DXの型:お試し購入のRentioが実現する「1.5次流通」とボトムアップ型マーケットプレース(1/2)

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本稿は独立系ベンチャーキャピタル、ジェネシア・ベンチャーズのインベストメントマネージャー相良俊輔氏によるもの。原文はこちらから、また、その他の記事はこちらから読める。Twitterアカウントは@snsk_sgr。ジェネシア・ベンチャーズの最新イベントなどの情報を必要とする方は「TEAM by Genesia.」から

2019年11月に公開した『DXの羅針盤』では、DXビジネスが内包する基本モジュールとして5つの型に触れ、2020年8月にはさらに4つの型を発表していましたが、今回はその続編として新たに4つの型を紹介したいと思います。

DX領域で起業を志す方や、大手企業の中にいながら新たなビジネスモデルの構築を志す方、はたまた投資家としてDXスタートアップへの出資や成長支援を手がける方が、同じ方向を向き共に豊かな社会を実現していくための一助になれば幸いです。

型10:1.5次流通

10個目の型は、1次流通(小売販売)と2次流通(中古流通)の間を縫う「1.5次流通」です。8つ目の型でマクアケを例に「0次流通」をご紹介しましたが、こちらはお試し購入(流通)ということでその類型とも言えます。

ECの普及によって、消費者は安価な製品であればオンライン上で比較検討から購入までを一気通貫で完了させることも珍しくなくなってきた一方、家電や家具など、比較的単価が高く実物の使用感が消費購買の決定打となるような製品については従来通り実店舗まで足を運んで検討する必要がありました。

1.5次流通はまさにそんな消費者欲求を満たすものであり、デジタルだけでは購入に踏み切れないユーザーと製品を売りたいメーカーをオンラインプラットフォームがサブスクリプション(定額購買)によって結びつけるという、新たな流通形式です。

家電やカメラを中心に2,450以上の製品を取り扱うRentio(レンティオ)は、この型を内包して成長を遂げるサービスの好例です。コロナ禍によって「非対面、非接触で購入を決める前に一度実物を試したい」というユーザーのニーズが増加していることもあり、家電のお試し利用が大きく伸びています。

メーカーの視点でも、これまで流通業者や小売業者に握られていた最終消費者の興味関心や製品の一次評価といったデータをプラットフォーム経由で収集することにより、早期に生産や企画といった上流工程へ製品に関するフィードバックを返すことができるという点で魅力的な流通形式であり、今後より一層の発展が見込まれるビジネスモデルと言えるでしょう。

型11:ボトムアップ型マーケットプレイス

11個目の型は、「ボトムアップ型マーケットプレイス」です。これは当初、特定業界における企業向けSaaSの顔しか持ち合わせていなかったプロダクトが、ある一定の面を押さえた暁にエンドユーザーにもそのインターフェースを開放することで消費者と事業者を結びつけるオンラインマーケットプレイスへと変貌する、というものです。

事業者の業務や取引に関するデータをボトムアップ式に収集、集約し、そののちにマーケットプレイスを提供するという意味では、「遅効性を伴ったマーケットプレイス」と表現することもできます。

飲食店向けの予約台帳システムで各店舗の空席を在庫データ化し、その上で消費者向けの飲食店予約サービスに昇華した米OpenTableや日本のトレタ等はこの型の典型例ですが、他の分野でも例えば会計ソフトや受発注管理SaaSを通じて売上債権をデータ化しファクタリングへ繋げるアプローチ等もこの類型と言えます。

この型との相性が良いのは、消費者接点がデジタル化している一方で事業者側のオペレーションがアナログなために消費者のUXを棄損している業界です(日本の既存産業の多くが該当するように思います)。

こうした特徴を持つ業界においては、一足飛びにオンラインマーケットプレイスを立ち上げてもマッチングに必要な情報が不足してしまうため、ボトムアップ型マーケットプレイスによって段階的なDXを進めていく方が好手と考えます。

次につづく

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