モバイルオーダーPOS「ダイニー」運営、シリーズAで3.5億円を調達——GCP、Coral、ANRIから

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「Dinii」
Image credit: Dinii

モバイルオーダー POS「ダイニー」を開発・提供する dinii は27日、シリーズ A ラウンドで約3.5億円を調達したことを明らかにした。このラウンドはグロービス・キャピタル・パートナーズがリードインベスターを務め、に参加したのは、Coral Capital と ANRI が参加した。これは、ANRI や個人投資家複数(名前非開示)らが参加した2019年8月のシードラウンドに続くものだ。今回の調達を受けて、これまでの累積調達額は約4.8億円に達した。

dinii は2018年6月、現在 CEO の山田真央氏が東京大学在学中、飲食店でのアルバイト経験をもとに起業。お客が飲食店を訪れた際スマホを QR コードをかざすと、LINE 経由でメニューをオーダーできる画面が立ち上がる仕組みを開発している。スマホから注文されたデータはそのまま飲食店のキッチンに届き会計にも反映されるため、ホール係の稼働は注文された品物を届ける機会の最小限度で済む。究極的にはお店は紙やタブレットのメニューを置く必要もなくなるが、メリットはむしろホスピタリティの向上にあるという。

言うまでもなく、この種のサービスはコロナ禍で非接触が求められるトレンドが追い風になった。ダイニーが公開されたのは2018年なので、新型コロナウイルスが感染拡大する随分前から着手していることになるが、山田氏によれば、開始当初は飲食店に紹介しても、「モバイルオーダーなんて、接客の放棄だ」とか「飲食業を舐めているのか」と言われ、剣もほろろの時期が続いたという。しかし、時勢が変われば常識も変わるものである。今や、居酒屋・焼肉屋チェーンをはじめ、全国各地の飲食店に引っ張りだこだ。

Image credit: Dinii

山田氏によれば、ダイニーの開発にあたっては特に UI/UX の研鑽に注力しているそうだ。モバイルオーダーの画面はお店の顔、ここの使い勝手が悪いと、店の看板に泥を塗ってしまうことになる。店員に代わってオーダーを取るインターフェイスという位置付けなので、その出来栄え次第で客単価の良し悪しに跳ね返ってくる。また、山田氏によれば、モバイルオーダーの裏側では店舗のバックエンドシステムである POS も作り込んでおり、さらに、来店客がオンライン会員化できてしまう CRM の仕組みも売りだという。

ダイニーは店舗の業務を効率化し、非接触であるため客ウケもよく、また、日銭商売である飲食店にとってはありがたいサブスク型の SaaS モデルであるため、導入を妨げる要素は少ない。しかし、すでに店舗に POS が導入されている場合は競合になってしまうため、その POS のリースアップを待つか、または、POS が未導入の店舗に拡販を行っていく必要がある。dinii の成長の課題は、このあたりにありそうだ。同社では今回調達した資金を使って、事業成長と機能向上のための人材確保を強化するとしている。

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