サイバーエージェント・キャピタルが3号ファンド新設、Monthly Pitchに注力

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昨年の出資先一覧

ニュースサマリ:サイバーエージェントの連結子会社でベンチャーキャピタル事業を手がけるサイバーエージェント・キャピタル(以下、CAC)は4月19日、新たな投資ファンドとして「CA Startups Internet Fund 3号投資事業有限責任組合」の設立を公表している。同社によるとファンドサイズは60億円で、全額をサイバーエージェントがLPとして出資する。

2006年の設立以降、日本・アジア中心に8カ国・10都市に拠点を構え、シードからアーリー期のスタートアップを中心に350社以上の投資を実行した。内、50社がIPO(株式公開)を果たしている。国内の主な事例としてはクラウドワークスやスペースマーケット、ビザスク、kaizen platform、Retty、海外ではインドネシアのTokopedia、ベトナムのTiki、韓国のKakao Corpなどがある。

サイバーエージェントグループが持つノウハウを背景とした成長支援も特徴で、昨年7月に設立されたグロースチームでは、開発や組織、広報/PRなどのハンズオンサポートを受けることができる。

話題のポイント:新年度のファンド新設ラッシュが続きます。CACの代表取締役の近藤裕文さんと取締役で中国法人代表の北川伸明さんにお話を伺いました。まず、投資フォーカスについてはこれまでと特に大きく変わらず、日本を中心にアジア圏、特に東南アジア方面で「勝てる」スタートアップに投資するというものです。

Mpnthly Pitch

彼らを特徴づけるのが「Monthly Pitch」の存在です。シード期の起業家と投資家・VCをピッチを通じてマッチングするイベントで、名前の通り毎月実施されています。完全招待制で、2016年12月から始まり、国内では47回・353社が登壇しました。登壇後の企業が調達した率は6割ほどで、昨年4月からはコロナ禍ということもあってオンライン化されています。エリアについても日本だけでなく、東南アジア地域を対象とした「Monthly Pitch Asia」も開催されるなど、国内の招待制ピッチイベントとして定番になりつつあります。

そしてこのイベント、オープン開催であるという点が非常に重要です。CACが主催であるものの出資先限定ではなく、あくまで誰でも参加できるよう開かれた企画になっています。起業家にとって投資家、特に信頼できる投資家とどのようにして出会うかという方法論はわかるようでわからない「スタートアップの村人たち」の秘密に近い情報です。また、情報開示含めてお伝えしておくと、今、CACとBRIDGEではMonthly Pitchに出場した投資家と起業家のポッドキャスト企画も共同で制作するなど、情報発信にも力を入れています。

最近でこそアクセラレーションプログラムなど、多種多様な窓口が利用できるようになりましたが、その中でもやはりそれぞれの特色があります。シナジーのみを期待する事業会社主催の企画に出資だけを求めて参加してもミスマッチにしかなりません。そういう意味で、多様な投資家の意見に触れられるプラットフォームをCACが拡大させようとしていることは注目してもよいと思います。

※記事の初出時に「CACは純投資というよりはシナジーを意識したものになった」という表現を使いましたが、CAC/藤田ファンド共にサイバーエージェントグループとのシナジーを考えた投資はなく、あくまで純投資のみです。成長支援としてCAグループのノウハウを活用する連携・協力体制はあります。訂正して補足させていただきます。

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