Katteraのシャットダウンで、世界のConTech業界に衝撃など——韓国スタートアップシーン週間振り返り(5月31日~6月4日)

本稿は、韓国のスタートアップメディア「Startup Recipe(스타트업 레시피)」の発表する週刊ニュースを元に、韓国のスタートアップシーンの動向や資金調達のトレンドを振り返ります。

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5月31日~6月4日、韓国のスタートアップが調達した資金総額は2,376億ウォン(約234億円)に達した。

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主な資金調達

調達額500億ウォン(約49.2億円)以上

  • AI 半導体スタートアップ Furiosa(퓨리오사)が800億ウォン(約78.7億円)をシリーズ B 調達。データセンターとエンタープライズサーバ AI の性能を最大限に引き出すことができる半導体を開発中。2022年下半期の次世代チップの開発のための人材確保に注力。
  • Ably(에이블리)」運営会社 Ably Corporation(에이블리코퍼레이션)が620億ウォン(約61億円)を調達。ローンチから3年でアプリダウンロード数2,000万件、累積取引額6,000億ウォン(約590.3億円)、2020年にはファッションアプリでユーザ数(MAU)1位を記録。調達により、AI による好みのサービス高度化、東大門フルフィルメントサービスを強化し、グローバル進出の加速を計画(編注:東大門はソウルの一大ファッションタウンである)。

調達額100億ウォン(約9.7億円)以上

  • 音楽著作権取引プラットフォーム「Musicow(뮤직카우)」が170億ウォン(約16.7億円)を調達。 2017年7月にサービスを披露後、現在までに850曲余りを取扱。前年度比で利用者数が438%増、取引規模368%増、昨年のユーザのロイヤリティ収益率は年平均8.7%だった。
  • 名品ファッションプラットフォーム「Must It(머스트잇)」が130億ウォン(約12.8億円)を調達。年平均成長率80%、取引額2,500億ウォン達成。市場シェア1位。資金調達により、カカオとのパートナーシップの構築・協力を予定。
  • 塾の O2O プラットフォーム「Study Senior(공부선배、勉強先輩)」が100億ウォン(約9.7億円)の資金調達。会員数110万人、月間決済件数は昨年比約4倍増。

その他の調達

  • 教育と学童保育マッチングプラットフォーム「Jaranda(자란다)」が97億ウォン(約9.5億円)を調達。累積調達額は138億ウォン(約13.6億円)で業界最高。第1四半期の売上高は前期比46%上昇、先生の数は8万3,000人、月間取引額は前年比3.5倍に成長。調達により地域拡大、サービス大正年齢の拡大、児童の性格分析によるカスタマイズコンテンツレコメンデーション実装を計画。
  • 不動産仲介サービス「Dongnae(동네)」を運営する DN Korea(디엔코리아)が46億ウォン(約4.5億円)をシード調達。調達により共同仲介網の拡大、技術開発、不動産、アプリ開発専門人材補充を計画。
  • メンタルヘルスケアアプリ「Trost(트로스트)」を運営する Humart Company(휴마트컴퍼니)が30億ウォン(約2.9億円)を調達。心理カウンセリング、セルフケア、心の管理 AI チャットボット、精神科・薬情報など心理ソリューションを提供する。調達資金により、専門的精神的健康管理ソリューションを追加予定。
  • シニアヘルスケアプラットフォーム「Caredoc(케어닥)」が80億ウォン(約7.9億円)を調達。投資に介護仲介プラットフォームサービスの高度化、B2B介護サービスの拡張、シニアヘルスケアサービスの新規リリースでは、療養施設管理プログラムの導入など、事業領域を拡大予定。
  • Mobidoo(모비두)が60億ウォン(約5.9億円)を調達。ライブコマースプラットフォーム「SauceLive(소스라이브)」と SaaS クラウド「SauceFlex(소스플렉스)」サービスを提供される。
  • コンテンツ翻訳サービス「Jamake(자메이크)」を運営する Voithru(보이스루)が60億ウォン(約5.9億円)を調達。個人 YouTuber や企業顧客に翻訳サービスを提供する。調達資金は、市場の先取りと人材補充に使用。
  • たのもし講フィンテックサービス「imin(아임인)」を運営する Twave(티웨이브)が30億ウォン(約2.9億円)を調達。人々がお金を集めて、毎月定めた順番にまとまった資金が受けられるサービス。信用レベルを下げることなく、迅速に資金を調達することができるのがメリット。

