AppleのMRデバイス報道:2024年に向けた計画と「考えるべきポイント」(3/3)

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Photo by Bradley Hook from Pexels

2022年、2023年、2024年に向けた計画始動

(前回からのつづき)AppleのMRハードウェアのスケジュールは延び延びになっている。2017年当時、Appleはヘッドセットを2020年には提供できるのではと期待されていた。2019年初めまではそう見られていたが、2022年という報道が出て2020年末までの実現はなくなった。時期は未だに不確定だ。Bloombergは今日(原文掲載日1月21日)、MRゴーグルが2022年に発売され、その後「数年内に」軽量ARグラスが発売されることを示唆した。世のCIOたちはこの兆候を無視できないはずだ。

2010年に登場し、Microsoftが「タブレットPC」で行った何年にもわたる実験に失敗した後、タブレットを実用的なプラットフォームにしたiPadのように、新しいフォームファクタをすぐに真剣に受け止めた企業は、モバイルコンピューティングへの移行に十分備えることができた。最新のスケジュールが正しいと仮定すると、Appleのアプローチは企業にとって有益だ。開発者は、(2年ではないにしろ)少なくとも1年、MRハードウェアに基づくアプリを考案してテストすることができ、ただちにエンドユーザーに採用されるよう急がなくて済む。ゴーグルの価格帯が1,000〜2,000ドルであれば、主な対象はMicrosoftのHoloLensGoogle Glass Enterprise Editionといった高価格帯商品を試しているような企業になるだろうが、短期的には、MicrosoftやGoogleが提供していないような手ごろなものとなる可能性もある。

制作・展開の戦略

企業はすでにMR体験のプロトタイプ作成に必要なソフトウェアツールをいくつか持っている。AppleのARKitは2017年から入手可能であり、現在ではバージョン4となっている。最新のiPad ProiPhone 12 Proでは、MRコンテンツが2Dディスプレイでどのように表示されるのかをプレビューできる。大きな変化は、ゴーグルやグラスを通して見たときのコンテンツの動作にある。その違いは、ほぼすべてのVRユーザーにとって想像をはるかに超えて印象的なものだろう。

進歩的な企業は、次のようなMRの多面的なニーズについて今すぐ考え始める必要がある。

  • 企業のヘッドセット採用ニーズの幅広さ。2,000ドル、1,000ドル、500ドルなど、さまざまな価格帯が考えられる。
  • テクノロジーを従業員全体に広く採用するのか、それとも価格その他の要因から従業員の2人だけがヘッドセットを使うのかによって、初期開発戦略は大きく変わってくる。
  • 一部の企業はすでにかなり高額なARヘッドセットの一括購入に価値を見出しているが、費用対効果の高いユースケースは業界が限られている。
  • 特定の業界やデータの種類について、企業がすでに持っている2Dデータ、プレゼンテーション、主要アプリを没入型3Dで視覚化する戦略を把握できる人物はいるか?もしくは企業が独自に視覚化しなければならないのか?
  • 今後数年に渡ってこれらの専門知識をもつ労働者の需要が増えると、MRアプリやコンテンツ作成の経験を持つ開発者の雇用やトレーニングは、採用や維持の課題を生じさせる可能性がある。
  • 顧客の役割には次のようなものがある。
  • VRやARをどのように使って顧客体験を豊かにするのか。
  • それぞれの価格帯のハードウェアにおいて期待される顧客のMR使用例。たとえば、自動車販売店で車両を視覚化するのに使用するなど企業が一時的に顧客へ提供するのか、webコンテンツのように、顧客が所有して、企業が提供するコンテンツへ昼夜問わず自由にアクセスするのか。

この段階で、多くの企業は、MR技術を採用するに当たって具体的な答えよりも疑問の方がはるかに多いことや、考えが熟していないことに気づくだろう。だが問題ない。Appleが何かを立ち上げて一大レースをスタートさせるのが来年なら、どの企業にも計画を立てたり前進したりする時間はまだたっぷりある。今こそ、MR時代の運営のあり方や企業そのもののあり方を考え始めるべき時だ。大事な問いはただ一つ、起こるかどうかではなく、いつ起こるかだ。

【via VentureBeat】 @VentureBeat

【原文】

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