フードデリバリアプリ「menu」を運営する menu は2日オンライン会見を開き、KDDI(東証:9433)と資本業務提携を締結したことを明らかにした。各社報道によれば、menu に対し KDDI は50億円前後を出資することで menu 株式の20%を確保、menu は KDDI の持分法適用子会社となる見込みだ。menu は、ソーシャルゲーム、フードテック、アドテクなどを営む独立系コングロマリ…
Image cedit: KDDI, menu
フードデリバリアプリ「menu」を運営する menu は2日オンライン会見を開き、KDDI(東証:9433)と資本業務提携を締結したことを明らかにした。各社報道によれば、menu に対し KDDI は50億円前後を出資することで menu 株式の20%を確保、menu は KDDI の持分法適用子会社となる見込みだ。menu は、ソーシャルゲーム、フードテック、アドテクなどを営む独立系コングロマリットであるレアゾンホールディングスにより設立。今回、menu にとっては初の資本業務提携となる。
KDDI は、サブスクの「au スマートパス(アカウント数1,500万件超)」、決済サービスの「au PAY(アカウント数3,200万件超)」、通信サービス(アカウント数3,000万件超)で形成されるユーザ群を「au 経済圏」と呼んでおり、この経済圏で消費者に日常必要なさまざまなサービスを包含することを目指している。昨年には、ロイヤリティマーケティングが展開する共通ポイントサービス「Ponta(アカウント数1億件以上)」と提携、au ID と Ponta ID を連携するなど、利用喚起に向けた施策を展開している。
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一方、フードデリバリを提供する menu は現在全国で60,000軒以上の飲食店と契約しており、ユーザアカウント数は開示されていないものの、情報筋によれば100万件をやや下回る程度と見られ、UberEats や Z HOLDINGS 傘下の出前館(東証:2484)に次ぐ国内3位のシェアを持つ。今回の提携を受けて、au スマートパスおよび au PAY と menu の間の相互送客、menu のサービス支払時の au PAY 利用などが実現する見込みだ。
また、au PAY を通じて得られるリアル店舗での購買データ、menu を通じて得られるオンラインでの購買データをもとに、外食と中食のデータ連携が可能になる。食に関する嗜好情報が集積できることから、ユーザに対してはより精緻にターゲッティングされたマーケティングが可能になる。KDDI ではこのモデルを試金石として、食以外の他分野への OMO 展開にも応用していきたい考えだ。通信キャリア各社は、運送・ E コマースそしてフードデリバリ各社の連携を強化し、決済に代表される旗艦アプリのスーパーアプリ化を図り、互いにしのぎを削っている。
同社では、このインドで培ったサービスを元に耕作放棄地を発見するアプリ「ACTABA」を開発。もともと行政の担当者などが現地を確認して情報を集約していたが、衛星から得られる波長データをもとに AI 解析による耕作放棄地かどうかの判定精度が9割以上にまで向上し、作業の効率化に繋がっている。国内では、つくば市、神戸市、名古屋市、加賀市など、年内に10以上の市町村で実証実験を始める予定だ。
そして SAgri のもう一つの経営の柱が、農地データの AI ポリゴン(区画情報整理)だ。日本では農水省が持つ農地図データに、いわば手作業で手を引いている状態であるが、将来、ドローンを使った肥料散布などを想定した場合、農地図データが不正確であると危険を伴うため自動操縦に使えない。同社では国内をはじめ、インドやタイなのさまざまな地域で農地を区画化し、営農型ビジネスの加速を図る。衛星データの活用で圃場の見える化(炭素・窒素含有量と pH)を図り、肥料散布の効率化を支援する。
徳島県神山町——典型的な過疎の町、しかも、目立った企業も無い山里の町が地方創生のロールモデルとして注目を集めるようになって、もう10年以上が経つだろうか。Sansan(東証:4443)を筆頭に IT ベンチャー(スタートアップよりも、IT ベンチャーが多かった気がする)がこの地にサテライトオフィスを構えるようになり、ワークライフバランスに富んだ環境を望んだ人たちが根付いて仕事するようになった。 神…
徳島県神山町——典型的な過疎の町、しかも、目立った企業も無い山里の町が地方創生のロールモデルとして注目を集めるようになって、もう10年以上が経つだろうか。Sansan(東証:4443)を筆頭に IT ベンチャー(スタートアップよりも、IT ベンチャーが多かった気がする)がこの地にサテライトオフィスを構えるようになり、ワークライフバランスに富んだ環境を望んだ人たちが根付いて仕事するようになった。
神山町でのサテライトオフィスの先陣を切ったのが Sansan だったのだが、その Sansan の寺田親弘氏が旗を振る形で、神山町をシリコンバレーにすべく高専を作ろうとの構想から、「神山まるごと高専設立準備財団」が発足。初代学校長候補に大蔵峰樹氏(ZOZO テクノロジーズ取締役)、クリエイティブディレクターに山川咲氏(CRAZY WEDDING 創業者)、カリキュラムディレクターに伊藤直樹氏(クリエイティブ集団 PARTY 代表、京都芸術大学教授)を迎えることが明らかになっている。
シリコンバレーの歴史はまさにスタンフォード大学とともにあり、この大学の卒業生からヒューレット・パッカードが生まれ、そこから VC の原点ともいうべき KPCB が生まれている。シリコンバレーが広がるベイエリアは、スタンフォード大学ができる前まで果樹園が広がる農業地帯だったというが、今やこの地域だけでアメリカ、中国、日本、ドイツに次ぐ GDP を稼ぎ出すまでの価値生産の現場と化した。神山まるごと高専は、徳島版シリコンバレーにおけるスタンフォード大学の位置付けになることを目指している。
高専(高等専門学校)という教育システムは、小学・中学・高校・大学というステップで学んだ筆者にとっては疎いのだが、スタートアップコミュニティでも、高専出身の創業者に時々出くわすことがある。歴史を紐解いてみると、当初は「専科大学」と呼ぶつもりだったものが、大人の事情から「大学」の名前が外され「研究」が除外された(事実、英語では college と訳されている)。寺田氏は、神山まるごと高専で「在籍する5年間で、工業系大学と美大と MBA の内容をまとめて学んでもらえるような感じにしたい」と抱負を語った。