非公開

  • スマートフォンの修理・買取プラットフォーム「Suriking(수리킹)」を開発する 21st Electric Shop(21세기전파상、21世紀電気店)がシード資金を調達。機器のピックアップ後1時間以内に仕入れや精算を完了する。
  • Espreso Media(에스프레소미디어)が後続投資を集めている。ディープラーニング技術で低解像度の画像と動画を 4K 解像度に変換するスーパーレゾリューションエンジンを保持する。
  • PhonAir(폰에어)が資金調達。 YouTube に有名歌手のカバーソングをアップロードする際、一般人が取得しにくい著作権の問題を解決する。
  • フットサル専門会社 Memerd(미머디)が資金調達。「I Am Ground(아이엠그라운드)」「Loco Futsal(로꼬풋살)「Mudoo Futsal(모두의풋살)を運営中。
  • 共有型ピラティス空間提供企業 Bodyworks(바디웍스)が資金調達。講師がセンターを共有で利用可能。

トレンド分析

200億円超の投資を受けながら、シャットダウンするスタートアップ

Katerra フェニックス工場の内部
Image Credit: Katerra

建設業界に革新をもたらした ConTech ユニコーンの Kattera がサービスをシャットダウンする。アメリカのメディア The Information が伝えた。2015年に設立された Kattera は、ソフトバンクなどから約200億円を超える資金を調達した。しかし、昨年から経営難で破産寸前に追い込まれ、ソフトバンクが2億米ドルを資金注入していた。孫正義氏は、WeWork とあわせ投資の失敗事例として挙げていた。

Kattera は、モジュール方式で建物を建て設計・購買・施工手順を統合したサービスを提供し、建物のコストと複雑さを減らすスタートアップだ。技術により多くの産業が技術革新を遂げているが、建設業界はまだ現場中心の保守的な産業のままだ。この市場での革新をなす代表的 ConTech 企業として建設業界と VC から大きな注目を受けた。大型投資を誘致した同社は急速に成長、20以上の企業を買収した。

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このように、多くから関心を集めていた企業が、なぜ破産に至ったのだろうか?

同社は、急上昇した人件費や建設費とともに、新型コロナウイルスを財政難の原因としたが、それ以外にも、他の要因が作用したと思われる。コロナ前から財政は悪化していた。Kattera は2019年、従業員数は8,000人、年間売上高17億米ドル、受注プロジェクトは150億米ドル以上を目指すとしていた。しかし、これらは果たせない蜃気楼と化した。

計画が事実なら2020年末には、黒字を記録する必要があった。プロジェクトは、遅延されたりキャンセルされたりするものもあり、工場にも問題が生じる。これより深刻なのは、会社が10億米ドルを超える金額を水増しして投資会社に報告したということだ。これにより、SEC(証券等監視委員会)が捜査に乗り出す結果となった。

Kattera の失敗は複数の理由に起因する。建設業界の知識を持った上級職のリーダーが不足し、マネジメントの問題があった。同社は4年間で CEO が3人変わるなど、経営陣の構造も不安定だった。収益に対する答えも出せなかった。また、野心が大きくなり、住宅危機を解決するという使命に忠実でなかったということも問題になった。結局、Kattera は、Quibi や Theranos などのように大規模な投資を受けながら倒産した企業となった。

建設技術の合成語である ConTech 市場は世界的に遅れた建設現場を改善することができるという理由から、急激に大きくなった市場だ。 VC が資金を注入している市場でもある。国内でも ConTech 分野のスタートアップが、大企業とのオープンイノベーションによる調達や買収に関心が増しつつある。全世界的に注目された Kattera 破産により建設スタートアップへの関心をはじめとする市場成長が停滞するか見守らなければならなさそうだ。

【via StartupRecipe】 @startuprecipe2

【原文】

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