IBMとブロックチェーンの今:Marsekと進める海運業へのブロックチェーン導入(4/5)

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Image Credit : IBM

(前回からのつづき)またIBMは、Marsekと連携してTradeLensと呼ばれる海運業に対するブロックチェーンの導入を推進している。ポートのオーナー、コンテナ企業、物流会社、税関職員、荷主などを一つにまとめスマートコントラクトをベースとした取引プラットフォームとなっている。同業界は未だに電話やファックスが主なコミュニケーションツールなため、大きな一歩であると言える。

Renni氏は取り組みについて以下のように述べる

「海上の運送は非常に競争の激しい領域です。特に、サプライヤーから始まり、税関の油種管理や船上での作業など全てを管理しようとすると複雑かつ相当量の事務処理が発生します。出荷するサイドが、オンデマンドに荷物の位置を完全に把握することは非常に困難で、仮に実現できれば貴重なのは明らかでしょう」。

昨年春のパンデミック発生の初期段階で、IBMはサプライヤーと購入者を繋ぐブロックチェーンプラットフォーム「Rapid Supplier Connect」を導入している。これは、マスク・防護服などを製造するメーカーや消毒剤を製造するメーカーなどが大規模なサプライチェーンの変更を余儀なくされたことで、新しいプレーヤーが繋がる方法を必要としていたことが起因するという。

プロジェクトのゴールには、そうした商品を今まで購入した経験のないバイヤーが商品の検証を可能とすることに置かれている。Renni氏によれば、両者がエコシステムに参加することでより透明性の高いトランザクションを進めることができるという。

例えばこの場合、エコシステム参加者は信頼に相当するデータをブロックチェーン上で共有していることを確認することができる。これにより、購入や価格など新規参入のプレーヤーがバイアスなく情報検証することが容易となる。Renniは次のように述べている。

「彼らはそれぞれが独自に病院や生産する工場に紐づいたサプライチェーンシステムを運用していました。つまり、彼らを無理やり新しいサプライチェーンに移行させることや、共通のサプライチェーンを使ってもらうことなどは不可能だったのです」。

(次につづく)

【via VentureBeat】 @VentureBeat

【原文】

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