レッドオーシャン化するBaaS業界、〝埋め込み型金融〟に活路を見出すTreasury Primeが2,000万米ドル調達

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<ピックアップ> Treasury Prime raises $20M to scale its banking-as-a-service biz

ニュースサマリー:金融サービスをAPIで提供するTreasury PrimeはシリーズBラウンドで2,000万米ドルを資金調達したと発表した。このラウンドは QED Investors と Deciens Capital がリードし、Susa Ventures と SaaStr Fund が参加した。

同社はAPIを通してバンキングサービスをFintech企業に提供するスタートアップ。顧客は同社を利用することで、銀行機能として必要な口座開設やカード発行などを包括的に即時提供することが可能となる。

話題のポイント:BaaS(Bank as a Service)の領域は、StripeがStripe Treasuryをリリースしたことに始め、北米を中心に類似スタートアップが誕生しつつあります。地方銀行も積極的に参加の意向を見せ始めており、銀行口座開設からACH決済(小口自動資金決済)、またローンやカード発行までの自動化が加速度的に進んでいる印象です。

今回調達を発表したTreasury Primeも、Pacific Western BankやPiermont Bankなどとパートナーシップを結び、現段階でBrexなど50社以上のFintech企業へAPIサービスの提供を実施しているようです。

順調に成長しているように見える同社ですが、市場としてはレッドオーシャン化してきており、北米だけでもRapydUnitSynapseなど競合が多数誕生しています。

特にStripeは同社と類似したサービスを「Stripe Treasury」の名のもと昨年12月にリリースしており、クライアントとしてShopifyが既に利用を始めています。これによりShopify店舗オーナーは、自社用の銀行口座を直接Shopifyプラットフォームから直接開設できるようになり、圧倒的な初期コスト削減を実現しています。

また、グローバルを見てもドイツに本拠地を置くSolarisbank、イギリスのRailsbank、アフリカ大陸ではFlutterwaveが急成長を遂げており、現段階ではユースケースごとに差別化されている状況です。

BaaS + APIサービスは、Embbed Finance (埋め込み金融)と呼ばれ始めており、まさに今後は「何に対して金融を埋め込むのか?」の戦略性がBaaS企業に求められてくるのでしょう。

埋め込み金融の流れには、GoogleもPlexを通して参入を開始してきており、若者世代のモバイルバンク市場総取り的な姿勢を見せています。今後、競合が増え続けることが予想される同市場ですが、いかに埋め込みの市場を選定していくのか、大きな明暗を分けることとなりそうです。

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via TechCrunch

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