HoloAsh、世界の10代マイノリティ向けコミュニティアプリ「weBelong」をローンチ——VCやエンジェル複数から約7,300万円をプレシード調達

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「weBelong」
Image credit: HoloAsh

HoloAsh は8日、プレシードラウンドで7,300万円を調達したと発表した。このラウンドに参加したのは、Heart Driven Fund、MIRAISE、ミクシィ創業者の笠原健治氏、元メルカリの富島寛氏、エニグモ代表取締役の須田将啓氏などエンジェル投資家複数(順序は出資比率と無関係)。あわせて、同社は事業を10代マイノリティ向けコミュニティアプリにピボットすることも明らかにした。

HoloAsh は2018年に設立後、エンジェルラウンドで、INDEE Japan、曽我健氏(SGcapital)、芝山貴史氏(BLANQ)、小笠原治氏(ABBALab)から、2019年にプレシードラウンドで Momentum の高頭博志氏から資金調達したことを明らかにしている。今回のラウンドを受けて、HoloAsh の累積調達金額は約1億円に達した。

HoloAsh は、自身も ADHD 障害(注意欠陥・多動性障害)を持つ岸慶紀(Yoshua Kishi)氏が、テクノロジーを使って、この症状の緩和を試みようとして立ち上げたスタートアップだ。当初は認知科学に基づいたホログラフィックインターフェイスの「Holoash」、その後は、同様のことをキャラクタとのやりとりでメッセンジャーを使って行えるモバイルアプリ「Nao.(ナオ)」をローンチしていた

デラウェア法人で、日本人の岸氏に加え、フランス人・インド人・ナイジェリア人といった国際色豊かなチームメンバーで構成される HoloAsh は、創業当初から国内外を問わない世界市場に焦点を当ててきた。今年1月にローンチした「weBelong」は、アメリカに住む LGBTQ やブラックやヒスパニックの10代を中心としたマイノリティ向けのコミュニティアプリだ。iOS と Android で利用できる。

「weBelong」の特徴
Image credit: HoloAsh

人との違いが理解してもらえないマイノリティのティーンエイジャーがターゲットだ。LGBTQ のうち、76%の子供たちは、自分の居場所が無いと答えている(Human Rights Campaign 調査)。彼らは自宅に閉じ込められて、親にも人との違いを理解してもらえなかったり、中には虐待を受けていたりするケースもある。

アメリカでも TikTok が人気だが、そこで注目を集めているのは白人の女の子が多い。対照的に、マイノリティの人たちの居場所になるコミュニティを用意し、そこで互いに upvote できるような仕組みを作りたいと考えたのが weBelong だ。自分自身が小さい頃、歯磨きがうまいと校長先生にハグしてもらい、心が満たされた経験がある。そんなハグに当たるような体験を届けたい。(岸氏)

さまざまなソーシャルネットワークが現れる中、ユーザの中には自己顕示欲や承認欲求を満たしたいあまり、見た目の自分を過剰に演出し、その結果、心が疲弊してしまうケースも報告されている。weBelong では、投稿された内容が時間の経過とともに消滅してしまうため(ephemeral)、心の安寧が促され、ユーザは互いに励まし合いつつも、決してバッシングが生じない設計となっているのも興味深い。

weBelong は現在、数百名以上のユーザが利用している。国別ではユーザの7〜8割がアメリカからで、カナダ、イギリス、日本が続く。ユーザの1日あたり平均滞在時間は約40分で、Facebook、Instagram、Snapchat に勝るという。この分野では、マイノリティ向け短編動画アプリ「Dubsmash」が昨年 Reddit に買収、LGBT 向けコミュニティアプリ「LEX」、Z世代向けコミュニティアプリ「Blue Fever」、成人向けマイノリティコミュニティ「Quilt」などが注目を集めている。

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