。Zhan 氏は6億米ドル相当の会社株式を抵当にして、Wu Jihan(呉忌寒)氏の株式を買い取る。

同社の海外マイニング事業、仮想通貨ウォレット BTC.com、コンピュータパワーシェアリングプラットフォーム「BitDeer(比特小鹿)」は9,000万米ドルの評価額で分社化され、Wu 氏のものとなる。

政府の動き

  • 中央政府は、中国人民銀行が支援する金融サービスのイノベーションを試すためのプログラム「フィンテック・サンドボックス(監管沙盒)」の第3弾プロジェクトを発表した。ブロックチェーンベースのプロジェクトの割合が増加し、前回のバッチでは11件中2件だったのに対し、4件中2件を占めるようになった。China Banking News
  • 中国の浙商銀行と浙江大学は、ブロックチェーンを活用したサプライチェーンファイナンスに関する国内初の白書を発表した。金投
  • 浙江省の政府当局は、警察がライブコマースを監視するのに役立つブロックチェーンベースのアプリをローンチした。浙江省政府

【via TechNode】 @technodechina

【原文】

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花き業界をデジタル化する「HitoHana(ひとはな)」モデルーーCEOの視点:Beer and Tech 森田氏

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本稿は独立系ベンチャーキャピタル、グローバル・ブレインが運営するサイト「GB Universe」に掲載された記事からの転載 コロナ禍によって2020年は大きく市場が動いた年になりました。デジタル化の波は全ての産業に到来し、新たなパラダイムの変わり目を感じている経営者の方々も多いと思います。一方、各業界・市場の構造や課題は外からは見えづらく、新たなビジネスチャンスに気が付かないケースも多々あります。…

Beer and Techチーム。画像提供: Beer and Tech

本稿は独立系ベンチャーキャピタル、グローバル・ブレインが運営するサイト「GB Universe」掲載された記事からの転載

コロナ禍によって2020年は大きく市場が動いた年になりました。デジタル化の波は全ての産業に到来し、新たなパラダイムの変わり目を感じている経営者の方々も多いと思います。一方、各業界・市場の構造や課題は外からは見えづらく、新たなビジネスチャンスに気が付かないケースも多々あります。

そこでGB Universe編集部ではグローバル・ブレインで実施している投資先のPR支援プログラムと連携し、各業界に特化した成長スタートアップのCEOにその市場の読み解きと、成長している「理由」を語っていただくインタビューシリーズを開始することにいたしました。

初回に登場するのはお花のデリバリーで急成長中のBeer and Tech代表取締役、森田憲久さん。運営する「HitoHana(ひとはな)」は農林水産省が主導する生産者支援プログラムに参加し、コロナ禍によって廃棄される可能性のあったお花を約3カ月で2万3,000件以上出荷することに成功します。これはプログラム全体の約7割に相当(※)したそうです。(※2020年5月–9月のプログラム期間中、全体で33012件の出荷と発表されている中、HitoHanaは本格参加から3ヶ月間(9月–11月)で23,408件を出荷。)

グローバル・ブレインが支援するスタートアップの創業者「CEOの視点」を通じ、新たなビジネスチャンスや成長企業へ参加するきっかけとなれば幸いです(文中の太字は全てGB Universe編集部、回答はBeer and Tech代表取締役の森田憲久氏)。

花き業界の課題と現状

森田さんの実家は胡蝶蘭の生産者。画像提供: Beer and Tech

森田さんはご実家もお花の事業をされているんですよね

森田:はい、緊急事態宣言が出された頃、胡蝶蘭の生産者である実家から連絡がありました。そこで父から「お花屋さんがみんな閉まってしまい、今年は花が咲いてきた胡蝶蘭を大量に余らせてしまうかもしれない。ネット花屋さんだけが頼りだから、大変な状況だけど頑張ってほしい」と言葉をかけられたんです。

それで農林水産省のフラワーロス支援キャンペーン(※)に参加して送料を無料にした

森田:珍しく私に弱気な姿をみせた父親を見て、同様の悩みを抱えている生産者さんがいることに思いが至ったんです。インターネット経由でお花を売ることが少しでも生産者さんの助けになるのであれば、と思って参加しました。(※農林水産省が主催している国産農林水産物等販売促進緊急対策プロジェクト。)

パンデミックで顕在化した部分含め、花き業界の課題について教えてください

森田:花屋さんは現在1万5,000店あると言われています。平均の年商は2,300万円ぐらいで、非常に小さな会社がばかりです。だいたい1兆円ぐらいのマーケットだと言われているのですが、最大手の会社でもマーケットシェアは3%程度です。

