ソーシャルメディアの「顔情報」:顔から政治的傾向は読み取れるのか(1/4)

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Photo by Pixabay from Pexels

スタンフォード大学の研究者で物議を醸しているMichal Kosinski氏の論文は、顔認識アルゴリズムによってソーシャルメディアのプロフィールから人々の政治的傾向を暴くことができると主張している。Kosinski氏と共著者は、カナダ、アメリカ、イギリスのユーザーのフェイスブックや出会い系サイトのプロフィール100万件以上のデータセットを使用して、「自由主義者と保守主義者」の顔のペアの72%において政治的指向を正しく分類するアルゴリズムを訓練したと述べている。

この研究は「人の性格や性格は外見から評価できる」というトンデモ科学的な概念である「人相学」を取り入れたものである。1911年、イタリアの人類学者Cesare Lombroso氏は、「ほぼすべての犯罪者」は「つぼ耳、太い髪、薄いヒゲ、顕著な副鼻腔、突き出た顎、広い頬骨」であると分類学を発表した。泥棒は 「小さくさまよった目」が目立ち、強姦魔は 「腫れ上がった唇とまぶた」が目立ち、殺人者は「しばしば鷹のような鼻を持ち、常に大きい」と主張したのだ。骨相学という関連分野では、精神的特徴を予測するために頭蓋骨のこぶを測定している。Institute of Electrical and Electronics Engineers(IEEE)の代表的な著者たちは、この種の顔認識は「必然的に失敗する運命にある」と述べており、強い主張は貧弱な実験結果の現れだとしている。

Kosinski氏の研究を批判しているプリンストン大学のAlexander Todorov教授も、顔認識の論文で採用されているような方法は技術的に欠陥があるとしている。Todorov教授は、何百万枚もの写真を比較するアルゴリズムが拾ったパターンは、顔の特徴とはほとんど関係がなくなる可能性が高いと指摘する。例えば、出会い系サイトに自分で投稿した写真には、顔以外の手がかりがたくさんあるはずだ。

さらに現在の心理学の研究では、成人期までには、人格はほとんどが環境の影響を受けていることがわかっている。「写真から性格を予測することは可能かもしれないが、人間の場合はせいぜい偶然よりもわずかにマシな程度」と、プロフィール画像から性格を予測することに取り組んできたペンシルバニア大学の博士研究員のDaniel Preotiuc-Pietro氏は、最近のインタビューでBusiness Insiderに語っている。

(次につづく)

【via VentureBeat】 @VentureBeat

【原文】

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