東急のアクセラレータが2020年度のデモデイを開催、スタートアップ6チームが東急グループ各社との共創事業を提案ピッチ

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東急(東証:9005)は18日、都内で同社のスタートアップアクセラレータ「東急アクセラレートプログラム(TAP)」2020年度の最終審査会を開催し、東急グループとの事業共創検討に至った6社が登壇した。なお、今回は新型コロナウイルス対策のため無観客開催、審査員は遠隔での参加となった。

5年目を迎えた TAP は、東急グループのリソースを活用し、スタートアップにテストマーケティングの機会を提供するのが特徴。2018年度からは締切を設けない通年募集、適宜共創を検討するという体制となった。2020年度からは、東急グループとの事業共創を前提とせず、東急グループにとっての全くの新領域も採択の対象となった。グループ傘下27事業者(19社)17領域が参加している。

2020年度はスタートアップ146社からエントリがあり、うち52社がプレゼン審査を通過、最終的に6社が共創検討対象(今回の登壇者)に残った。第1期からの通算での応募累計791社、うち PoC を実施した件数は52件、事業提携や資本提携を結んだのは7社で、東急グループからスタートアップへの出資総額は10数億円に達した。

最終審査会では、新規性、親和性、成長性、実現可能性の4つの観点で審査された。今回の最終審査会で審査員を務めたのは以下の方々だ。

  • グローバル IoT テクノロジーベンチャーズ 代表取締役社長 安達俊久氏(ゲスト審査員)
  • デロイトトーマツベンチャーサポート 代表取締役社長 斎藤祐馬氏(ゲスト審査員)
  • SBI インベストメント CVC 事業部長 加藤由紀子氏(ゲスト審査員)
  • Spiral Capital シニアアソシエイト 立石美帆氏(ゲスト審査員)
  • 東急 代表取締役社長 髙橋和夫氏(審査員長)
  • 東急 取締役 常務執行役員 フューチャー・デザイン・ラボ管掌 藤原裕久氏(内部審査員)
  • 東急 執行役員沿線生活創造事業部長 金井美恵氏(内部審査員)

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【東急賞(最優秀賞)】ヘラルボニー ✖️ 東急百貨店 ✖️ 東急

賞金:109万円

知的障害者は日本国内に108万人、世界に2億人いると言われる。ヘラルボニーは彼らが持つ能力を生かし、特にアートというアプローチで事業化を支援している。日本各地の福祉施設と連携することで、知的障害者が描いたアート作品をライセンス販売する事業を展開しており、これまでに集めたアート作品の数千点以上。

ヘラルボニーは、東急の社内ベンチャーで、渋谷などの街の壁面にアートや広告を掲出できるマッチングサービス「ROADCAST」と協業。ROADCAST 未稼動時のヘラルボニーアーティストの作品掲出や QR コード掲出によるプロダクト販売などに取り組んだ。東急百貨店のチャリティープロジェクトなどの企画や ROADCASTとの「Sakura Art MUSEUM STORE」などの連動企画を行う予定。

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【渋谷賞(優秀賞)】SYN ✖️ 東急百貨店

賞金:42万8,000円

SYN は、DeNA でカーシェアリングの「Anyca(エニカ)」事業の立ち上げなどに従事した大見周平氏らにより2019年6月創業。先行するフードデリバリ各社とは一線を画し、飲食店の多様性と料金の安さにフォーカスした「Chompy」を展開している。同社は昨年8月から、東急百貨店との協業により、東急百貨店の地下食料品店街(デパ地下)の複数店舗から取り寄せできる実証実験を開始。

二段階購入オペレーションにより、Chompy のクルーがデパ地下に入らなくても複数店舗の商品を取りまとめでき、百貨店と Chompy クルーがやりとりできる Slack を使った業務フローを確立。昨年8月からの注文実績は売上ベースで1,000万円相当4,000回に上り、注文の約半数が複数店舗横断のオーダーだったという。今後、デパ地下だけでなく、百貨店全体の OMO 推進に注力する。

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【二子玉川賞(優秀賞)】ウミトロン ✖️ 東急ストア

賞金:25万円

日本とシンガポールを拠点とするウミトロンは。魚や水産物の動きを AI や IoT、リモートセンシング技術を活用して解析し、それに応じた給餌をすることで、環境負荷の少ない水産養殖技術を確立している。こうした技術をもとに育てられ、環境認証を得た魚や水産物を、同社では養殖魚の認知向上・消費促進を目的として、独自サステナブルブランド「うみとさち」として展開している。

ウミトロンは2021年2月、東急ストア5店舗で「うみとさち」の養殖魚をテスト販売した。サステナブルなシーフードの価値が伝わりにくいという店舗側の課題、サステナブルなシーフードを入手できる所が無い、という消費者側の課題解決を念頭においた。生産者や魚の情報、レシピが得られる QR コード配置、六本木ミッドタウンの店舗ではバーチャル店員が応対した。

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【SOIL 賞】カンリー ✖️ 東急百貨店

賞金:10万円

カンリー(旧社名:Leretto)は、Google マイビジネスや SNS アカウントの一元管理サービス「Canly(カンリー)」を提供。リアル店舗を探す時には、その店舗のウェブサイトよりも、Google 検索か Google Maps の結果に頼って、店舗や位置情報にたどり着くことが多い。同社は、Google マイビジネスの表示順位を向上させる MEO(Map Engine Optimization)を展開する。

カンリーでは2020年9月から、東急百貨店の国内主要店舗に Canly を導入し、改ざん防止機能などを用いた情報整備や、一括配信・管理機能による情報発信、投稿やクチコミ分析などに取り組んだ今後、Canly の機能をさらに活用し、東急百貨店に関するクチコミへの返信、主要媒体との連携強化、SNS アカウント一括管理により、顧客との双方向のコミュニケーションを強化する計画だ。

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【SOIL 賞】アイリッジ ✖️ 東急建設

賞金:10万円

アイリッジ(東証:3917)は、「popinfo」など O2O アプリのプラットフォーム提供や、リテール・鉄道・金融向けのコンシューマ向けアプリの開発に注力している。東急グループとは、これまでに「東急線アプリ」や東急線アプリ内朝活キャンペーン「グッチョイクーポン」の開発でも取引関係にある。

同社では、鉄道工事を行う企業向けの工具管理ソリューション「RFID Tool Management」を提案した。鉄道工事の現場では、線路内に持ち込んだ工具類の置き忘れがないかを指差点呼・チェックリスト管理で行っていたが、これを RFID を使った自動処理に置き換えることで、東急建設との PoC では26分から3分に(80%)削減できたという。今後製品化し、全国の鉄道会社への展開を目論む。

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【SOIL 賞】フラー ✖️ 東急

賞金:10万円

フラーは千葉・柏の葉に本拠を置き、企業に対しアプリやウェブなどデジタルにかかわる支援を展開する、「デジタルパートナー事業」を展開するスタートアップ。これまでには、アプリ分析プラットフォーム「App Ape(アップ・エイプ)」などの展開で知られる。今回、東急とは「CaaS(City as a Service)構想実現に向けたファーストステップとしての街づくりアプリ」で協業。

詳細は現時点で非開示のため、本稿では詳述しない。アプリは近日公開される予定。

その後、アプリ「Common」のローンチが発表された。(2020年3月31日追記)

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【ベストアライアンス賞】東急百貨店

今年度の TAP で最も活躍・貢献した TAP 参画事業者(東急グループ傘下社)を TAP 事務局により選出。東急百貨店が選ばれた。今年度の TAP で、東急百貨店は選出スタートアップのうち、ヘラルボニー、SYN、カンリーの3社と協業している。