マーケットが拡大する時は小さなお店でも良かったのですが、マーケットが徐々に縮小していく中では、店舗の採算は合いづらくなっていきます。お店を守るために、一人で多くの業務を抱え込み、朝早く店を閉めるのに疲れましたというフローリストも少なくありません。

そういう状況だとテクノロジー投資も難しそうですね

森田:はい、コロナウィルスは予想されていた店舗が減少しユーザーがECにシフトしていくという未来を前倒しで現実化しました。特に、お客様の移動に制限がかかったことやリモートワークが進んだことで家で過ごす時間が増え、お花や植物の需要は伸びました。しかし、お店で購入していたユーザーの生活動線上にあったお花屋さんがなくなってしまい、そういった方々がお花を求めてオンライン流れてきたと考えています。

花き業界におけるデジタル化のプレーヤーの状況を教えてください

森田:花き業界のデジタル化は1995年に米国の1−800FLOWERS.comのインターネット販売をきっかけに進みはじめました。1−800FLOWERS.comは提携する花屋さんをネットワークし、インターネットで注文を受けたらお届け先の近くにあるから提携店からお花をお届けする、というモデルでした。

国土の広いアメリカのどこにでもお花が贈れる、フラワーデリバリーサービスという業態を確立し、NASDAQに上場を果たし、いまも順調に株価を伸ばしています。国内でも花キューピットさんを筆頭に同様のモデルの花のECに取り組む企業が登場しています。

確かにお花の「ギフト」と言えば花キューピットが強いですね

森田:確かにこのビジネスモデルは、大きな国土がある米国の配送問題を解決するには素晴らしい解決策ではあるものの、AmazonのようなECと違い、お花はスケールすることで仕入先に対して価格交渉力を持つことができません。販売面をとったことが必ずしも強い優位性をつくるわけではないんです。

そのため、2012年ぐらいから米国でフラワーデリバリーサービスを手掛けるスタートアップが立ち上がり、ヨーロッパや中国でもそのトレンドは続きました。新しく生まれたスタートアップは中間業者を排除することで価格競争力をつけ、デザイン性を高めるビジネスモデルを採用しました。

HitoHanaの開始は2015年11月ですね

森田:はい、当時から海外サイトをみていたわけではありませんが、世界のスタートアップ同様、僕らも店舗からECへオンラインシフトするマーケットの中で、市場流通比率の高さや既存のECプレイヤーのデザイン性には課題が残っているように感じていました。

しかし、実際に事業を始めてみると、日本の花のECにおける流通業者のマージンは8%程度でそこまで大きくなく、米国のように中間業者を省いても劇的な大きなインパクトがないことがわかりました。一方で、公共交通機関や物流網が整っている日本では提携花屋さんにオペレーションを任せてECサイトのウェブマーケに注力し販売額を伸ばしても、デザインコントロールできない上に仕入れコストも大きく下がらず、まだ課題が残っているように感じました。

日本特有の業界課題を発見したと

森田:一人のユーザーとして感じていた古臭いデザインの問題と競争優位なきビジネスモデルが生み出した厳しい労働環境、この両方を解決するようなビジネスモデルを模索する中で、HitoHanaは今の姿に近づいてきました。

HitoHanaが採用したSPA型モデルのメリット

ここからHitoHanaのモデルについてお聞きしたいのですが、全体像を教えていただけますか

森田:これらの問題を解決するために、HitoHanaのビジネスモデルは、提携花屋さんをネットワークするECではなく、商品企画から仕入れ・制作・発送までバリューチェーン全体をコントロールするSPA型のECを展開しています。

大手小売と同じ一気通貫のモデルですね

森田:僕らは花屋さんにオペレーションを外注し、スケールさせやすい構造を捨てる代わりに、ECに特化したオペレーションを自ら設計し、オペレーションをスタッフ集め、業務プロセスの中でデジタルデータを生み出し、データが貯まれば貯まるほどお客様の提供価値が増していく構造を選択しました。

HitoHanaのビジネスモデル。画像提供: Beer and Tech

例えば、HitoHanaでは、注文を受けて実際に制作した花束はすべて撮影し、画像データとして保存しています。その画像データ一つでも次のような活用をしています。

  1. 制作した花束の画像は花束をオーダーしてくれた方にお送りします。ギフトの花束はお届け先に届き注文者が確認することができないため画像をお送りすると非常に喜ばれます
  2. 制作した花束の画像は商品詳細ページにあるギャラリーに掲載され、購入検討しているユーザーさんが実際どのレベルのデザインが納品されるのかわかり安心感が増します
  3. ギャラリーから制作した花束の画像を選択肢、類似デザインを指定してオーダーすることができます。お花のデザイン要望をテキストで伝えるのは非常に難しく、画像を利用することでお客様が要望を伝えやすくなっています
  4. 制作した花束の画像は、レビューにも表示され、どんなデザインに対してついたレビュー点数なのかわかるようになっており、より意味あるレビューになっています
  5. 制作した花束の画像は制作者と紐付けられ、誰が何をどんなデザインで制作したかわかり、デザインフィードバックがされるようになっています

