本稿は独立系ベンチャーキャピタル、グローバル・ブレインが運営するサイト「GB Universe」に掲載された記事からの転載
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今週の注目テックトレンド
過去20年間、様々な検索エンジンがGoogleに対抗しようとしてきましたが、Microsoft「Bing」を含め、ほとんどが市場シェアを取れずにいました。他方、「DuckDuckGo」に代表されるプライバシーを重視した検索プレイヤーなども出てきており、Google検索とは違う方向性が採用されていく可能性を示唆しています。
先日4,000万ドルの調達を果たした「Neeva」もその一つ。同社は各種検索窓口と連携する、Add-on型の検索サービスとして活躍が期待されています。創業者は元Googleで検索広告事業部にいたSridhar Ramaswamy氏です。
同氏はGoogleの検索結果は広告企業のものが優先的に表示され、ユーザーが本当に求めるコンテンツがなかなか探し出せないことに疑念を感じ、Neeva開発に至っています。
Neevaは既存コンテンツおよびデータソースと連携して動く仕組みです。Bingのような検索サービス、Apple Mapsに代表される地図アプリ、メールアプリ、ローカルドキュメントなどの個人ファイルの検索窓口とも連携し、ウェブ検索結果やアクション候補を表示します。
Google検索との大きな差別化点は3つ。プライバシーを重視している、広告を持っていない、サブスクリプションベースである点です。
先述したように、Googleは広告収益を軸にしているため、検索アルゴリズムの上位にアド結果が表示され、ユーザーにとって最適な体験となっていませんでした。そこでNeevaは月額10ドル前後の有料サブスクから収益化を図ろうとしています。また、ユーザーデータが追跡されることはなく、パーソナライズ検索結果が返ってくる仕組みを採用しているとのことです。
「Authentic Search(本物の検索)」+「Integration(連携)」+「Privacy(プライバシー)」の3つを提供価値として成長させていくプロダクト戦略であることが伺えます。
個人情報を犠牲にして無料サービスを提供しているGoogleやFacebookに対し、消費者が不平・不満を口にしていても声は届かず、これら大手企業が依然として支配的なポジションにあることに変わりはありません。他の検索エンジンが、プライバシー性の高さを武器に参入していますが、未だGoogleを脅かしてはいません。こうした背景を基に、自らの経験を活かして新規参入するのがNeevaです。
市場を広く見渡すと、検索サービスで急成長している企業は多い印象です。たとえば「Algolia」は、サイト内検索サービスを手軽に立ち上げられる開発者向けサービスを展開しています。Google検索の及ばない各サイトにおける情報整理をミッションに成長を続けています。
このように、一言に「検索」と言ってもまだまだ参入領域が残っています。誰しもがデジタルデバイス上でおこなう「検索体験」に注目したNeevaがどこまで成長しきるのか、はたまた競合他社と同じく結局中途半端な結果に終わるのか、市場が注目しています。
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