Spiber、事業価値証券化で250億円を調達——米国での人工タンパク質量産体制構築などで

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Brewed Protein
Image credit: Spiber

※この記事は英語で書かれた記事を日本語訳したものです。英語版の記事はコチラから。

Spiber(スパイバー)は、山形県鶴岡市を拠点に植物由来の人工タンパク質繊維素材「Brewed Protein(ブリュード・プロテイン)」を開発するスタートアップだ。同社は12月30日、「事業価値証券化(value securitization)」により250億円の資金を調達したと発表した。この調達方法は、同社の有形資産や無形資産を担保に幅広い投資家から資金を募るもので、金融機関からの借り入れに頼らず、第三者割当増資によって株式の希薄化が生じないメリットもある。

今回ラウンドのアレンジは三菱 UFJ モルガン・スタンレー証券が務めた。三菱 UFJ 銀行が当初貸付人兼クレジット投資家として参画しているが、それ以外の投資家の名前は明らかにされていない。スパイバーは、アメリカの穀物メジャー Archer-Daniels Linseed Company(ニューヨーク証取:ADM)と9月に協業契約を結んでおり、今回の資金は数年先を予定しているアメリカでの Brewed Protein の量産体制構築や新素材の研究開発などに充てる。

Spiber は、山形県鶴岡市にある慶應大学先端生命科学研究所からスピンオフする形で、2007年に設立されたスタートアップ。創業からこれまでに、推定で350億円以上を調達している。2019年4月には、タイ東部のラヨーン県に世界最大規模の構造タンパク質発酵生産拠点を整備するため、三菱UFJ銀行、山形銀行、荘内銀行、鶴岡信用金庫が参画したシンジゲート方式による実行可能期間付タームローン契約(デットファイナンス)で50億円を調達した。報道によれば、同社の現在の時価総額は1,115億円超。

Spiber は地球上で最も強靭と言われるクモの糸に着目し、これを人工合成した繊維素材「QMONOS(クモノス)」を開発。ただ、クモの糸のタンパク質フィブロインは強靭ではあるものの水に濡れると超収縮が起こるため、これを元にした QMONOS を使った製品は、水に濡れた際の寸法安定性を保つことが難しかった。Spiber ではフィブロイン遺伝子から超収縮を生み出すアミノ酸配列の特徴を推定し、それを取り除くことで高い寸法安定性を示すタンパク質繊維を開発。QMONOS を Brewed Protein に改称した。

Brewed Protein は、植物由来の糖類(グルコースやスクロース)から微生物発酵により生産され、石油由来の原料を必要としない。アパレル分野では脱マイクロプラスチック脱動物由来の材料ニーズ、輸送分野における軽量化ニーズ、医療分野における人工毛髪の基幹素材として注目を集めている。

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