AppleのMRデバイス報道:VRでもARでもない「MR(複合現実)」とは(2/3)

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Photo by Harsch Shivam from Pexels

MRはVRでもARでもない

(前回からのつづき)仮想現実(VR)と拡張現実(AR)は、広い意味での「複合現実(MR)」の一部であり、人間が見ている現実世界をデジタル生成されたコンテンツで強化したり完全に置き換えたりするディスプレイ・コンピューティングテクノロジーを指す。AppleがVRとARのどちらにフォーカスしているかという疑問がすぐに湧いてくるが、正解は「両方」だ。製品は同社のディスプレイおよびカメラの技術に大きく制限されたものになるだろう。

現時点では、Appleは主にVRにフォーカスしたヘッドセットを計画しており、AR機能はわずかだと報じられている。これはFacebookのOculus Questと非常によく似ていて、ユーザーを完全にバーチャルな世界へ没入させることに最大限の時間を割いているようだが、ユーザーは統合カメラを使って現実世界をベーシックなデジタルオーバーレイで拡張したものを見ることができる。Appleが意図するVR/ARの比率が顧客にとってどのようなものになるかは不明だが、同社はARを大きなチャンスと捉えていると繰り返し述べている。

もしこのヘッドセットの価格帯を高く設定しようとしているのなら、ゲーミングや大量消費市場向けの娯楽用VR製品として位置付けていないことは明らかだ。初めは企業向けのVR/ARアプリケーションにフォーカスすることはほぼ確実だろう。

豊富な資金を持つスタートアップのMagic Leapは、「空間コンピューティング」という言葉でMR技術全般を表現していた。同社はハードウェアの商品化に大きな問題を抱えていたが、インドア・アウトドアの両方で現実世界にデジタルコンテンツを合成できる完全にポータブルなプラットフォームを構想していた。Appleもおおむね同じ考えを持ち、野心の大きさも同じくらいのようだが、Magic Leapのハードウェア仕様を再現する可能性は低そうだ。

スタンドアロンでテザリングなし

AppleのMRプロジェクト開発が進んでも、初のヘッドセットが他のデバイス(iPhoneやMac)にテザリングできるのか、それとも完全にスタンドアロンなのかはまだ分かっていない。テザリングによってヘッドセットの重量を軽くできるが、ケーブルでつながれたデバイスの近くに常にいなければならない。この問題に対して、Facebook Oculus RiftはWindowsパソコンで挑み、Magic Leap Oneは大きなパックで対処し、Nreal LightはAndroidスマートフォンで解決している。誰もがMRは最終的にスタンドアロンデバイスになると信じているが、「オールインワン」のヘッドセット内に収まるような小型で強力な高性能チップを作ることは困難だった。

レポートによると、AppleはMRを(カスタマイズされたアプリやコンテンツを含めて)独自のプラットフォームとして扱うことを決め、ゴーグルに「従来のVR製品よりもかなり解像度の高い」Macクラスの処理能力とスクリーンを持たせるようだ。これは、スタンドアロンのOculus Questのアプリエコシステムをスマートフォンから進化させたFacebookとは対照的だ。Appleのアプローチは、企業がデスクトップパソコン用アプリを魅力的な3Dエクスペリエンスに十分変えられるパワーをいきなり与えるものになるだろう。(次につづく)

【via VentureBeat】 @VentureBeat

【原文】

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