販売すればするほどデータが蓄積されて体験が改良される

森田:そうです。この例のようにデータを取得から活用までの一連の流れを作ることで、現場で働くメンバーの仕事の価値を流してしまうのではなく、ストックし積み上がるように設計しています。デジタル化をオペレーション効率化に使うのだけではなく、提供価値を増幅する仕組みを根幹に据えることで、データそのものとデータを生み出す組織が、他者が真似できない優位性を築いていくんです。

デジタル・トランスフォーメーション(DX)がツールのデジタル化ではなく、構造のデジタル化であると言われますが、そのケーススタディですね

森田:このようにデータによって提供価値をつくることでお客様の支持を集めた結果が農水省におけるプログラムの成果に繋がったのではないでしょうか。花き販売では43サイト(楽天、Yahoo、食べチョク等)が販売参加している中、花と植物領域に特化したサービスとして大きな存在感を残せたと思っています。

デジタル化で花き業界はどう変わる

HitoHanaで制作されたフラワーデザイン。画像提供: Beer and Tech

最後に花き業界がデジタル化することでどう変わるのか、聞かせてください。森田さんのお話ではご実家の事業も含めた現在の小売事業者はある意味で競合してしまう存在になります。どのような発展のシナリオがあるのでしょうか

森田:コロナ以前から国内でも毎年10%程度フラワーデリバリーサービスが成長すると言われていました。なのでお花の購入チャネルが店舗からオンラインへと流れるのは確実です。実際、国内の花や植物マーケットに参入意思がある会社は米国のフラワースタートアップのBOUQSやAmazonなどが登場しており、これから数年で競争環境はより厳しくなると思います。その上で、フラワーデリバリーサービスが成長することで花き業界にも大きく3つの変化が起きると考えています。

なるほど

森田:1つ目は、フラワーデリバリーサービスと生産者との密接な連携です。ECの規模が大きくなればなるほど、商品写真に近しいものを作るために同じ花材が必要になり、特定の生産者への発注額が急激に伸びていきます。

既に生産計画などに踏み込みこんでの花材確保の話が進めていますが、フラワーデリバリーサービス事業者と提携生産者が連携し、商品企画時点から連携するようになるはずです。こうした連携の中で、市場でセリ落とされて勝手にサーブされる状態から、他業界のD2Cのようにサプライチェーンの透明性は増し、生産者の顔の見えるような世界に変わっていくと思います。

SPAのようなサプライチェーンを受け入れる、という変化ですね

森田:2つ目は、労働環境のホワイト化です。店舗からフラワーデリバリーサービスで勤務するフローリストさんが増えることで、労働環境は是正されていくはずです。というのも、フラワーデリバリーサービスは注文は24時間受け付けられるため、店舗のように制作時間以上にフローリストを拘束する必要がありません。また、規模化することで分業とシステム化が進み、一人あたりの生産性は大幅に改善するからです。

実際、弊社のフローリストの1日の制作数は、店舗の勤務時の3倍以上であるにも関わらず、配送会社様へ荷物を引き渡したら、定時でお仕事終了になります。自身の才能が活きるプロセスにフォーカスでき、価値が積み上がる構造が作れれば、労働時間だけでなく、店舗勤務よりも良い給与を提供できるはずです。

この辺りは規模の経済が効きやすい部分ですね

森田:最後は人気フローリストの登場です。お花は前述の通り、スケールしてもコストが劇的に下がることはありませんので、利益を伸ばすためには提供価値を上げる方向性にシフトしていくことが予想されます。提供価値を上げていく方向の中で、注文されるのが個々のフローリストのデザインスキルです。

なるほど、インスタでもお花の写真は人気ですが、マイクロインフルエンサーが登場してもおかしくないですね

森田:いままで店舗のある商圏の中でしかサービスを届けられなかった才能があるフローリストは、フラワーデリバリーサービス上で全国のお客様にサービスが提供できるようになることで、ユーザーに才能があるフローリストは発見され、オンライン発で人気フローリストが生まれてくると考えています。フローリスト個人の指名料やギフティングの仕組みなどが進み、もう一度憧れの職業に返り咲けるのではないかと思います。

デジタル化によってこのようなシナリオが生まれ、これまでの花き業界における店舗が抱えてた問題を解決し、フローリストや生産者との関係が変わるのではないかと考えています。

長時間のインタビューありがとうございました

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