リモートワークの功罪:「なんのプラスにもならない」と「採用メリット」で揺れ動く企業判断(1/5)

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Photo by Ken Tomita from Pexels

パンデミックの影響で世界中の社員たちはその場しのぎのリモートワークを余儀なくされた。

確かに創業時から「Work From Anywhere(どこでも働ける)」という理念を採用している企業も一部にはあったのだが、1週間のうち少なくとも数日を自宅で仕事をしている人の割合は増えてきているようだ。2020年にバーチャルイベントが急速に人気を博したように、FacebookやTwitterといったテック大手が恒久的なリモートワークの導入に踏み切るなど、この大流行は世界全体で場所にとらわれない働き方を加速させた。

しかし、誰もがこの働き方の変化に満足しているわけではない。Netflixの共同創立者で共同CEOのReed Hastings氏は、最も声高に反対する者の一人だろう。Wall Street Journalでのインタビューで彼は「何のプラスにもならない」と切って捨てた上で「特に国際的に、また対面で集まることができないというのは純粋にネガティブ」だと言い切る。

Hastings氏は、社会がゆっくりと正常な状態に戻るにつれて多くの企業がリモートワークにある程度の譲歩をするかもしれないが、ほとんどの企業は通常通りのビジネスに戻るだろうと予測している。

「もし私が推測するとすれば、週5日の労働時間は4日間のオフィス勤務になり、1日は自宅でのバーチャル勤務になるだろう。(やや皮肉を込めて)Netflixの社員たちはワクチンが承認されてから12時間後にはオフィスに戻ってくるだろう」(Hastings氏)。

ただ多くの企業にとってリモートワークのメリットはあまりにも多く、中でも人材に関わる拡大は無視できないものになっている。フィンテック大手のStripeは、既存の固定オフィスを補完するために「リモートエンジニアリングハブ」と呼ばれるものを立ち上げている。

そもそもStripeは10年前の創業以来リモートワーカーを雇用しているのだが、これらのワーカーは従来のオフィスの仕組みに従ったもので、物理的なオフィスを拠点とするマネージャーやチームへの報告が必要だった。

リモートエンジニアリングハブは、リモートワークを物理拠点と対等なものとして捉え、「自社の4拠点がある都市圏外に住んでいる99.74%の有能なエンジニア人材の活用」を狙う。

さて、この件は多くの企業にとっていくつかの「コンフリクト」を浮き彫りにする。というのも企業は競争力を維持しつつ、かつ働き手から勤務地の柔軟性を求められることで再編成を考えなければならないからだ。この移行には大きな課題が伴うことになるだろう。(次につづく)

【via VentureBeat】 @VentureBeat

【原文】

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