リモートワークに商機、備品管理SaaSで成長を続ける「Firstbase」/GB Tech Trend

a16zをリードに調達をしたFirstbase。Image Credit: Firstbase。

本稿は独立系ベンチャーキャピタル、グローバル・ブレインが運営するサイト「GB Universe」掲載された記事からの転載

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今週の注目テックトレンド

コロナ禍になりリモートワークが普及しました。その中で、新たな需要として誕生したのがリモートワーカー管理です。とりわけ備品管理市場のSaaS化に注目が集まっています。

今回、「Andreessen Horowitz」をリードとして1,300万ドルもの資金調達をした「Firstbase」はまさにリモート社会の備品管理ツールとしての市場ポジション獲得を狙っています。同社は「リモートチーム向けOS」として遠隔で働く従業員向けの備品管理ソフトウェアを提供しています。

オフィスとの物理的距離が開いてしまった昨今、会社に置かれている備品を分散型的に社員の自宅に配置する必要が企業に出てきました。小規模スタートアップであれば各従業員で適当に賄う備品ですが、大規模企業になるとセキュリティ観点からも管理に一定のコストをかけつつモニターする必要が出てきます。

そこで登場したのがFirstbaseです。リモート環境下の従業員にPC・ラップトップなどの必要IT機材を手配して、誰がどのバージョンの備品を持っているのかといったステータスを一目でわかるソフトウェアを提供しています。

基本的にはソフトウェアの月額サブスクモデルなのですが、機材購入から配達までも一貫して提供するハードウェア購入支援ツールとしての側面も持っており、それら備品購入の際にはショットで費用が発生するようになっています。

米国では年間4,000億ドルものオフィス管理ツールへの出費があるとも言われる注目市場で、この数値がリモート環境下になっても変わらないとすればスタートアップにとっては大きな狙い目でしょう。従来のマニュアルでの備品管理が通用しないとなれば、新たな管理SaaSが必要なるのは当然で、そこをすかさず狙ったのがFirstbaseというわけです。

Firstbaseの今後を考える上での先行事例として、Y Combinator出身の「Hivy」が挙げられます。同社はオフィスマネージャー向けプラットフォームを展開していました。2017年に「Managed by Q」に買収されています。また、GBの投資先でもあるEdenもオフィス管理サービスプラットフォームを提供しており、2020年に「Managed by Q」を買収しています。

Hivyのターゲット顧客は大手IT企業に務めるオフィスマネージャーでした。彼らが持つ課題感として、従業員からのリクエスト(備品の故障や環境整備など)やアクティビティの管理、Amazonでの備品購入などのタスクが無数に投げられる点が挙げられました。小規模のスタートアップであれば担当者に口頭で伝えれば良いでしょうが、50〜100名以上の規模になってくると全てのリクエストに応えるのが難しくなります。

Hivyを使えば、社員がパソコンやモニター・周辺機器を購入したいと検討したとき、購入可能なデバイス一覧が掲載されたオンラインカタログを通じて、予算内で購入申請をマネージャーに送れたりします。HivyはAmazonと直接連携しているため、備品購入などもHivyから離れることなく商品を注文することができました。従業員はHivyのウェブページへ直接アクセスして使っても良いですし、Slack経由でも利用可能です。リクエストは全てオフィスマネージャーへ通知され、TrelloのようなチケットUIに沿ってタスク管理できました。Firstbaseもこうした従業員とマネージャーとの新しいコミュニケーションツールとしてのプロダクト価値も見いだせるかもしれません。

リモートワークは不可逆的な流れでもあるため市場規模はこれからも拡大するはずです。この中でFirstbaseがどこまで顧客企業を獲得するのか、アジアでは同様の流れが登場するのかに注目されます。

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