韓国でも話題のESG投資、大企業や銀行から関心を集める——韓国スタートアップシーン週間振り返り(6月14日~6月18日)

本稿は、韓国のスタートアップメディア「Startup Recipe(스타트업 레시피)」の発表する週刊ニュースを元に、韓国のスタートアップシーンの動向や資金調達のトレンドを振り返ります。

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6月14日~6月18日に公開された韓国スタートアップの調達のうち、調達金額を開示したのは18件で、資金総額は2,821億ウォン(約275億円)に達した。

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主なスタートアップ投資

調達額300億ウォン(約29.4億円)以上

  • 引っ越し、清掃、家庭教師、デザインなどのサービスマッチングプラットフォーム運営会社 BraveMobile(브레이브모바일)が320億ウォン(約31.2億円)を調達。累積調達金額は500億ウォン(約48.7億円)。投資戦略的マーケティング、サービス安定化、アルゴリズム技術高度化のために人材採用を2倍にする予定。
  • 今日、何を食べよう(오늘뭐먹지?)」コミュニティを運営するインスタント販売スタートアップ Cookat(쿠캣)が320億ウォン(約31.2億円)を調達。昨年の売上高390億ウォン(約38億円)、70以上のフードコンテンツチャンネル、購読者3,400万人を確保した。今回の投資でブランドマーケティングの強化と新規製品カテゴリの追加、物流の効率化を図り、オフラインストアを前面に出し、海外進出を加速。

調達額100億ウォン(約9.7億円)以上

  • クラウド監視サービスの WhaTap Labs(와탭랩스)が120億ウォン(約11.7億円)を調達。SaaS サービス監視「WhaTap(와탭)」は、企業サーバ、アプリケーション、コンテナの状態とパフォーマンスデータを秒単位で収集・分析、障害を監視、通知機能を提供。現在1,000社超がが使用し、毎年2倍のペースで成長している。
  • プログラマティックベースのアドテク Motiv Intelligence(모티브인텔리전스)が100億ウォン(約9.8億円)を調達。累積調達金額は175億ウォン(約18億円)。広告主プラットフォーム、広告販売マーケットプレイスなど、独自開発のプラットフォームサービスを提供。
  • 車載インフォテインメントソリューション企業 Drimaes(드림에이스)が125億ウォン(約12.2億円)を調達。ネイバー、Continental Automotive と覚書締結、Foxconn の EV 開発オープンプラットフォーム「MIH」パートナーに選定。人材確保とサービスの高度化でモビリティプラットフォームベンダーとして成長する計画。
  • トリップストア運営会社 Extriber(엑스트라이버)が50億ウォン(約4.9億円)を調達。累積調達金額は197億ウォン(約19.2億円)。30の旅行会社のパッケージ旅行商品を比較可能。ローンチから2年8ヶ月でダウンロード数が400万件を突破。アフターコロナのパッケージ旅行が増えるとの期待。

その他の調達

  • 環境に配慮し、電気・水素エネルギーで動く小型船舶を開発する Vinssen(빈센)が30億ウォン(約2.9億円)を調達。2017年に設立され、独自開発の電気船舶推進システムを保有。100億ウォン(約9.7億円)以上の規模の投資完了に向け進行中。
  • 自動車用半導体企業の VSI(브이에스아이)が40億ウォン(約3.9億円)を調達。自動運転技術のための内部ネットワークを開発。今回の投資での R&Dを強化し、世界的車両メーカーとの協業を加速する予定。
  • 投資家のためのソーシャルネットワークサービス「Domino(도미노)」を運営する Fast Foward(패스트포워드)が14億ウォン(約1.4億円)を調達。国内外株式、仮想通貨などの投資ポートフォリオトラッキング、他の投資会社とポートフォリオ共有可能。

トレンド分析

最近話題のESG、知らなければモグリ——大企業・スタートアップ・銀行も関心

全世界的に ESG が企業運営において大きな割合を占める中で、国内でも ESG 経営が話題だ。売上高と営業利益などの財務成果を中心とした企業価値評価の方法を越えて、非金融の視点を中心にした価値評価が行われているはずなのだが。業界では、今年は ESG 開始を知らせる年だと評されるほど ESG への関心が高まっている。

大企業は、いち早く ESG 経営を打ち出している。サムスン、現代自動車、SK、LG など韓国の大企業8社が既に ESG 委員会を設置して ESG 経営を強化しており、ポスコエネルギー、ハンファエネルギー、GS エネルギーなど10社は、カーボンニュートラルの革新技術の開発を目指し、エネルギーアライアンスも締結した。 IT企業 Kakao も ESG 委員会を新設し、SK テレコムと ESG ファンドを共同組成し、革新企業活動と投資をサポートする。ゲーム業界も ESG 経営は重要になっている。NC Soft も ESG 経営委員会を新設、ネクソンやネットマーブルも財団を通じて公益事業を拡大するなど ESG 経営を本格化する。

全世界の流れに沿って ESG 分野の国内スタートアップ投資も増えている。大企業が ESG をベースにしたスタートアップの協力、投資に積極的に乗り出しており、政府マザーファンドが出資するインパクトファンドが2018年から本格的にそせいされ、ベンチャーキャピタルもインパクト投資を増やしているのだ。ソーシャルベンチャーを名乗るスタートアップが大規模な投資を受けるには難しい偏見があったが、最近ではエネルギーや環境系の企業も100億ウォン以上を資金調達している。

代表的なものには、エネルギーソリューション企業の GridWiz(그리드위즈、500億ウォンを調達)、エネルギー企業 SolarConnect(솔라커넥트、208億ウォンを調達)、循環資源回収ソリューション SuperBin(수퍼빈、200億ウォンを調達)、植物性代替肉「Unlimeat(언리미트)」を開発する Gikuin Company(지구인컴퍼니、100億ウォンを調達)などがあり、その他にも、StarsTech(스타스테크)Vinssen(빈센)The Wave Talk(데웨이브톡)Sheco(쉐코)RE:harvest(리하베스트)など、さまざまなスタートアップが注目されている。

スタートアップ支援機関も ESG サポートシステムを強化している。ソウル市傘下のスタートアップ機関「ソウル創業ハブ(서울창업허브)」は4つの民間機関と協力して ESG に特化したスタートアップの成長をサポートする。民間との協業によりアクセラレータも運営している。協業機関は、SK テレコム、漢陽大学、Sopong Ventures(소풍벤처스)、ウリ金融グループの「Dinno Lab(디노랩)」で、これらの業務協約を通じてスタートアップオフィススペース、投資連携、能力強化プログラムやネットワークなどをサポートする。

金融機関の社会的責任への要求が高まり、金融界も昨年から ESG スタートアップ投資に積極的に動きを見せている。新韓銀行、KB 国民銀行、ウリ銀行、NH 農協などは、独自のアクセラレーションプログラムに ESG スタートアップ分野を新設し、エネルギーや環境などのソーシャルベンチャー投資をさらに強化する傾向にある。

人類の生存はもちろん、企業の生存とも相まって、今後 ESG への関心はさらに大きくなると予想され、これに関連するスタートアップも機会を迎えると予想される。

【via StartupRecipe】 @startuprecipe2

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