給与格差やハラスメント是正に動くスタートアップの必要性とその方法

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Image Credit:Syndio

性別やマイノリティ格差を是正する動きが欧米を中心に長く続いています。また、日本でも見かける給与格差やハラスメント是正に動くスタートアップが登場しています。

「PayScale」のデータでは、女性の収入の中央値と男性の収入の比率を算出したところ、男女間の賃金格差は2015年から0.07ドルしか縮まっていないそうです。2020年には女性は男性の稼ぎ1ドルに対して0.81ドルしか稼げない状況で、40年間のキャリアにわたって与えられた推定昇給を計算すると、生涯で平均90万ドルの損失を被ることが判明しています。

たとえばジェンダーが原因の給与格差などは、大手企業であればあるほどネガティヴなブランドイメージしか世の中に与えません。そこで登場した「Syndio」は、給与分析を通じて、適正な給与体系を提案するサービスを展開しています。同社はこのほどシリーズBの資金調達で1,710万ドルを調達したと発表しました。Bessemer Venture Partnersが資金調達ラウンドをリードし、Next Play CapitalとConcrete Rose Capitalが追加出資しています。

性別、人種、民族、年齢に結びついた差別的な給与の差を根絶し、それらの格差を是正するための施策提案までを提供しています。たとえば、Syndioのスタッフィング機能では、全体的な公平性を維持するために、新規採用者を雇用するための適正な給与計算をおこないます。

Nordstrom、Slack、Adobe、Vimeoなど60社以上の顧客を抱えており、賃金差別訴訟やネガティブな報道から顧客企業を守るのに役立っているそうです。賃金平準化への取り組みは、強力な採用ツールにもなっています。

Image Credit:Tall Poppy

給与だけでなく、ハラスメントに関しても問題視されています。2017年の調査では「アメリカ人の5人に1人近く(18%)が、身体的な脅迫、持続的な嫌がらせ、セクハラ、ストーカー行為など、オンライン上で特に深刻な形態のハラスメントを受けたことがある 」という情報もあります。コロナ前のデータではありますが、直接誰かに触れる機会がなくなったことで、嫌がらせはインターネットへと場を移すことも考えられます。

Tall Poppy」はオンラインハラスメントに特化した従業員ケアサービスを提供している企業です。各ケースを審査した上で、正しい対処方法や法的処置の知識、セーフティスコアの計測など、あらゆるシチュエーションに対処してくれます。このようなオンライン化が進んだ社会における新たな犯罪から従業員を守るサービスにも注目が集まりそうです。

また、1,000万ドルの資金調達を果たしている「Emtrain」は、データドリブンなアプローチから、企業カルチャーを公平に保つためのオンライン教育やガイダンスサービスを通じて、主に女性の不均等を是正するためのプラットフォームを展開しています。

職場の文化的要素を随時モニタリングし、問題を診断。グローバル平均と比較してベンチマークとなる項目を洗い出します。企業教育システムおよび人事システムと連携し、パワハラ、セクハラ、悪い企業倫理観、無意識バイアスなど、リスクが高いと判断された項目を解決するためのオンライン教育コンテンツを提供しているのです。従業員からのサーベイ調達に対応する形で最適な是正モデルを適用するサービスフローです。

今後、このような米国サービスのように、日本でもAIやビックデータを活用して対処しきれなかった、もしくは個別に対応していた企業人事の問題が効率的かつ定量的なアプローチから解消されていくかもしれません。

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