VRでどこでも眼科検診、CES 2021受賞の韓国「VROR」がスゴイ

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ピックアップ:CES 2021 INNOVATION AWARD PRODUCT

ニュースサマリ:韓国のヘルスケアスタートアップ「M2S」は、CES 2021で目の健康ヘルスケアソリューション「VROR Eye Dr.」を披露し、Best of Innovationsを受賞した。世界中の消費者技術製品の中で最も優れた技術と革新を遂げた製品に授与される賞である。

話題のポイント:M2Sはヘルスケア製品「VROR Eye Dr.」と医療機器「VROR 7IN1」を提供する、目の検査を得意とするxRのデジタルコンテンツ製作企業です。ジェームズ・キャメロン監督が設立した「デジタルドメイン」から事業提案を受け、「VROR」のようにメディアと医療を結合してこの世に存在しなかった製品開発を目指しているそうです。韓国国内特許を含む、眼科検査関連12個の特許を保有しています。

視力の変化は他の病気ほど目立ちません。悪化に気付いたときには手遅れになることもあるため、定期検診による予防が治療法として効果的です。しかし、既存の眼科検査は高価な上に暗室で広いスペースが必要でした。健常だと思いこんでいる人にとっては眼科でしか定期検査を実施できない環境では予防の難易度は高いと言えます。

この眼科検診に必要な暗室という空間を、VRであれば物理的スペースを必要とせずに容易に用意することができます。その強みを活かすため、アイトラッキングと組み合わせて、これまで存在しなかった検査アルゴリズムとAI分析を用いた目の健康状態の良し悪しを判断できる解析アルゴリズムの開発を行ったのがM2Sです。既存の眼科検査の欠点を補完しながら、正確な検査を実現したことが評価されたブレイクスルーポイントです。

Image Credit:VROR Eye Dr.が検査できる10項目

従来の検査よりも30%程度安くしつつ、一般的なパーソナルエリア程度の広さで10つの検査を一度に行うことが可能になったため定期検査できる環境は大きく変わります。待つことを求められる状況であれば導入条件に一致します。

例えば、運転免許センターや病院の待合室、携帯電話会社の店舗なんかも良いかもしれません。よく施設にある血圧測定器のような感覚で設置することができるようになるでしょう。さらにゲーム会社と協力できればプレイ中に副次的に測定することだってできるかもしれません。日常的な行動が測定対象になれば、手遅れを防ぐ大きな安心となり得ます。

市場が大きくなるxR領域において、普及期を牽引するデバイスがどんな形をしているかは分かりません。ただし、身体の何を拡張しようとしているのかはすでに誰もが分かっています。ビッグウェーブを乗りこなすためのアルゴリズムを仕込む時期はまさに今なのでしょう。

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