食糧危機問題に取り組むケニア「Gro Intelligence」アフリカテック最大の資金調達に成功

SHARE:

ピックアップ:Kenyan data analytics company Gro Intelligence raises $85m Series B funding round

重要なポイント:食料安全保障や地球規模での気候変動に関する課題解決への貢献を目指すケニア発のデータ分析スタートアップGro Intelligenceは1月、アフリカのテック系スタートアップ全体で最大規模となる8,500万ドルの資金調達を行った。今回の資金調達を受け、今後はAIを活用した同社プラットフォームのさらなる成長とグローバル展開に力を入れていく。

詳細な情報:本ラウンドはIntel CapitalAfrica Internet Ventures、Ronald Lauder氏とEric Zinterhofer氏のファミリーオフィスが共同で主導し、既存の投資家であるDCVC、GGVも参加したほか、食料安全保障イニシアチブに投資する米国拠点のRethink Foodなど新たな投資家も加わった。

  • エチオピア出身で元ウォールストリートのトレーダーである同社CEOのSara Menker氏は、各国間の農業に関連するデータの隔たりをなくすため、2014年にケニアのナイロビでGro Intelligenceを立ち上げた。同社は収穫量や土壌の質から気候要因に至るまで、世界中のさまざまな市場から収集された食料生産に影響を与えるデータを収集して膨大なデータセットを構築、農産物の需要、供給、価格設定を予測する。
  • AIを活用したGroのプラットフォームでは、4万を超えるデータセット、650兆を超えるデータの収集、正規化、モデル化を行い、食品、気候、貿易、農業、マクロ経済間の相互関係を明らかにし、食品、農業、気候、経済などのリスクに関する洞察や分析、意思決定ツール、ソリューションを提供する。
  • 現在はニューヨークにもオフィスを構えるGro Intelligenceは、各国や食品業界がバリューチェーン全体をどのように計画しているかを明確にし、地球規模での気候変動の課題解決に貢献したいと考えており、農業および気候のリスクをモデリングする世界初のビッグデータプラットフォームとなることを目指している。
  • 既存のクライアント及び潜在的なクライアントは政府から金融機関、農業投入企業、小売業者、食品および飲料企業、農業に必要な製品を生産する企業、その他さまざまな業界に及ぶ。New York Timesによれば、クライアントの1つであるユニリーバは、クノールブランドの食糧供給における持続可能な計画を立てるためにGroのデータを使用している。
  • 「Gro Intelligenceは最もエキサイティングなAI企業の1つであり、食料安全保障と気候リスクという世界最大の2つの課題に取り組んでいます。彼らのソフトウェアベースのプラットフォームは、コンピューティングを活用した国境を越えた知見によって意味あるインサイトの発見を促進し、農業領域においてより多くの情報に基づいた意思決定を可能にします」とIntel CapitalのシニアマネージングディレクターであるTrina Van Pelt氏は述べている。

背景:Groの前回の資金調達は2017年にTPG Growthが主導したシリーズAラウンドで、このラウンドはCellulant、LifeBank、Lori、およびEchoVCを通じて行われ1740万ドルを調達した。 今回の資金調達により同社の資金調達額総額は1億ドルを超えた。

執筆:椛澤かおり/編集:岩切絹代

Members

BRIDGEの会員制度「Members」に登録いただくと無料で会員限定の記事が毎月10本までお読みいただけます。また、有料の「Members Plus」の方は記事が全て読めるほか、BRIDGE HOT 100などのコンテンツや会員限定のオンラインイベントにご参加いただけます。
無料で登録する