40億ドル評価報道のClubhouse、Twitterが買収検討のうわさも/GB Tech Trend

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買収の噂が出た「Clubhouse」。Image Credit: 「Clubhouse」。

本稿は独立系ベンチャーキャピタル、グローバル・ブレインが運営するサイト「GB Universe」掲載された記事からの転載

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今週の注目テックトレンド

音声SNSとして注目されている「Clubhouse」の話題が尽きません。

Bloombergによると同社は資金調達に向けて交渉中であり、その価値は約40億ドルに達すると報道されています。評価額は2021年1月時の10億ドル比で4倍となり、投資家がClubhouseに高い期待を寄せていることがわかります。

競合他社も音声領域に張っており、高い企業評価はこうした競合の動きの煽りを受けているからとも言えるかもしれません。なかでもTwitterが発表した音声チャットスペース「Spaces」の存在は強く影響を及ぼしているはずです。事実、今回の40億ドル調達ニュース発表直後、TwitterとClubhouseが同額での買収可能性について話し合っているとの報道が出ました

Twitterは過去に多くの企業買収を行ってきましたが、買収価格はすべて10億ドルに満たないものでした。同社の最高金額帯の買収は、2015年の広告テック企業「TellApart」の約4億7,900万ドルと、2013年のモバイル広告スタートアップ「MoPub」の約3億5,000万ドルです。

しかし、昨今の金余りの影響がもたらすIT企業バブルにより、Twitterの株価は史上最高値近くへと推移。買収をするための軍資金を十分に持ち合わせています。「40億ドル」は過去の買収案件と比べても未だかなり強気な数値ではありますが、Facebookや、MicrosoftのLinkedInやSlackも参入しようとしている領域で逃げ切れているClubhouse。ある程度の先行利益を獲得していることから、次の主要SNSになるとTwitterも期待し、早めに競合を買収して潰してSpacesにサービス連携させたい魂胆かもしれません。

一方のClubhouseは、その高い評価額に基づいた交渉のみならず、ビジネスモデル構築においても強気です。最近ではクリエイターにStripe経由で投げ銭できる機能「Payments」を実装。従来の投げ銭機能では15〜30%ほどの手数料を運営側が徴収するものですが、Clubhouseは一切マージンを取りません。将来的にはサブスクリプションとイベントチケット代金から収益化を目指すと発言しており、あくまでもユーザーバリューを増やして、追って収益源を構築する算段のようです。

すでに膨大な資金を獲得しているClubhouse。同社の機能拡大戦略からもユニコーンらしい振る舞いが垣間見れます。今回報道されたTwitterからの買収案がどうなろうとも、他のビッグテックから買収提案を受ける可能性もあるでしょうし、今後も根強く成長を続けていくと想定されます。

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