アフリカ金融をAPIでつなぐ「Flutterwave」ユニコーンに

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ピックアップ:Nigerian payments startup Flutterwave achieves “unicorn” status after $170m funding round

重要なポイント:ナイジェリアに拠点を置きアフリカ数十カ国でサービスを展開する米国のフィンテックスタートアップFlutterwaveは、アフリカでサービスを展開するテック系スタートアップとしては最大規模となる1億7,000万米ドルの資金調達ラウンドを終了。企業価値は10億米ドルを超えユニコーン企業となった。

詳細な情報2016年に米国で設立されたFlutterwaveは、JD.comやFacebookへも出資するAvenir Growth CapitalとTiger Globalが主導するシリーズCラウンドで1億7,000万米ドルの資金調達を実施した。このラウンドには DST Global、Early Capital Berrywood、Green Visor Capital、Greycroft Capital、Insight Ventures、Salesforce Ventures、Tiger Management、WorldpayFIS 9yards Capitalといった新規および既存の投資家も参加している。

現在同社の主要なサービス提供国はアフリカの東部及び南部方面に集中しているが、今回調達した資金はアフリカ大陸全体へ市場拡大を行うために利用される。

  • Flutterwaveは、各国ごとに異なる決済事情を持つアフリカ全土を繋ぐ決済インフラストラクチャを構築している。銀行や加盟店といった同社の顧客は、アフリカ各国の異なる決済手段に対応した同社のAPIを使用してシームレスでカスタマイズ可能な決済アプリケーションを構築できる。
  • ナイジェリアに拠点を持ち、アフリカ大陸30か国以上での決済に対応、ナイジェリア、ガーナ、ケニア、南アフリカを含むアフリカ諸国10カ国以上の市場で大きな存在感を示している。現在は、29万を超える加盟店と50万を超える利用者にサービスを提供、これまでの総取引額は80億米ドルを超えている。
  • アフリカでも多くの国や地域で新型コロナウィルスの影響にりよるロックダウン政策が行われた昨年には、同社はインターネット上にFlutterwaveストアを開設し、企業がオンラインで商品を販売するのを促進したほか、クラウドファンディング形式で支援を必要とする人に寄付できるサービスの立ち上げや、総額500万ナイラ(1ナイラ=約0.3円弱)を中小企業基金に寄付するなど、財政的困難に直面する中小企業の支援に力を注いだ。
  • Flutterwaveはアフリカでフィンテック系サービスを提供する企業として、最も投資を受けている企業の1つであり、2017年8月にシリーズAラウンドで1,000万米ドル、2018年には延長ラウンド、昨年1月にはシリーズBラウンドで3,500万米ドルを調達した。今回1億7,000万米ドル相当のシリーズCラウンドを終了したことで企業価値は10億米ドルを超え、ユニコーン企業の仲間入りを果たした。

背景:これまでアフリカ大陸を拠点とする企業では、2018年にJumia(ナイジェリア)、Promasidor(南アフリカ)、Cell C(南アフリカ)の3社がユニコーン企業となったのみで、それ以降は海外からの注目度が高まりスタートアップへの投資額が増加しているものの、企業評価額が10億米ドルを超えるまでとなる企業は登場していない。

※Jumiaは2019年に2億米ドルを超える損失を出し株価も急落、それ以降現在まで同社の企業価値は10億米ドルを下回る”元”ユニコーン企業である。

今回の資金調達完了後、同社CEO兼共同創設者のOlugbenga氏は、ニューヨークでの上場あるいはニューヨーク及びナイジェリア両国での上場を検討する可能性があると述べている。

執筆:椛澤かおり/編集:岩切絹代

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