企業電話もコラボレーションの時代へ、パリ発のユニコーン「Aircall」/GB Tech Trend

1.2億ドルの大型調達でユニコーンとなった「Aircall」。Image Credit: Aircall。

本稿は独立系ベンチャーキャピタル、グローバル・ブレインが運営するサイト「GB Universe」掲載された記事からの転載

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今週の注目テックトレンド

SlackやNotionなど、様々な生産性ツールが登場している今、あらゆるワークツールが結び付き合うことを前提に設計されることが重要となっています。

他方、企業が利用する電話は顧客と話す大切なチャネルでしたが、外部サービスとの連携が足りていませんでした。たとえば電話をした内容などを同僚にオンラインツールを使って共有することが難しい、といった具合です。

現在、パンデミックの影響で分散型ワークフォースや在宅勤務の傾向が加速しています。ただ、顧客から電話を受け、問い合わせ内容に関しての細かいメモをその場でメンバーに共有する導線ができていません。電話を受けたらそのまま各種ワークツールに情報を即座に共有する体制が確立されていないため、オフィスワークと比較してやりずらさが残っています。

そこで価値を発揮しつつあるのが「Aircall」です。同社は6月23日、Goldman Sachs Asset ManagementがリードするシリーズDラウンドで、1.2億ドルの調達を発表しています。今回の調達でユニコーンへと成長しています。

Aircallはローカルコールセンターサービスを提供する2014年パリ設立のスタートアップです。利用企業の顧客がどこからかけてきても良いように、ローカライズされた電話番号・フリーダイヤル・コールルーティング・発信者を適切な部署に誘導する自動化された対話型音声応答(IVR)・コールキューイングなどのサービスを提供しています。

Aircallのプラットフォームは、不在着信率や平均待ち時間などの指標を表示する分析機能も備えています。またセールスやサポートの電話を複数の人が処理している時には、一度に複数の人に対して通話を鳴らしたり、割り当てるなどのコラボレーション操作が可能です。

そしてなによりAircallの強みは外部サービスとの連携です。Salesforce、Zendesk、Zohoなどの他のソリューションと統合することができる点です。

電話の受付やルーティング、潜在的な見込み客のフォローアップ、同僚とのコラボレーションを可能にし、「オープンな電話」としての市場ポジションを確立しています。カスタマー・サポートや営業チームが1日に何千件ものコールを処理する際、各案件をチームで対応することができるようになりました。

現在までに8,500社の企業に利用されており、Natwest、Spareroom、Glovoなどの主要なクライアントを獲得しています。過去記事によると、Aircallは収益を4倍に、従業員数を2倍に増加させているそうです。同社はもともとフランスでスタートしましたが、現在では収益のほとんどが米国からのものとなっているとのことです。

Aircallと類似事例を見てみると、メールサービスの「Front」が好例かもしれません。コネクティビティの面で劣っていた企業のメール体験を刷新し、手軽にチーム内で問い合わせ内容を共有できたり、メンションできるものに変えたのです。いずれも「電話」や「メール」といった、仕事ツールとしてのメタファーとなる体験を大きく最発明しているサービスです。

生産性ツールの市場は大きいため、競合サービスとがいたとしても、「オープンプラットフォーム」のコンセプトを貫いていれば一定数の企業需要はすくい取れると感じます。この分野ではアジア市場向けで成長するサービスが登場してもおかしくないので、アジア版AircallやFrontのような存在が出てくれば注目すべきかもしれません。

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