One Capital、1号ファンドを160億円調達でファイナルクローズ——投資先8社の顔ぶれも明らかに

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Image credit: One Capital

※この記事は英語で書かれた記事を日本語訳したものです。英語版の記事はコチラから

独立系ベンチャーキャピタルの One Capital は18日、昨年7月に組成を明らかにした1号ファンドの資金調達をファイナルクローズしたことを明らかにした。当初発表していた50億円の予定規模に対し、オーバーサブスクライブして3倍超の160億円の調達となった。投資情報サービスの Preqin によると、独立系ベンチャーキャピタル(independent firm)が運営する1号ファンド単独では日本国内最大。

One Capital は昨年4月、Salesforce Ventures の日本部門の代表を務めた浅田慎二氏と、ボストン・コンサルティング・グループ(BCG)でマネージングディレクター兼パートナーを務めた坂倉亘氏が設立。浅田氏と坂倉氏はそれぞれ、代表取締役 CEO 兼ジェネラルパートナー、坂倉氏は取締役 COO 兼 ジェネラルパートナーに就任している。ファンド投資額の7割を、アーリーステージにある「Future of work を実現する Enterprise software スタートアップ(同社)」に向けるとしていた。

ファーストクローズ時に明らかになっていた LP に加え、今回、医療用キットメーカーのホギメディカル、中小企業基盤整備機構(中小機構)、エン・ジャパン(東証:4849)、Z venture capital、ガス・電力サービスのサイサンが新たに出資に加わったことも明らかになった。海外個人、海外法人が出資額ベースでファンド全体の4割を超えており、BRIDGE の取材に対し、浅田氏は「海外投資家の日本市場に対する期待の表れ」として自信を見せた。

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One Capital を象徴する投資方針の一つは対象領域に SaaS を掲げていることだ。120社以上の企業を IPO に導いたアメリカの老舗 VC である Bessember Venture Partners は、NASDAQ 上場の SaaS 企業の株価をインデックス化し「EMCLOUD」として公開している。これに倣って、One Capital でも日本の SaaS 企業の株価を Webflow を使って見える化、2018年1月を起点とした場合、日経225やマザーズと比べ、明らかに SaaS 企業の成長ぶりが明らかなものとなった。

日本のエンタープライズソフトウェア市場10.8兆円(2020年5月の IDC Japan「国内エンタープライズ IT 市場予測」による)のうち、SaaS が占めている割合は6,000億円(富士キメラ総研「ソフトウェアビジネス新市場2020年版」による)で6%に過ぎない。浅田氏によれば、従来のパッケージソフトウェアに比べ、一度導入したのちも恒常的に機能改善がなされていく SaaS を企業が好む傾向はとどまるところを知らず、伸びしろが大きい日本市場は海外投資家の眼にも魅力的に映るそうだ。

1号ファンドからは、次の8社に投資が実行されたことも明らかになっている。

これらのうち、最後の Oura だけは、フィンランドの IoT スタートアップということもあって、SaaS スタートアップが並んでいる中において異色の存在だ。IoT デバイスから取得したデータをダッシュボード上に集積・分析できる仕組みを提供しているという点では SaaS スタートアップと解釈することができ、また、One Capital では1号ファンドの一定割合を日本市場参入を目指す海外スタートアップへの投資に割り当てており、今回、Oura のシリーズ C ラウンドに参加することになったようだ。

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